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誰がイケメンの方で、誰がデブの方なのか、、

結局、蓮香と桜を自宅に泊める事となった明日香。

その上、蓮香は明日香のパジャマを勝手に選んで買ったしまった。


結構裾の短い白のワンピースだ。

短いので下は柔らかくて肌触りの良いショートパンツがセットになっている。

デコルテと背中が割と大きく見える扇情的なデザインで、ちょっと恥ずかしいかも、、。



ほくほく顔の2人を連れて粗方店を回りきる。

普通の洋服は余り良いのが無かったので、購入は見送る事にした。



そしてコーヒーショップで3人分カフェラテを買ってしばし休憩。

モール内のソファーに腰掛け喉を潤す明日香達。

そこそこ歩いたので桜が音を上げた。

「疲れたよ~」



蓮香が心配するように桜に問いかけた。

「この後のカラオケはどうします?」

「桜さん疲れたのでしたら、やめておきますか?」



すると桜は急にシャキっとして、

「何を言いますか!」

「全然平気ですよ!」


苦笑する蓮香。


「じゃあ、今から向かう?」

「小一時間程歌えば、夕食時になりそうだし」

と明日香は提案してみた。



「うん、わかった!」

「行こう!」

元気に立ち上がる桜。


夕食に釣られたのかな、、と明日香はほくそ笑む。



そうと決まれば善は急げと言わんばかりに、桜はモールを出ようと歩き出す。

蓮香が慌てて桜を呼び止めた。

「そっちじゃないですよ~」

「お姉様の車が停めてあるのは、こっちの出口ですよ!」



でへへ、、と桜は照れ笑いをして誤魔化した。

どうやら方向音痴のようだ。



やれやれと溜息をつき、明日香は2人を連れて立体駐車場へ向かった。







近場でカラオケ店が無いかネット検索すると、直ぐに見つかりナビを頼りに向かう事にした。

カラオケ店と言うと、駐車場にあまり治安の良さを感じない明日香。

フェアレディ240Z-Gは、マニアックな車なので悪戯されないか心配なのだ。



カラオケ店に到着すると、出入り口の駐車スペースに空きを発見。

ここなら人の出入りも有るので大丈夫だろう。

安心して明日香はZを駐車する。


しかし店内に入ってガックリしてしまう。

何故か混んでいて明日香達を含めて4組待ちになっていたのだ。



蓮香が思い出したように、

「そう言えば今日は土曜日でしたね、、」

「中学生や高校生が歌いに来てるんですよ、、盲点でした」


桜も蓮香を見て頷いた。

「駐輪場にいっぱい自転車が停まってたねぇ」



折角来たので桜が順番待ちのサインをしに記名台に向かって行った。


明日香と蓮香は仲良く引っ付いて待合用のソファーに腰を下ろす。

引っ付くのは桜の座るスペースを空けておくためだ。


蓮香は何だか嬉しそうな表情をしている。

恐らく明日香と密着出来るからだろう。



直ぐに桜が戻って来て明日香と蓮香を見ると、頬を膨らませて不機嫌顔をした。

「私も明日香さんに引っ付きたいのに~!」


どうやら座る位置に問題が有るらしい。

蓮香の隣に桜のスペースを空けていたので、これでは蓮香に密着してしまう。



苦笑して蓮香は横に座る位置をずらした。

それに倣って明日香も溜息をつきながら移動する。

「はい、どうぞ~」

と明日香が桜に声をかける。


嬉しそうに勢いよく明日香の横に桜が座る。

まるで子供だ。



それから3人で雑談しつつ15分程待っていると、店員さんがやって来て記名台を確認した。

なんだか少し戸惑った様子だ。


その店員さんは意を決したように、待合スペースを見渡した。

そして割と大きな声で名前を呼ぶ。

「3名でお待ちのフリー◇ー様~!」

「お部屋の準備ができました!」

「フリー◇ー様~!」



ガクっとなる明日香。

『誰だあんなふざけた名前書きこんだ奴!』



すると桜がスッと立ち上がり、明日香と蓮香にニヤリと笑みを向けた。

「行きますよ!」

「ザーボ◯さん、、ドドリ▽さん、、、」


「お前か!!」とついつい粗暴に突っ込んでしまった明日香。


蓮香はと言うと笑いを堪える為に必死の様子だった。






禁煙室を案内されたので部屋自体は綺麗で過ごし易そうだ。

喫煙可能な部屋だと、エアコンまでヤニが回って風までタバコの臭いがする。

混んでいたので指定出来なかったが、偶然禁煙室で良かったと喜ぶ明日香。



さて、座る位置をどうするか、。

明日香が考えるまででもなかった。



蓮香がオーダーをするつもりらしく内線の傍に座った。

桜は明日香が座るまで待ち、蓮香と挟み込む様に明日香の隣に座る。

やっぱりそうなるか、、。



各自、飲み物を決めて蓮香がオーダーをする。

桜はメロンクリームソーダ。

明日香はジンジャーエール。

蓮香はアイスコーヒーを注文した。


選ぶ飲み物でも性格が出るな。

そう明日香は思い笑みが零れてしまう。



早速、蓮香が明日香に歌って欲しいと言ってきたので、取り敢えず定番曲を選んだ。


月城レインの【you...】だ。

これは雨音でライブ配信する時、開幕インターバルで流す曲である。



「おおぉ! you...だ!」と反応する2人。

10年も前の楽曲だが、桜と蓮香も知っているようで良かった。



柔らかい優しいメロディーが流れる。

そして歌い始める明日香。



「辛い時、あなたが傍にいてくれた」


「あなたの傍で涙を流し」


「あなたと喜びを分け合った」


「一緒に歩んだ道を今も思い出すよ」


「あなたと離れて過ごす時間は、」


「悲しくて 私は泣いてしまうよ」


「あなたが居た時間を思い出すと、」


「寂しくて また泣いてしまうよ」




歌い終わり明日香は2人を確認する。

雨音の時とは、雰囲気を変えて歌ってみた。

だから万が一、2人が雨音を知っていてもバレない筈だ。




桜が驚いた様子で拍手する。

「明日香さん、凄い上手!」

「プロの歌手みたい!」



一方蓮香は、呆然としている。

「、、、、、」



心配になった明日香は、優しく蓮香の肩を揺らしてみた。

「蓮香?」


我に返った蓮香は慌てた様子で、

「は、はい」


そして「ほぅ」と小さな溜息をついた。

「本当に素晴らしい歌声です、、」

「技術もさる事ながら、表現力がプロ顔負けですね」



『良かった雨音とはバレなくて』

とホッと胸を撫で下ろす明日香。



その後は、照れながらも歌う桜が可愛いかった。

素人にしては上手だし、ボイトレとかした事があるのかもしれない。


また蓮香が意外にも演歌を歌えたりして、明日香と桜はビックリした。

しかも何気にコブシがきいていて上手かった。


2人とも見た目も可愛くて綺麗な上に、歌まで上手とは中々にハイスペックだ。



なんやかんやと1時間のはずが、楽しかった為に2時間歌ってしまう。

そして桜がお腹が空いたとごね出したので、カラオケ店を出る事にした。



蓮香が会計を済ませている間に、明日香はZの後部座席に桜を乗せエンジンをかけて待機する。

直ぐに出発出来るようにする為だ。



本当は明日香がカラオケ代を3人分払うつもりだったが、蓮香に押し切られた。

明日香の生歌を聴けたので、そのお返しに払いたいと言ってきたのだ。


何だか照れ臭い。




そして店から出てきた蓮香をZの助手席に乗せ、発進する。


どこに食べに行くか2人に意見を伺うと、桜がすかさず片手を上げた。

「私、お好み焼きが食べたい!」



蓮香は少しだけ考えると、

「そうですね、、お姉様が問題無ければ私は構いませんよ」



「じゃあ決まりだね!」

と桜が嬉しそうに言う。


『私の意見と意思は聞かないのかよ!』

『別にいいのだけど、、』

と内心でぼやく明日香。



そう言う訳で、明日香が行きつけにしているお好み焼き屋に行く事となった。



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