明日香への細工
滞在する高級旅館から車で10分程の所に、目的の屋内温水プール施設があった。
なんとそこは高級ホテル内の施設で、宿泊していない人間でも利用が出来るらしい。
只、温水プールとして利用するには割高なのでセレブしか来ないそうだ。
そして今回、脇村は完全な運転手に徹するようなのでプールには来ない。
一方、山岸は4人の付き人兼引率となる。
車から降り、各々着替えの入った鞄を持ち連れ立ってホテルに入る。
因みに明日香は、自分の手持ちの着替えを確認出来ていない。
と言うか、自分の物を持ったされていなかった。
不安になり明日香は色々考えてしまう。
『まさか男性用の水着なんて事ないよね、、、』
正直、有り得なくも無い。
しかしそれは明日香としては困る。
自分で言うのも何だが、男とは思えない体のラインをしているからだ。
それに長い間、女性として生活して来たのだ。
今更、男性物を来たり身に付けたり出来る訳がなかった。
そんな事を憂鬱と考えている内に、ホテルのエントランスに到着してしまう。
テキパキと山岸がフロントで手続きを済ませる。
プールの使用料を聞いて明日香は度肝を抜かれた。
なんと4人分の使用料で2万円も掛かったのだ。
1人頭5000円、、、高い、、、。
流石、高級ホテルだ。
余談だが、このホテルの宿泊客はプールの使用は自由らしい。
只、1番安い部屋でも1人一泊5万円以上するのだ。
スイートだと一体幾ら掛かる事やら。
山岸に連れられて明日香達4人は更衣室に到着する。
このホテルは外来客ごとに更衣室を1つ提供していて、明日香としては実に安心出来る環境であった。
例えるならトイレを探していて、多目的トイレが有った時のような安心感なのだ。
そもそも男である明日香が、一般的な女性に混ざって水着に着替える事など不可能である。
また見た目が完全に女性である為、男性と混ざって着替える事も憚るのだ。
とにかく明日香は女性として生活する上で、色々な難関がありストレスもあった。
山岸は仕事で付き添っているので水着にはならないようだ。
だから使用料を4人分しか払わなかったのだ。
そして皆、水着へ着替える為に徐に服を脱ぎ出す。
『うぅ、、、何だが居た堪れない、、、』
そう思いながら明日香がモタモタしていると、桜が一早く真っ裸になった。
余りの展開の速さに呆然としてしまう明日香。
更に蓮香と雅も素っ裸で、明日香の傍に来てしまう。
そして申し訳無さそうに蓮香は鞄を差し出して言った。
「すみません、お姉様、、、」
「水着を先にお渡しし忘れていました」
鞄を受け取り両手が塞がった瞬間、明日香は桜にスカートとショーツを一気にずり降ろされてしまう。
「きゃっ!?」
明日香が悲鳴を上げるのを他所に、桜は蓮香に告げた。
「蓮香ちゃん、今の内に細工しちゃって!」
いつの間にか15cm程にカットされたガムテープを手にしていた蓮香。
そのまま屈み込むと明日香の大事な部分にガムテープで貼り付け、何とお尻の方へ収納するように隠してしまった。
余りの早技に言葉を失い、呆然と交直する明日香。
その様子を見て桜が、
「明日香さん、無駄毛どころかツルツルだから良いけど、、、」
「普通だったら絶対テープが痛いよね!?」
と苦笑しながら言った。
同じく苦笑いをする蓮香は、黒いデザイン性の無いショーツを取り出し明日香へ履かせた。
このショーツは、大事な部分に薄いパットが縫い付けられている。
詰まりこれは、テープで留めた大事な部分を更に固定して、女子の股間のようにしてしまうサポーターだったのだ。
あっと言う間に作業が済み、蓮香は鞄から黒い水着を取り出し笑みを浮かべる。
かく言う桜と雅も、楽しくて仕方ないような微笑みを見せるのであった。