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依頼はイメージガール

水春が明日香達に依頼したい内容とは、次の新作ゲームのイメージガールを務める事であった。

イメージガールと言っても、それを装うだけで実際にする訳では無い。



そしてその狙いは、水春がこのホテルで接待を受けている商談相手に引き下がって貰う事である。

しかしどうして商談相手が引き下がるような事になるのか?



水春氏の説明では、元々イメージガールの選考会が今日行われる筈だったらしい。

だが今回の商談の為に急遽中止になり、いざ商談に着いてみれば実はヘッドハンティングだったと言う落ち。

これには水春も愕然としたとの事だ。


そこで選考会に来る予定だった明日香達が、偶然このホテルで水春と鉢合わせする。

更に選考会の中止に不満を持った明日香達が、水春に直談判すれば、、、。

後ろめたい水春にすれば、面接だけでもしようと言う流れになる。



少々強引な筋書きではあるが、このでっち上げた面接で商談相手から逃げる算段なのだ。

なら明日香達を利用せずとも、口で嘘八百を並べて商談相手を納得させ帰路につけば良いとも思うのだが、そう上手くは行かないらしい。


「相手はね、こちらのスケジュールを事細かく調べていてね、、、」

「まるでストーカーだよ、、、困ったものだ」

「だからね下手な嘘は通じないんだよ」

と水春は説明紛いの愚痴をこぼした。



優秀な人材とは何処でも引っ張りだこである。

スケジュールまで調べられているとは、相手側は興信所でも利用しているのだろうか?

何にしろ大変そうである。



とにかく筋書きは大体分かった。

後は実際にどうするかである。

「では、どうしましょうか?」

「私達を連れて商談相手に会う感じですか?」



頷く水春。

「そうだね」

「恐らくホテル内を探し回っているだろうから、出くわす筈だ」

「そのタイミングで君達を含めて相手に話をしよう」


それから少し改まると、

「報酬の方は、一人当たり5万でどうかな?」

さり気なく明日香に告げる。



水春に口裏を合わせて演技するだけなのだ。

それで一人頭5万は貰い過ぎなくらいである。

それに明日香は、正直お金には困っていない。

お金を貰うくらいなら、、、。


「私はお金の報酬は要りません」

「それよりも次回の新作情報を聞けたら、嬉しいかな、、、」

「勿論一切口外はしませんよ!」

と明日香は本心を水春へ伝えた。


すると水春は苦笑する。

「君は本当にうちのゲームが好きみたいだね」

「作り手としては非常に嬉しい事だが、、、そんな事で良いのかね?」



これは新作の情報が聞けると確信した明日香。

ならばもう一押ししておこうと欲を出す。

「はい、良ければ全く公開していない情報が知りたいです」

「信用出来なければ身分証をコピーして渡しますし、連絡先もお教えします」


そう言って明日香はハッとした。

家族である3人に報酬の相談無しに決めてしまったからだ。

しかもゲームの情報など、桜や蓮香や雅にとっては全く利が無い。



不味ったとばかりの表情で明日香は3人に視線を向ける。

そうすると桜は笑顔を浮かべて、

「明日香さんが楽しみにしてるゲームの新作情報なら、私も知っておきたいよ~」

と言ってくれた。


蓮香も桜と同様の様子だ。

「私もです」

「格闘ゲームは私には無理ですけど、お姉様の為さる物でしたら既知にしておきたいですね」


雅はと言うと、

「私もお金はいらないです、、、」

「良く分からないので明日香お姉様にお任せします」

そう何故か子供っぽい口調で言う。

何だか可愛らしい、、、。


と言うか3人とも優しい。

自分達に得が無い依頼と報酬なのに、明日香に合せてくれるのだから。

そして明日香は申し訳なさと嬉しさと、3人の可愛らしさにキュンとしてしまう。

「も~、、、3人とも何て素直で可愛いの、、、」

「後で何でもお願い聞いちゃうからね!」



明日香は上機嫌でウッカリした事を口走ってしまった。

傍で見ていた山岸が少し引き気味の様子で、

「あちゃ~、、、」

と小さく呟く。


この時、明日香は3人に言質を与えた事に気付いていない。



一方、水春は明日香の惚気に付き合わされた感じで、苦笑いするしか無かった。


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