関西弁な肉屋と引率役(2)
明日香、蓮香、桜、そして肉屋(藤君)の4人で横スクロールアクションゲームをする事となった。
内2人は超玄人で、残り2人は初心者である。
と言うか、、蓮香と桜は、こんな古いゲームをプレイしたどころか聞いた事もないだろう。
そこで真っ新な初心者でも、引率者がしっかりしていれば意外と進んでしまうゲームをチョイスすることにした。
それは”D&D3”だ。
このゲームは数年前に出た今どき珍しいドッド絵のゲームだ。
D&D2の制作陣が趣味で作ったインデーズの作品で、余りの人気にPC版からアーケード版へ逆移植された物であった。
正式タイトルは、ダンジョンズ&デーモンズ3である。
タイトルから予想出来るように、ファンタジー世界が舞台のアクションゲームで、ファンタジーなキャラクターを使用できる。
例えばロングソードを持って戦う剣士。
精霊魔法と剣術が得意なエルフ。
傷ついた仲間を癒すことが出来る神官。
ひ弱で肉弾戦は不得意だが、強力な魔法が連発できる魔法使い。
他にも色々なキャラクターがありバリエーションに富んでいる。
そして初心者を引率しやすい理由は、神官と魔法使いにあった。
正直、この2キャラを玄人が使えば、他の2人はサボっていても大丈夫なくらいに強い。
まあ使う人間が玄人限定ではあるが、、。
方法としては神官が鈍器でザコを殴り倒す。
引率される側が怪我をしたら、神官が回復魔法をかければ問題なしと言う訳だ。
更に肝となるボス戦だが、これは魔法使いの強力な魔法でゴリ押しとなる。
これを複数あるステージごとに繰り返して、最後にラスボスを倒すのだ。
このプランに則って、明日香は嫌だったがハゲ頭の神官をチョイス。
肉屋は楽する為か、ムー◯ンで登場する流離の吟遊詩人風魔法使いをチョイスした。
桜は剣士を選んだ。
桜らしくないチョイスだが、どうやら肉屋の入れ知恵らしい。
先ず初心者は、基本操作に慣れる為に頑丈で小難しい操作を必要としない剣士を使えと言う事だろう。
そして蓮香は、恐らく一番初心者がソロで1コインクリアし易いキャラではあるが、習熟するまで大変なエルフを選んでしまった。
何故習熟するまで大変かと言うと、まず体力が少なく打たれ弱いからだ。
つまり1度のミスがゲームオーバーに繋がり易い訳だ。
更に戦士と違いアイテム使用の操作に加え、魔法操作もしなければならない。
しかも魔法はそれ程数を撃てる訳でもなく、火力も魔法使いに及ばない。
あくまで補助としての魔法で、攻撃は剣なのだ。
今日親しくなり始めた相手に言う言葉ではないと思うが、、蓮香らしいキャラの選択だと感じた。
そしてこの店に限って言えば、1つの筐体にコントロールパネルが2つ付いている。
つまり向い合せに置かれたシティー系ゲーム筐体に2人ずつ前に座るのだ。
と言う事で明日香は蓮香と密着する感じで座った。
別に密着しなくてもプレイできるのだが、、。
向かいの筐体に座るのは、肉屋こと藤君と桜だ。
キャラクターの選択が終わったので、名前を入力してゲーム開始だ。
1ステージは弱いザコばかり出現するので、そこで操作方法を教えていく。
攻撃ボタン、ジャンプボタン、アイテム&魔法選択ボタン、そしてアイテム&魔法使用ボタンの合計4つのボタンを使用するシンプルさ。
ボタンの左横には球状のレバースティックがあり、それを左手で操作し、キャラクターの移動などをする。
割と感覚的に操作しやすい事もあり、蓮香と桜は直ぐに慣れてしまった。
そのままサクサクとステージを進みボスを倒して2ステージへ。
2ステージから徐々にザコがキツくなる。
ボスに至っては一撃死は無いにしろ、初見殺ろしな攻撃を連発してくる。
取り敢えず肉屋の魔法でゴリ押しをする。
ただボスの攻撃をある程度蓮香と桜に見せて、ダメージを食らいそうなら魔法で即迎撃。
これらを繰り返し1時間後には誰もゲームオーバーにならずにクリアしてしまった。
明日香と肉屋の引率もさる事ながら、蓮香と桜の適応力、学習力がずば抜けていたと言える。
正直、ゲーム初心者とは思えない。
桜曰く、
「みんな上手だから知らない内にクリアしちゃったね!」
だそうた。
蓮香はと言うと、らしいコメントだった。
「面白いゲームです」
「細かな役割がキャラクターごとに有って、しかも慣れればアドリブも可能な作りですね」
「これは研究しがいがあります」
後ろを振り返ると、いつのまにか常連数人がギャラリーとなっていた。
見慣れない女子が雨音や肉屋と一緒にD&D3をしていたからだろう。
これはもう後には引けそうに無い。
そう思い明日香は、蓮香と桜を常連連中に紹介する事にした。




