二日目の予定は屋内レジャー
朝の九時まで寝てしまった明日香と桜。
本来、温泉旅館に泊まりに来ているので、のんびりでも問題無い。
しかし雅の話では、昼までにみんなで出かけたい場所があるそうだ。
桜もその予定を知っていたようで、
「あ、、、忘れる所だった、、、」
とウッカリした顔で言った。
そして明日香に笑顔を見せて告げた。
「今日はね、プールへいくんだよ~」
少し驚いてしまう明日香。
この時期にプールとは、寒すぎて無理である。
と言う事は屋内プールであろう。
軽井沢には色々と屋内レジャー施設があるのは有名だ。
「じゃぁ、温水プールだね?」
そう明日香が訊き返すと、桜は嬉しそうに頷く。
『待てよ、、、プールに行くってことは水着を着る訳で、、、』
根本的な部分に弊害が有る事を明日香は気付く。
そもそも見た目は完全に女性であるが、下は男性の象徴がちゃんと付いているのだ。
それに胸も無い。
こんな明日香がプールに入れる訳が無かった。
明日香は申し訳なさそうに桜へ伝える。
「他人の目が有るような公衆の場で、水着なんか着れないよ」
「男だってバレちゃうし、、、」
すると桜はキョトンとした顔で変な声を出した。
「ほえ?」
そしてニヤリと笑みを浮かべると、
「あ、、、その心配なら大丈夫だよ~」
「ちゃんと”準備”はしてあるから!」
そう良く分からない自信を見せて言う。
何だか滅茶苦茶不安になってしまう明日香。
桜達が悪さをする筈も無く、そう言った意味では心配はしていない。
只、明日香が困らされれる事態になるのではと危惧しているのだ。
そんな明日香をグイグイ風呂場へ引っ張って行く桜。
「明日香さん、早く身支度して朝食済ませよう〜」
「皆んなでプール、楽しみだねぇ」
楽しそうな桜を見ていると、明日香は自分の心配事が些細な事のように思えた。
『まぁいいか、、、』
風呂場へ向かう途中、リビングで蓮香と雅に会う。
そうすると羨ましそうな顔で、2人に見つめられた。
「お姉様、昨夜は随分楽しまれたようですね」
「張り切り過ぎて疲れてませんか?」
と少し心配そうに蓮香が尋ねる。
隣の寝室に蓮香と雅が居た筈なのだ。
襖一枚隔てただけで、きっと声などが丸聞こえだったに違いない。
そう考えると明日香は赤面してしまい、返事に窮して固まってしまった。
だが桜は全然気にした様子も無く、少し申し訳ない表情を蓮香に向ける。
「ごめんねぇ、昨夜はうるさかったでしょ?」
更に明日香へ同意を求めるように、
「でもそのお陰で、私達は身体も心もリフレッシュだよね?!」
と続けた。
確かに桜の言う通り明日香は満たされた心に、疲れて眠った為かグッスリと質の良い睡眠が取れた様であった。
でも恥ずかしいので桜のように、ざっくばらんには言えない。
「うん、、、疲れは残ってないよ、、、」
そう明日香は少し俯いて答えるのが精一杯であった。
そんな明日香を見た蓮香が、
「恥じらう明日香お姉様もまた格別です、、、」
「私もそんな風に、お姉様を恥じらわせたい、、、」
と、うっとりとして呟くように言い出す。
いえ、蓮香さんが恥ずかしい事を訊くから照れたんですよ、、、。
と突っ込みたかった明日香だが、折角盛り上がっている蓮香に悪いと思い我慢した。
へくちっ!
絶妙なタイミングで、桜が変なクシャミをする。
真っ裸に浴衣を軽く羽織っただけなので、身体が冷えたのかもしれない。
この辺りは午前中の気温が低くて、油断をしていると風邪を引いてしまいそうであった。
流石、避暑地である。
「取り敢えず温泉に入ろっか」
そう言って明日香は、桜を抱き寄せた。
桜の冷えた身体を、少しでも温めたいと思ってしまったからだ。
そんな様子を見て、再び羨ましいそうな顔をする蓮香。
一方、雅はリビングに居るのだが物凄く大人しかった。
テレビの前で殆ど気配が無いくらいに大人しい。
明日香は気になって何を観ているのか覗きに込むと、アダルトビデオをガン見していたのだった。
しかも音量を0にして、、、。
『雅、、、君も蓮香と同じムッツリだったのね、、、』
明日香は桜を連れて、逃げるようにお風呂場へ向かうのであった。