身内間の関係
色々とバタバタしたが、明日香達は漸く全員が水着に着替え終えて更衣室を出るに至る。
更衣室の外では山岸が少し疲れた様な表情で待っていた。
「声がここまで聞こえていましたよ」
「個室とは言え、注意して頂かないと、、、」
と不満そうに山岸が明日香へ告げる。
付き添いの身としては肝が冷え筈だ。
自分ではどうにも出来なかった状況とは言え、迷惑をかけてしまったと明日香は後悔する。
「すみません、山岸さん、、、」
少し落ち込んだように謝る明日香を見て、山岸の方がなんだか申し訳なくなってしまう。
「そんなに気を落とさなくても、、、」
「綺麗な顔が台無しになってしまいますよ」
そう明日香を励ますように山岸は言った。
すると桜が悪戯顔で、
「相手を落としておいて、そこから慰めるとは中々のやり手ですね!」
「流石、山岸さん! 大人の女です」
などと言いだす。
困った表情で否定しようとする山岸。
「え~、、、そんなつもりは、、、」
次の瞬間、雅が桜の背後から胸を鷲掴みにした。
「ひゃっ!?」と小さな悲鳴を上げる桜。
「迷惑をかけた原因は桜さんでしょう?」
「あんな事を明日香お姉様にしなければ、喘ぎ声を上げる事もなかったのに」
と言いながら雅は桜の巨乳を揉み続ける。
桜は困ったように、そして悶える様に小さな悲鳴を上げる。
「や、やめてぇ~!」
「そんなに弄ったら零れちゃうよ~」
雅は執拗に桜の胸を揉み続け、
「何が零れるんですか?」
「胸ですか? それとも汁ですか?」
と滅茶苦茶な事を言いだした。
『汁って、そんなお下品な事を、、、』
『それにしても雅は桜に強いような気がするなぁ、、、』
そう明日香は思い何だか笑いが漏れそうになった。
誰にでも人懐っこい桜が、どうも雅には弱いような気がするのだ。
と言うか桜が雅に気後れしているのではなく、ただ単に雅が桜に対して強気なだけなのかもしれないが、、、。
そうして目一杯、桜を悶えさせて満足したのか雅は、
「オッパイお化けのお仕置きは、この程度でいいでしょう」
「さぁ行きましょうか、お姉様」
すっかりご満悦の様子で明日香へ笑顔を見せて言った。
布地が少ないブラジリアンカットの水着が仇となったのか、桜の胸は揉まれて少し赤く手の痕が残ってしまっていた。
肌が白いと、こういう時に困りものである。
そんな桜を心配して蓮香が傍に近づいた。
そして桜の腰に手をまわすと、少し赤くなったその胸を優しく擦り、
「あら可哀そうに、ほんのり赤くなってしまいましたね」
「でもプールは利用客が少なそうですし、きっと人目は気にしなくても大丈夫ですよ」
と余り励ましになっていない言葉をかけた。
蓮香の言い様は的外れな気もする。
しかしそれよりも明日香は2人の距離感が気になってしまう。
何と言うか、まるで恋人同士の様に近いのだ。
桜は自分がバイだと自称しているし、蓮香も桜と共に明日香のファンクラブを作る程、意気投合している。
ひょっとしたら、、、と考える明日香。
自分を慕ってくれている2人なだけに、少し複雑な気分である。
まぁ、仲が悪いよりはよっぽど良い事なのだが。
そう思いつつも雅に手を引かれ、プールへと到着する。
思った以上に広く本格的に泳げる25mプールと、その隣に上から見ると勾玉のような形のプールが目に取れた。
利用客は疎らで、大衆のリゾート施設と比べると随分と雰囲気が違う。
しかもプールの一画には、お洒落なBARカウンターもありセレブ感が伝わって来る。
これが大衆施設だと屋台や売店になってしまうのだ。
ほんの少しだが明日香は、自分が場違いなのではないかと感じてしまった。
でもそんな事を考えていては、一緒に来てくれている3人に申し訳が無いとも思ってしまう。
だから明日香は思い切って一歩を踏み出す。
『何だかこの旅行は、初体験がいっぱいだな~』
きっとこの3人の娘と居れば、楽しい初体験を沢山出来るに違いない。