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お好み焼きからプライベートエリアへ

明日香は蓮香と桜を連れて、行きつけのお店に行く事にした。


そこは【ジジイとババア】というお好み焼き屋だ。

名前がユニークだが、普通に家族ぐるみで営む店で、店主夫婦も思ったより若い。



そして近くにはゲームセンター・スーパースターもある。

だから明日香の行きつけとなったのだった。



30分程Zを走らせて【ジジイとババア】に到着する明日香達。

店の前に8台程駐車出来るスペースがあり、まだ誰も停めていなかった。


時刻はPM6時だ。

混むには少しだけ時間が早い。

だが桜はお腹が空き過ぎてグッタリしてしまっている。



直ぐにZを駐車して蓮香と桜を降ろす。

そうして明日香は、弱った桜の手を引いて店に入った。

その後を蓮香が続き呟いた。

「中々趣のあるお店ですね」



蓮香は恐らくボロいと言いたいのだろう。

確かに古くてボロい佇まいの店だ。

しかし中は綺麗にしていて、広さもかなりある。



それに人気がある店で夜は凄く混むのだ。

開店して直ぐのこの時間に来たのは正解といえる。



店内に入ると目の前にカウンター席があって、その奥で店主(マスター)が仕込みをしている姿が目に取れた。

歳は60位に見える。

背が高く細身のナイスミドルだ。



同じくカウンターの奥に居たマスターの奥さんが明日香に気付く。

「あら、いらっしゃい」

奥さんは背が150cm位の小柄で、可愛らしい顔をしたおばちゃんだ。



マスターも気付き明日香を見つめた。

「雨音さん、いらっしゃい」

「今日は何だか雰囲気が違うね〜」

「艶やかだね〜」



微笑み返す明日香。

「ふふふっ、、ありかとう」

「奥の座敷いいかな?」


マスターが笑顔で頷く。

「どうぞ〜、混まない内に好きに陣取りな」



明日香は桜と蓮香を連れて座敷にあがる。

座敷スペースは大きめのテーブルが4つ設置されていて、テーブルの下は掘りゴタツになっていた。



脚が下に伸ばせて腰に負担がかかりにくい仕様だ。

明日香は直ぐに座ると脚を伸ばして寛ぎだした。


すると桜と蓮香がジャンケンをし出す。

そしてあっさりと一回で勝つ蓮香。


何をしてるのかと思えば、明日香の隣にどちらが座るかジャンケンで決めていたらしい。

嬉しそうに笑顔を見せて、蓮香は明日香の隣に座った。

「勝ちました!」



桜は少しがっかりした様子で、明日香の正面の席に座る。

「今日のところは、蓮香ちゃんに譲るよ〜」



それから取り敢えず3人とも烏龍茶を注文した。

健康と美容を考えて、油を摂取しがちな時は烏龍茶を飲む。

皆んな意識高い系だなぁ、と笑いがこみ上げる明日香だった。



蓮香も桜も注文は明日香に任せるらしい。

初見の店なら馴染みの人間に任せる方が無難と考えたのだろう。



「じゃあ、オススメのとん平焼き3人前と、豚モダンを2人前にするね」

と手際よく明日香は決めて、店のおばちゃんに注文する。



桜が不思議そうに、

「モダン焼きは2人前で大丈夫なの?」


明日香はニヤリとすると、

「思ったよりボリュームあるから後悔しないように2人前ね」

「もし足らなかったら適当に何か注文しよう」



とん平焼きは直ぐに出来上がり、テーブルと一体型鉄板の上にアルミホイルを敷いて提供される。


鉄板はガス火で温まっているので、とん平焼きが焦げて引っ付かないようにアルミホイルを敷くのだ。


トロトロのとん平焼きが口に入れた瞬間に溶ける。

まさに絶品である。

蓮香と桜にも好評のようだ。


桜など、

「とん平焼きとご飯だけでもオッケーなくらい美味しい!」

と言う始末。



まぁ、とん平焼き定食が有るくらいですからね。

酒のアテだがおかずとしてもオススメだ。



その後、モダン焼きが鉄板の上に2つ置かれて驚く蓮香と桜。

予想以上に大きかったからだ。

「だから言ったでしょ!」

と苦笑する明日香。



そして3人で何とかモダン焼き2人前を完食する。

デザートなど注文する気力も食欲ももはや無い。



ふと蓮香が呟いた。

「明日香お姉様、、店のご主人に雨音と呼ばれてましたね」



桜もお腹をさすりながら頷いた。

「そだねぇ〜」

「ここでも、そう呼ばれてるんだね?」



「え?! ここでも、、ですか?」

と訝しげな表情をする蓮香。


桜は少し考える素振りをして、

「え〜とね、、たぶんこの近くの商店街かな?」

「ゲームセンターがあって、そこの人に呼ばれてたよ」

「正確にはアマネンだったけど、、、」



明日香は知らぬ存ぜぬの様子でそっぽを向いていた。

が、隣に座る蓮香の視線が明日香の後頭部に刺さる。



耐えきれなくなった明日香は諦めた様子で当たり障りなく話すことにした。

「この辺りは私のホーム、、的な場所なの」

「偽名と言う訳ではないのだけど、、」

「まぁ、ニックネームみたいなものかな」



納得した様子の蓮香は、急に思い立ったように、

「そうなんですか、、」

「では、、そのゲームセンターに行ってみたいですね」

「桜さんも行った事があるみたいですし」



明日香は困り果てた。

表情には出さないようにはしたが、。

『やっぱりそう言いだすか、、、』

『あそこは本当にプライベートな場所だから、連れて行きたくないのだけど、、』



「雨宿りするのに偶然入った所なんだけどね〜」

「まさかそこで明日香さんに会えるとは思わなかったよ」

と桜は思い出しながら嬉しそうに語る。



蓮香は興味津々な様子で、

「実は少しゲームに興味があるんですよ」

「うちのエンタメサークルにゲーム研究会が有って皆楽しそうなんですよね」


蓮香の話に相槌を打つ桜。

「私、ゲー研に勧誘されたんだよ~」

「行ってみたら意外と楽しそうだった」



「ほほう」

と明日香は意外そうに呟いた。

このリア充ぽい二人がゲームに興味があるとは思わなかった。


しかし、私が常連として通っているゲーセンはマニアックな場所なのである。

この2人が本来行くような場所ではない。

と言うか、行っても面白く無いに違いない。



『まあここで現実と言うのを、この二人に思い知らせるのもアリかもしれないな、、、』

明日香はそう考えてほくそ笑んだ。



それで私に対しての印象が悪くなり落胆でもしてくれれば、少し前の平穏な日常に戻れると言うものだ。



明日香は二人に笑顔を向けると、

「じゃあ、今から行くかい?」

「それと前もって言っておくけど、2人が楽しめる保証はないからね」



すると二人は嬉しそうに頷く。


「大丈夫だよ~、私、何処でも寝れるくらい適応能力たかいよ~」

と自信満々に言う桜。


『それゲームと関係ないよね、、』

と内心でツッコム明日香。


「そうですね~、、私も枕が変わろうが特に関係無く寝れますね~」

と自己分析しながら言う蓮香。


『お前もか!!』

と明日香は内心でげんなりした。



そして明日香は伝票を手に取ると立ち上がった。

「じゃあ取り合えず行きますか、、、」



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