水面の美女達(1)
高級ホテルの屋内プールにやって来た明日香達。
まだ水着では肌寒い時期なので、空調もちゃんと効いている。
さすが時期を問わず楽しめる屋内リゾート施設だ。
桜が嬉しそうに1番手でプールまで駆け出し、プールサイドに腰掛けて両足を水面に浸けた。
「おぉ〜、ほんのり温かいよ〜」
蓮香が苦笑する。
「当たり前です」
「温水プールなんですから」
明日香も桜に続きプールに足を浸してみた。
『温水プールなんて初めてだな、、、』
そう珍しそうに明日香が足を水中で動かしていると、雅が真横にやって来る。
そして明日香に肩を密着させ、
「今日は沢山楽しんで下さいね」
「夜の方は1日お休みにしますので、、、」
とはにかむように告げた。
夜の方とは詰まり、夜の営みの事である。
要するに昼間に遊び過ぎて、体力を使っても大丈夫だと雅は言っているのだ。
昨夜は桜と随分頑張ってしまったので、正直今夜はゆっくり眠りたい気分であった。
『”その辺り”の管理は私じゃ無く、この娘達にされちゃうのか?』
明日香はそう思うと、何だか嬉しいやら情けないやら複雑な気分である。
そんな事を思っていると、桜が蓮香を連れてビーチボールで遊びだした。
どこからボールなんて持って来たのやら、、、と疑問に感じ周囲を見渡す明日香。
すると山岸が後ろの方で浮き輪を膨らませているのが目に取れた。
ビーチボールもこの人が準備していたのだろう。
明日香達の遊びに仕事で付き合わされる山岸を見ると、申し訳無くなってしまう。
「山岸さん、さっきの事もそうですけど、、、」
「私達の遊びに付き合わせてしまって、すみません」
明日香が山岸に頭を下げてそう言う。
山岸は苦笑する。
「いいのよ、、、」
「言い方は悪くなっちゃうけど、こんな気楽な仕事で結構な給金が貰えるのだから、逆に申し訳ないくらいよ」
そしてニッと笑みを浮かべて言った。
「それに、こんな可愛い子達を見れて目の保養になるし」
ひょっとして山岸は桜と同じタイプなのかと明日香は勘繰ってしまう。
だが性的な趣向は人それぞれなので、他人がとやかく言う筋合いは無いのだ。
『山岸さんからの万が一の誘惑には気を付けないとね、、、』
『まぁ、雇い主の蓮香を裏切るような真似はしないだろうけど』
雅がいつの間にかプールに入り、一緒に遊びたそうに明日香を見つめていた。
遊ぶのはいいが、明日香は今までプールや海に行って遊んだ事が皆無なのだ。
だからどう遊ぶのか分からなかった。
別に今までボッチだったと言う訳では無い。
只、付きず離れずで他人と関わって来た為、こう言ったレジャー施設で遊ぶ機会が無かったのである。
ある意味、自分自身の自由を優先した弊害と言えた。
「え~っと、、、何して遊ぼうか?」
と明日香は少し愛想笑い気味になる。
それを聞いた雅は、切なそうな顔をして明日香を見つめた。
「プールでの遊び方をしらないだなんて、、、」
「なんて可哀そうなお姉様、、、」
「一緒に遊んでくれる御友人が居なかったのですね」
まさか雅に深読みされて哀れまれるとは、、、。
しかし的を射ているので反論できない。
「あぅ、、、そんな可哀そうな子を見るような言い方しないでぇ、、、」
もう明日香は泣き言をいうしかない。
すると雅は嬉しそうに明日香へ抱き着いて来た。
「でもそんな事は気にしなくても良いです」
「これからは私達でそれを全て補えますから」
そしてそのままプールの中に引っ張られてしまった。
深さは腰ほどしかないので、2人して頭からずぶ濡れになる事は無い。
その代わり雅にガッツリ抱き着かれた上、胸に頬ずりされてしまう。
「お姉様、、、凄く良い匂いがします、、、」
「え?! ちょっと雅!」
「一応公衆の場なんだから、、、」
と慌てる明日香。
そうなると桜と蓮香も黙っていない。
「あ~ズルい! 私も!!」
「雅さんだけで、お姉様の水着姿を楽しむのは駄目ですよ!」
そう言い放ち、抱き合っている2人へ躍りかかった。
盛大に水飛沫を巻き上げて、4人はプールに沈む。
咄嗟に雅を庇った明日香は、桜のオッパイプレスを喰らって溺れかかる始末。
何とか蓮香や雅の手を借りて立ち上がった明日香は、
「私、、、泳ぎの練習どころか、水に潜った事もないかも、、、」
咳き込みながら3人に告げた。
これには桜も蓮香も雅も、驚いて声を揃えてしまうのであった。
「「「ええぇえ?!」」」