表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/134

ゲーム談議(2)

同じゲームの趣味を持つ明日香とメイリン。

それをネタに互いを探り合う為、少し2人の間に微妙な緊張感が生まれる。


本来、他人に対して余り干渉しない明日香だっただけに、慣れない事はする物では無いなと自嘲してしまう。

『親しくない人と話すのは、気を遣うのよね、、、』

『好きなゲームのジャンルが似通っていて、話が合うのがまだ救いかな、、、』



更にこうやって2人だけで話し込んでいる状態になり、他の4人をおざなりにしてしまってる感もあった。

桜や蓮香、それに山岸は気にした風も無い。

しかし雅に関しては、身内以外と仲良くしていると機嫌を損ねてしまうようだ。



何と言うか子供っぽいと言うか、嫉妬深いと言うか、、、。

ひょっとすると、それだけ明日香に求めると言う事は、愛情に飢えていたのかもしれない。


雅の父親は政治家で、母親は大企業の令嬢であった人だ。

そうなるとどちらも忙しく、娘の雅に愛情を注ぐ時間が無かったのだろう。

そう思うと雅の相手が出来ない事に、少し申し訳なく明日香は思ってしまう。



食事が終わり目的のレトロゲーセン”猫ライズ”に向かうのだが、メイリン社長が突拍子も無い事を提案した。

何と雅を自分の車に乗せたいと言い出したのだ。



若干、雅はメイリン社長を嫌っているような所が見受けられるだけに、チャレンジャーだな、、、と明日香は思ってしまう。

するとメイリンが明日香の傍まで来て耳打ちをした。

「今後の事も考えて、雅さんとは仲良くなっておこうと思いまして、、、」


流石、巨大企業の社長だけに打つ手が早いが、その手が上手く行くとは限らない。

取り合えず頷き、明日香は雅の様子を伺った。



意外な事に雅は了承したのだ。

『これは何か仕組んでいたな、、、メイリンさん、、、』


恐らく明日香が見ていない所で、雅へ何が吹き込んだのだろう。

ややこしい事にならなければいいのだが、、、。



そう言う訳で、明日香達は車二台に分かれて猫ライズへ向かう事となった。



 

 **********




雅がメイリンに連れられ駐車場に来ると、国産高級車の前に1人の女性が立っていた。

タイトスカートのビジネススーツ姿で、少し神経質そうで綺麗な女性だ。


そして長そうな黒い髪を丁寧に纏めアップにして、とても清潔感を感じる。

その女性は雅を見て、

「社長、、、そちらのお嬢さんは?」

とメイリンへ尋ねた。



「こちらは崇城 雅さんです」

「私の友人の家族の方で、私の友人でもありますから、失礼の無いようにね」

そうメイリンは答える。



「私はヤン・メイリンの社長秘書をしております」

神前(こうざき)です、宜しくお願いしますね」

その女性は雅へ手を差し出して告げた。


雅は良くも悪くも無い、至って普通の表情で差し出された手を取り握手を交わす。

「こちらこそ、宜しくお願いします」



それから神前は車の後部ドアを開け、

「どうぞ、先にお乗り下さい」

と雅を車内へ誘った。



言われるがまま雅は従い車に乗り込む。

そして自分の実家の秘書とは、随分違うと思ってしまう。

何と言うか女性に対して言うのは変だが、気障っぽいのだ。

良く言えばストイックで格好が良い、、、。


蓮香の所の山岸とも随分と違う。

あちらは秘書では無いが、それでも役割は似たような物であろう。

家柄や企業さらに言えば国柄で、人は変わるのだなと雅は感じた。



ふと、自分は明日香お姉様の元に居て、どう変わるのだろうかと考えてしまう。

願わくは、お姉様の色で自分を染め上げて欲しいと思う。

いや、きっと染まるだろう。

『これだけ愛しているのだから、、、』



そんな事を考えていると、隣にメイリンが座っていて車はいつの間にか発進していた。



雅は居住まいを正すと、

「明日香お姉様の事で大事な話があると言いましたよね」

「どんな話ですか?」

率直にメイリンへ尋ねる。



するとメイリンは笑顔で言った。

「雅さんはゲームはお好きですか?」



「へ?」と雅は素っ頓狂な声が出てしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ