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ヤン・メイリン(3)

水春が宿泊するスイートルームで明日香達は面接をされる事となった。

誤算が有るとすれば、それはメイリン社長が同席すると言う事態であろう。

そもそもがメイリン社長から逃げる為に面接を自演するというのに、、、。



取り合えずパーラールームに通され、広いソファーに明日香達4人が座らされた。

因みに山岸は、マネージャーらしく明日香達の後ろに立っている。

そして水春はテーブルを挟んで、明日香達の前のソファーに腰を下ろした。



問題のメイリン社長はと言うと、何と水春の隣に座ってしまったのだ。

これでは面接官と同じ扱いである。

明日香達はまだ良いとして、傍に居る水春は相当なプレッシャーがある筈だ。

見切り発車の面接を装うのだから、、、。



しかし水春の表情を見ると、どうも様子が違う。

明日香は違和感を感じたが、水春の内心まで見通せるわけも無かった。



実のところ水春は、

『メイリン社長は随分と神宮司さん等を気に入ったようだし、、、』

『上手くすれば彼女達に押し付けて帰れるかもしれんな』

などと自分に都合が良い様に考えていたのだ。




それから水春は居住まいを正すと、真顔で明日香達に告げた。

「では、書面も無い事だし口頭で略歴をお願いしてもいいかな?」


するとメイリンから鋭い突っ込みが入る。

「おや?」

「既にで書面審査は通ってるんですよね? 彼女たちは、、、」

「それに水春さんが顔を覚えているくらいですし、1次2次と直接の審査も通過してると思っていたのですが」

「と言うか、選考会が最終審査なのでしょう?」



正にその通りである。

ここに来てぶつけ本番の綻びと穴が見え始めた。

だが水春氏は狼狽えない。


「いえ、メイリン社長が彼女たちの事を知りたいのではと思まして」

「まぁ一応部外者ですし、彼女たちの個人情報ですから本来は駄目なんですけどね、、、」

と上手く切り返す。



メイリンは少し感心して、水春へ告げた。

「これは申し訳ないです、、、」

「まさかそこまで気を使われているとは思いませんでしたよ」

「でしたら私にはお構いなく、”必要な事項”のみ面接を行って下さい」



取り合えず何とか躱したが、これからどうするのだろう?

必要な事項になると、新作のゲームに対するイメージが合うかどうかになるが、、、。

そうすればとゲームの情報に抵触しそうである。


明日香がそう考えていると、

「では皆さんの特技、、、つまり自己アピールできる点を教えてもらえますか?」

そう水春が明日香達へ言った。



『成程、、、新作に私達がイメージガールとして合うか合わないかは、聞いて勝手に決めるって事ね、、、』

『って、私何本気で考えてるんだろう、、、』

1人でブツブツ考えている明日香を他所に、桜がさっさと答え出してしまう。



「私は誰とでも直ぐに仲良くなれる事です~」

「後はオッパイに自信があります!」



ギョッとする明日香。

『おいおいおい!』

『オッパイって、普通そんな事言わないでしょ、、、って、そうでも無いのかな、、、』

『いや、グラビアでもないのに、やっぱりあり得ないわ、、、』



すると雅も可笑しなことを言い出した。

「私も小柄な割にはオッパイが大きいって言われます」

「だから少しだけ自信があります」

「それと実家が裕福なので、お金にものを言わせる事も出来ます」

「あっ、これは特技にはならないのかな、、、」



明日香は頭を抱えてしまう。

『もう、、、これ真面目に受け答えする気無いでしょ、この2人、、、』


明日香がゲンナリするのを物語る様に、水春氏も苦笑気味だ。



そして蓮香が続く。

「私はスポーツが得意です」

「今も身体は鍛えていますから、スタイルには自信がありますよ!」

流石、蓮香である。

一番真っ当な事を言ってくれて明日香はホッとした。


だがそれはつかの間のようで、

「ご存知かと思いますが、武野内プロダクション社長の娘でして、」

「芸能界に多少のコネと伝手があります、、、ってこれは特技じゃないですね、、、」

などと余計な事を言い出す。



『絶対、君達ワザとやってるよね、、、』

そう内心で突っ込みながら明日香は再び頭を抱える。



そんな明日香に苦笑しながら水春が尋ねた。

「で、では、、、神宮司 明日香さんの特技やアピールポイントは何ですか?」



『そ、そうだった、、、私も答えないといけないのか、、、』

滅茶苦茶な3人娘に気を取られて、自分の事を忘れていた明日香であった。


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