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明日香のプライベート(1)

空気が変わった感じがした。

自分でも自覚出来る程に、。



しまった、、と思う明日香。

そして顔に出さないように努める。



困った様子を演出して笑顔で明日香は言った。

「私にも予定があるからね、、」

「直ぐにそう言うのは困るかなぁ」



桜は敏感に空気を読んで不安そうにしていたが、明日香が笑顔を向けたので顔を綻ばせた。

「そうだよね、、ごめんよぅ、、」

「私、せっかちで馴れ馴れしいってよく言われちゃうのよね、、」



明日香は席を立つと申し訳ない顔をする。

「今日はこれで帰るね、、」



少し間の抜けた感じで驚く桜。

「え? 」

「午後の講義は?」

「やっぱり気を悪くしちゃった?」


困り顔で明日香はそれを否定する。

笑顔も忘れない。

「違うよ、、少し寝不足で体調が良くなくて、、」



桜は納得した顔で心配そうに明日香を見やった。

「そっかぁ、、それで神宮司さんいつもと感じがちがったのか、、」



「え?!」

「私、いつもと違った?」

と明日香は少し驚いて問い返してしまった。

私らしくない、。



小さく頷く桜。

「何て言うか、、、」

「いつもよりクールで尖ってる感じ?」


そして嬉しそうに微笑む。

「きっとしんどくて、余裕が無かったんだね」

「神宮司さんも人間らしい所が有って安心したよ!」



明日香は苦笑して少しだけ桜に頭を下げた。

「ごめんね、、」

「不快な思いさせてしまって、、」


そして日頃、周りから自分がどう見られているのか分かって内心愕然とする。


きっと完璧超人とか思われているに違いない。

もっと周りに気遣って柔らかく立ち回らないと、。



屈託の無い笑顔を桜は明日香に向ける。

「気にしないで〜」

「それでも全然優しいよ、神宮司さんは」

「私だったら誰彼構わずブスッとしちゃってるだろうし」


苦笑する明日香。



「じゃあ、またね」

「お疲れ様」

と言って桜を残し、明日香は足早にコンビニを後にした。


桜は名残惜しそうだったが、仕方がないのだ。



あのままズルズル会話が伸びるのは不味い。

何をキッカケに連絡先を訊かれるか分からないからだ。



取り敢えず、新見桜は要注意だ。

どうやら私をよく観察しているようだし。


それに天然そうに見えて鋭い。

ひよっとしたら天然を装っている可能性も考えられる。


とにかく不気味だ、、。


自身の学生生活を平穏にする為にも、、気を付けなければ。

そう内心で自分に言い聞かせ、帰途に着く明日香だった。








気付くと午後の3時になっていた。



どうやら帰宅して直ぐに、明日香は気を失うように寝てしまったらしい。

2日連日で睡眠不足だったのが祟ったようだ。

美容にも良くないので次からは気を付けよう。



更にソファーで寝てしまったものだから服がシワだらけだ。

『洗濯するからいいか、、』



明日香は二度寝して体内時計が狂わないように、直ぐシャワーを浴びる事にする。

懸念があるなら早めに芽を摘んでおく。

明日香のモットーの1つだ。



そしてお昼が少なめだったので、お腹も減ってきた。


『晩御飯は外食にして、それからいつもの所に顔を出そう』

とシャワーを浴びながら予定を立てる。

一人というのは気ままなものだ。




明日香は16歳から一人暮らしをしている。

高校生時分はバイトと学業で大変だったが、近頃は随分楽になった。



それはある程度の纏まった収入があるからだ。

大学生なのに、、。



借りている部屋も4LDKでかなり広い。

大学生が1人で暮らすには広すぎると言っていいだろう。

しかも新築のマンションで家賃も20万程もする。



その上、親などからの仕送りも無しだ。

全て自分で賄っていて、とても只の大学生とは思えない。



つまりこれが人間関係上の懸念の1つになっていた。



大学で親しい友達を作らないのは、こう言った明日香の生活環境を怪訝に思われるのが嫌だからだ。



人間と言うのは、自分の知らない他人の秘密を知りたがる生き物。

本能的に他に対して興味をいだくように出来ている。



少しでも親しくなって、しかもその相手に好意を持っていたら尚更である。

本人が放っていて欲しくても上手く行かないのだ。



シャワーを済ませて外出する身支度を始める。

完全プライベートの場合は余り着飾らないのが明日香の方針だ。

まあ、それは時と場所にもよるのだが、これから出かける所はラフな方が良いのだ。


いくらラフと言ってもブラジャーはちゃんとしておく。

そして上から薄紫のキャミソールを着て、下は黒のショートパンツにした。


生脚を出すと引っ掛けたりして怪我する時があるのでタイツを履きたいが、暑いのでやっぱり生脚で出かける事に決める。

最後は上掛けに黒のマキシロングパーカーをチョイスした。


これは足首近くまで裾があり、すらりとスタイルの良い明日香には似合っていた。

後はスマホと財布をパーカーの内ポケットに入れておしまい。



おっと、化粧を忘れる所だった、、。

すっぴんでも全然問題ない明日香だが、一応外出なので口紅だけしておく。

陽もまだあるので日焼け止めも忘れずに塗る。

それと黒く長い髪の毛を片方に纏めて、ゆるフワ三つ編みにした。



さて、これでオッケー。

急に何か必要になるならコンビニで買えばいいのだ。



これから向かう場所は自宅から徒歩で15分くらいの場所だ。

割と近い。

食事もその周辺で済ませる。

大学からも1時間の距離にあるので、見知った顔に合うことも無いだろう。



そうして明日香は、大学に通うのとは全く違う出で立ちと雰囲気、るんるん気分で自宅を出た。



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