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ヤン・メイリン(1)

水春氏から事情を聴いていたのはいいが、目立つホテルのロビーと言うのは如何なもだろう、、、。

EVOの社長にこっそり聞かれていたらどうするのか。



そんな事を明日香が思っていると、背後から女性の声がした。

「水春さん、ここに居ましたか、、、」

「探しましたよ」



水春は明日香の背後に視線を向けて、済まなそうに話し出した。

「あ〜、いや、申し訳ないです」

「随分と高級なホテルなので、あちこち見て回っていた所です」

「それで、偶然この娘達に会いまして、、、」



明日香が背後へ振り返ると、そこにはスーツ姿の女性が立っていた。

背が高く、ヒールを履いているので身長が180cmを超えているように見える。

またかなりの美人で上品に纏めてアップした髪と、お洒落な眼鏡がセンスの良さを感じさせた。



その女性は明日香達を見渡すと、

「この娘達?」

「ほほう、、、随分と美形なお嬢さん達ですね」

そう少し訝しげに水春へ告げる。



水春はソファーから立ち上がり、わざとらしく困った表情を浮かべた。

「実は、今日なんですが、本当は選考会だったんですよ」

「次回新作のイメージガールのね」

「で、その選考会に来る予定だったのが彼女達と言う訳です」



スーツ姿の女性は、思い出すような仕草をする。

「そう言えば、そうでした、、、」

「選考会の方を延期して、当方を優先して頂いたのでしたね」


そして明日香達へ頭を下げると、

「私はヤン・メイリンという者です」

「ごめんなさいね、貴女達の予定を潰してしまって、、、」

申し訳なさそうに言った。


この女性が、かの大企業EVOの社長と思うと色々驚いてしまった明日香。

何に驚いたかと言うと、その若さであった。

恐らくいっても20代半ばかと思われる年齢で、しかも相当に美人でモデルの様だ。



兎に角、そんな事を考えている場合ではない。

名乗られたので名乗り返すのが筋である。

半ば条件反射のように明日香も会釈した。

「あ、いえ、、、これはご丁寧に、、、」

「私は神宮司 明日香といいます」


すると家族の3人も次々に名乗り出す。

「新見 桜です」

「武野内 蓮香です」

「崇城 雅です」


更に山岸も名乗った。

「私は彼女達のマネージャーの山岸と言います」


明日香は、そんな山岸に少し呆れてしまう。

『マネージャーって言い切っちゃうんだ、、、』

『あざといと言うか、臨機応変と言うか、、、』

しかし、そうなるとタレント?と言う事になるのでは?

口裏を合わせる準備をしていないのに大丈夫だろうか、、、と明日香は心配になってしまう。



「ここで偶然会ったのも何かの巡り合わせと思い、もし水春さんの方が問題無ければ面接だけでもして頂こうかと思っていまして」

と明日香の心配は余所に山岸は一気に捲し立てた。



頷く水春は、わざとらしく考え込む様子を見せる。

「私としては新作のイメージガールを早めに決めておきたかったでんですが、、、」

「お世話になったメイリン社長の手前もありますし、、、」


事情を知る明日香からすれば茶番であり馬鹿らしい限りだ。

だが水春氏のファンを自負する自分としては、水春氏が困っているなら助けてあげたい。

それが馬鹿らしくてもだ。



「私も選考会は随分気合を入れて準備していたんですが、まさか延期になるなんて思いもよりませんでした」

「他の予定もそっちのけで、こちらを選んだのに、、、」

「ですからせめて少しでも時間が空いてましたら、面接だけでもして頂きたいんです!」

そう明日香は切羽詰まったように語ってみた。

出来るだけ(わざ)とらしくないように、、、。



そうするとメイリンは申し訳ない表情で明日香達を見渡した。

少し居たたまれない様子に見える。


追撃とばかりに桜が何か言おうとした時、

「分かりました、、、」

「私としても、こんな可愛い娘達の邪魔をしてしまったと思うと、とても忍びないです」

「水春さん、面接だけでもしてあげて下さい」

とメイリンは少し頭を下げて告げた。



しめた、、、と水春の表情が緩んだ時、メイリンが言葉を続ける。

「もし問題無ければ、、、」

「私もその面接に同席させて貰う事は可能でしょうか?」



やはり一筋縄ではいかなかったようだ、、、。


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