触れ合う乙女達?と遊戯(1)
粗方目的を達したのか、桜と蓮香は満足そうに椅子に座りニヤニヤしていた。
結局この2人は私と仲良くなりたかったのだ。
私も、こんな可愛い娘達に慕われるのは嬉しい。
普通の男なら両手に花である。
でも生憎、私は普通ではない。
そして負けじと桜と蓮香も普通ではない様子だ、、。
逆に上手く行くのかもしれない、、と淡い期待に思いを馳せる明日香。
蓮香の呼ぶ声が聞こえた。
どうやら私らしく無く、ボ~ッとしていたらしい。
「うん? 蓮香、どうしたの?」
明日香の様子が変だったので、蓮香は心配した顔をする。
「あの~、念のために伺いたいのですが、、」
「うちのサークルには入りません?よね?」
「う~ん」と明日香は思案してしまった。
それを見た桜が、
「このエンタメサークルね、色々中で分かれてるみたいだよ~」
「漫才、音楽、漫画、アニメ、、あと~明日香さんが好きなゲームとか!」
「因みに蓮香ちゃんが代表なんだよ~」
驚いた様子で明日香は蓮香を見やる。
「蓮香、凄いじゃない」
「確か結構な人数が在籍してたよね?」
「大変でしょう?」
少し照れた様子の蓮香。
「いえ~私は芸能プロの社長令嬢と言う事もあるので、、」
「神輿担ぎされたというか、、」
「後はスカウト狙いですね、お互い、、」
それでも管理は大変だろう。
色々部門に分かれてるみたいだし、。
それにしても、ゲームも娯楽だからエンタメサークルに有る訳か、、。
明日香は少しだけエンタメサークルに興味が引かれた。
それでも即サークル所属と言う訳ではない。
自分の場所は他にあるのだから。
「そっか、、、」
「取り合えず、私の方は現状維持かな、、」
すると桜も片手を上げて、
「じゃぁ~私も現状維持~」
苦笑する蓮香。
何だか分からないけど、桜の挙動は可愛らしくて面白いのだ。
「分かりました」
そして蓮香は改まるように明日香を見つめると、
「午後はどうしますか?」
「もし特にご予定無ければ、親睦を深められたら、、、と、、」
桜も便乗するように再び片手を上げた。
「私もヒマヒマだよ~」
「明日香さん遊ぼう!」
結局ここまでがセットの狙いだったのかもしれない。
この二人にしてやられたと明日香は思った。
それに仲良くする事に了承した手前、断りにくい。
「うん、構わないわよ」
「どこか行きたい所とかある?」
蓮香は嬉しそうな顔をすると、
「では、洋服でも見に行きませんか?」
「気に入ったものが有ればプレゼントしますよ」
桜が少し食い気味に被せて来た。
「私~明日香さんの歌ききたい~」
「カラオケも行こう!」
明日香は何だか上手く誘導されてる気もするが、気にしないことにする。
「はいはい、、じゃぁ、何処かショッピングモールかアウトレットでも行ってみる?」
「それからカラオケでいい?」
嬉しそうに頷く桜と蓮香。
そして蓮香が追加注文をしてきた。
「あと、、明日香お姉様の、、」
「日頃してらっしゃる事を一緒できたら嬉しいです」
何か思い当たる節が有るような顔で桜が、
「あ~、、確かにちょっと興味あるかも~」
明日香は逡巡した。
『桜は私がレトロゲームが好きなのを知ってるから、、』
『それを詳しく知りたがってるのかもしれないけど、、』
そう、ゲームセンター・スーパースターは妙齢の女子が行くような場所ではない。
しかもこの2人はリア充を体現したような可愛らしいJDだ。
怖い物見たさとは困ったものだ。
まあ、別に怖くはないけど、、。
まあ、遅かれ早かれスーパースターの事は知れてしまうだろうし、それが今日であっても問題ないだろう。
明日香は少し困った顔をする。
そしてそれを笑顔にかえて二人を見つめた。
「うん、、構わないよ」
「でも面白く無くてガッカリしても知らないわよ」
蓮香は嬉しそうな表情で、
「そんな事、気にしないで下さい」
「明日香お姉様を知りたい事に、面白い面白くないは関係ないですよ」
桜が明日香の腕に抱き着いて来た。
「そうだよ~、気にしちゃ駄目だよ~」
「と言う事で、すぐ出発だ~!」
元気すぎる桜に苦笑する明日香と蓮香だった。