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趣味部屋と編集作業

今日は出かける予定がないので、明日香はパジャマ姿のままだ。

そして趣味部屋で動画の編集作業に入る。



明日香は歌の他に、格ゲーやアクションゲームのライブ配信や動画配信をしている。

今日編集するのは、何日か前にライブ配信した魔人戦線3の動画だ。

魔人戦線3は、コンシューマー機が先でアーケードに逆移植されたものだ。

故に明日香からすれば、ネット対戦歴の方が長いと言える。



時間にして3時間程と結構長いので、対戦の合間にあるインターバルや対戦相手とマッチングするまでの時間をカットして動画自体をスリムにする。

その作業の他に、技術的な説明のテロップを入れたりもする。

なかなか手間がかかり地味な作業だ。



同じ姿勢でパソコンの前に座りっぱなしなので、肩が凝って仕方ない。


肩を自分で叩いていると、開けっ放しにしていた趣味部屋の扉をノックする音がした。

「明日香お姉様、、、拝見してもよろしいですか?」

蓮香の声だった。



明日香は扉の方へ少し振りむくと、

「どうぞ~」

「扉を開けっぱなしにしてたのは、勝手に入って良いって事だよ」



若干畏まった様子で部屋に入ってくる蓮香。

「そうでしたか、、、」

「何だか気を使わせてしまって、申し訳ないです、、、」


自分の肩を揉みながら苦笑する明日香。

「蓮香こそ気を使いすぎだよ」

「もっとリラックスしてね」



すると蓮香が明日香を心配そうに見つめて来た。

「何だかお疲れのようですね」


明日香は椅子を半分回して蓮香に向き直る。

そして小さな溜息をついて、

「うん、、、地味な作業の上、同じ姿勢だから、、、」

「流石に疲れるかな、、、」

「肩とか背中なんかもうカチコチ」



蓮香は部屋を見渡すと、見慣れない機材と見慣れない衣装に驚いた様子だった。

そして明日香が仮眠用に置いてあるパイプベッドに視線が止まった。



徹夜で動画編集する事もあり、そう言った場合は明日香でも流石に集中力が落ちてしまう。

仕方ないので仮眠を取る。

しかし寝室まで戻って仮眠を取るのも億劫なので、仮眠専用にシングルのパイプベッドを置いてあるのだ。



そのパイプベッドに蓮香が歩み寄ると、

「お姉様、、、お疲れでしたらマッサージしますので、こちらに横になりませんか?」

「こう見えても得意なんですよ、マッサージ」



『ほほう、意外だなぁ』

どちらかと言うと、お金持ちのお嬢様だけに蓮香はして貰う側のようなイメージだが。



本当に疲れていたので、特に他意はなく自然に返事が出る明日香。

「じゃあ、お願いしようかな、、、」



笑顔でベッドの前に立って待っている蓮香。

明日香はベッドまで来るとゆっくりとうつ伏せに横になった。


蓮香もゆっくりと明日香のお尻辺りに馬乗りになると、優しく背中をマッサージし始めた。

初めは背骨に沿って、肩甲骨から腰までを上下に行き来するよう撫でる感じだ。

その後は肩をマッサージし始めた。



蓮香は何だか嬉しそうな声で、

「本当はアロマオイルとかあればいいのですけど、、、」

「あいにく持ち合わせていないので、これで我慢してくださいね」



「うぅ、、」と声が漏れてしまう明日香。

生真面目な蓮香が得意と言うだけあって、マッサージは相当に上手い。

プロ並みでは?



「気持ちいいですか?」

と蓮香が問いかけてくる。


その問いかけに、何だかいやらしい攻めをうけている様な錯覚に囚われる。

少し恥ずかしい気持ちの明日香はたどたどしく答えた。

「う、うん、、、気持ちいいよ、、、」

「まるでプロみたいだね、、、」



肩の次は腕をマッサージし始める蓮香。

「実はですね、以前美容関係の仕事に興味があって、美容マッサージの勉強をしていたんですよ」


「ゆくゆくはサロン経営とかも視野に入れていたんですけど、、、家業がありましたから、、、」

と、少し蓮香の声に元気がなくなる。



外面からは羨まれるような物でも、本人からすれば窮屈な(しがら)みに過ぎなかったりする。

実際、明日香も似たような物なので、蓮香の気落ちする想いは何となく理解が出来た。



気を取り直す様に、蓮香は元気な声で明日香に告げる。

「もし宜しければ、次の機会にでも本格的なマッサージのご用意をしますので、」

「私にさせてもらえないでしょうか?」



『え?』

『本格的?!』

蓮香の言葉に明日香は怯んでしまった。


『本格的って事は、アロマオイル使うってことだよね、、、』

『と言う事は、下着姿又は裸になるってことだよね、、、』

『そ、それは不味い、、、』

慌てそうになるが、何とか堪えてどう躱すか明日香は必死に思考する。



その微妙な逡巡の時間が蓮香に伝わったようで、背後から悲しそうな声が聞こえて来た。

「駄目ですか、、、?」

「私の家柄による力では無く、私自身が持つ技能をお姉様に見て戴きたかったのですが、、、」



『あ~、、、』

と明日香も悲しい声が出そうになった。


『どうも私は、蓮香がガッカリしたりする姿を見るのが苦手らしい、、、』

明日香はうつ伏せで蓮香の顔は見えないが、気落ちした様子が目に浮かぶようだった。



だからついつい言質を与える様な事を言ってしまう。

「うん、、、良いよ」

「じゃあ次の機会にでもお願いしようかな」



すると蓮香が明日香の背中に抱き着いて来た。

「嬉しいです!」

「約束ですよ、明日香お姉様!」



蓮香の胸が背中に当たって明日香を刺激する。

しかも色々と妙齢の女子に体中をマッサージされたものだから、アレがどうこうしそうで大変だ。

生理現象なのでどうしようも無いのだが、、、。



それからお尻や脚もマッサージしてくれた後、仕上げに再び背中を撫で始める。

蓮香の柔らかい手が、明日香の腰や脇腹に触れた。

すると蓮香の感心するような声がする。

「お姉様は本当に華奢ですね」

「綺麗な身体のラインをしてらっしゃいますし、」

「羨ましいです、、、」



『脇腹とか敏感だから余り触って欲しくないのだけど、、、』

もはやマッサージでは無く、興味本意で触る蓮香に明日香は内心でぼやく。


そして暫くの間、蓮香に好き放題触られてしまう。



結果、蓮香のマッサージが終わっても、直ぐに起き上がる事が出来なかった。

色々な意味で、、、。



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