湯舟の中で癒しの催促(2)
蓮香に自分達を癒して欲しいと告げられた明日香。
言われるがままに桜と蓮香を湯舟の中で抱きしめてあげた。
結果は上々であり、明日香もホッと胸を撫で下ろす。
平常心と何故か芽生えた母性本能が、明日香を煩悩から辛うじて守っていたが、最後にまだ雅が残っている事に愕然とした。
正直に言って雅は色々と不味い。
何が不味いかと言うと、男性の欲望が全て詰め込まれたような様相をしているからだ。
これは正に煩悩な意味でのダークホースと言えた。
先ずその150cm程しかない身長。
体重など40kgも無いのでは、、、。
そして20歳になるとは思えないあどけない顔立ち。
これはどう見ても高校生未満に見えてしまう。
何だか色々不味い気がして、明日香は条件を出した。
「雅、、、身体にバスタオルを巻いてくれる?」
「そしたらちゃんと抱きしめてあげるよ~」
雅は逡巡するが、家長であり慕っている相手の言う事は聞かざるを得ない。
仕方なく明日香が先程まで巻いていたバスタオルを身体に巻き付け、おずおすと傍にやって来た。
そして明日香を見つめると恥ずかしそうに雅は告げた。
「お腹と胸を撫でて欲しいです、、、」
「えっ?!」
「抱っこじゃ無くて撫でるんだ、、、?」
と少し意表を突かれた内容に明日香は訊き返してしまった。
小さく頷く雅。
お腹と胸を撫でる、、、。
その具体的な要望に明日香は戸惑ってしまう。
要するにペットの犬や猫がするように、雅が仰向けになってお腹を晒すと言う事なのだ。
考えるだけで羞恥心を煽られてしまい居たたまれ無くなってしまう。
結果的にバスタオルを身体に巻かせておいて正解だったと言える。
もたもたしていると雅が明日香の膝の上へ横に腰をかけて来た。
そして両手は明日香の肩に回して自身を支え、まるでお姫様抱っこされるのを待っているようである。
と言うか暗に「早く背に手を回して支えろ」と言っているのだ。
仕方なしに明日香は左腕で雅の背を支える。
すると雅は安心したように明日香の肩から両手でを離し、リラックスするように仰向けになった。
元々軽い雅の体重が、お湯の浮力で更に軽くなり明日香の片手で楽々支えられる。
何て華奢な体をしているのだろう、、、。
そう正直な感想を内心で呟いていると、
「お姉様、、、早く、、、」
と焦れたように雅は告げた。
戸惑いつつも明日香は頷くと右手を雅の体に近付けた。
「う、うん、、、」
「じゃぁ、撫でるね、、、」
そうしてぎこちない手付きでソッと雅の胸の谷間に触れる。
ほんの少しだけ小さく身震いして雅は声を漏らした。
「あっ、、、」
驚いた明日香は咄嗟に手を引っ込めそうになる。
『お願いだから、そんな色っぽい声出さないで〜!』
内心でそう叫びながら必死に煩悩に耐えて、ゆっくりと手を動かした。
すると、くすぐったかったのか雅は笑いながら悶えだす。
「くふっ、、、お、お姉様、こそばゆいです!!」
明日香は首を傾げる。
『う~ん、、、力加減が難しいな、、、』
試行錯誤しながら撫でるが、バスタオルの上からが影響したのか増々笑い出す雅。
結局、笑い疲れてグッタリした雅を、お湯の中にウッカリ落としそうになり慌てる事態に、、、。
よくよく考えると動物も余り撫でた事がない明日香。
人とのスキンシップもほとんど経験が無く、上手く行くはずが無かったのだ。
これからこの娘達と色々経験していくにしても、慣れる事と覚える事が多いな、、、と明日香は頭を抱えるのであった。