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48話 くす玉のカウントダウン

 

 では、始めるとしようか……


「みんな、待たせたな! これからメルダの受賞を祝して創作料理を披露させてもらう! みんな、目と耳と舌で楽しんでくれ!」


『『うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!』』


 客達の歓声で店内が震えている。

 これは期待を裏切ることは出来ないな!


 まずは両手から25個の小さな火の玉を放ち、螺旋状に円を描きながら天井へと向かわせた。

 そして、縦横5個ずつの正方形に並べ待機させる。

 玉の色は赤、オレンジ、青、緑の4色を不規則に混ぜた。


「何が始まるんだ?」

「凄い綺麗だな……」

「店を燃やす気か?」


 よしよし、演出は悪くないようだ。

 当然だが店を燃やすつもりはない。


 《フォン、頼む!》

 《いくんだわさ!》


 フォンの体が黄金色こがねいろに輝き九尾キュウビ化する。

 そして、目が金色に光り、卵の入った球を天井付近へと持ち上げた。

 俺は天井に待機させている火の玉を、外側から順に円を描くように爆発させる。

 勿論、敵意は込めていないので燃えることはない。


「パン! パン! パン! パン! パン!」


 客達の頭上には花火のような音が鳴り響く。


「なんだなんだ?」

「うおっ! びっくりした!」

「爆発したぞ!」


 俺の炎は対象を燃やすか否かを思いの儘に操れる。

 その事を知らない客達は、天井の火の玉と爆発音に困惑している。

 天井の火の玉が残り20個になった時、俺は爆発を止めた。


「おい、止まったぞ……」

「何があったんだ?……」


「見ての通りこの玉は爆発するが、何かを燃やしたり壊す事はない。今、みんなの頭上に20個の玉を残した。これからまたひとつずつ爆発させるが、みんなの手拍子でカウントダウンをして欲しい。そして、0になった時に“おめでとう”と言ってもらいたい! よろしく頼む!」


 これは、客達にもイベントに参加してもらいたいという意図を込めた演出だ。

 客達は困惑しつつも数人は俺の意図を理解したようで頷く。


「よし、行くぞ! 20・19・18……」

「パン! パン! パン!」

「20・19・18……」


「17・16・15・14……」

「パン! パン! パン! パン!」

「「17・16・15・14……」」


 周囲の様子を見て理解した客達が、だんだんと声を合わせていく。


「13・12・11・10……」

「パン! パン! パン! パン!」

「「「13・12・11・10……」」」


 7割程の客の声が揃い、店員達も声を合わせ始める。

 そして、ボウルの中に忍ばせた炎の竜巻に、中火程度の敵意を込めた。


「9・8・7・6……」

「パン! パン! パン! パン!」

「「「「9・8・7・6……」」」」


 全員の声が、店内に木霊する。

 そして俺は、球の中にある炎の竜巻を消した。


「5!・4!・3!・2!・1! せーのっ!」

「パン! パン! パン! パン! パン!」

『『5!・4!・3!・2!・1!』』


 《ダルス、今だ!》

 《了解っす〜》


 ダルスは左手の爪を伸ばし、球の中央を切り裂いた。

 すると、中から竜巻の炎により半凝固した卵がケチャップライスへと降り注がれる。


「おめでとう!!」

『『おめでとう!!』』


 “おめでとう”の声と共にケチャップライスの山を卵が流れていく。

 今回のサプライズ料理、それは“くす玉オムライス”だ!


「メルダ、受賞おめでとう!」

「あっ、ありがとう。こんなに沢山の人に祝ってもらえて、とても嬉しいわ……」


 メルダは涙目になり、感謝の言葉を述べた。

 そして俺は、皿を片手に飢えた獣と化した獣人達へ声を掛ける。


「よーし! じゃあみんなで食おうぜ! どんどん持ってけ!!」


『うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!』


 待てを解かれた犬の如く、オムライスは飢えた獣達に狩られていき、僅か数分で跡形も無く消え去った。

 皿に山盛りとなったオムライスを抱えて笑顔で頬張る獣人達が多数見られ、味も好評だったことが伺える。


「フォン、ダルスありがとな!」

「上手くいって良かったんだわさ!」

「面白い演出だったっす!」


 演出や料理が成功した事に胸を撫で下ろし、俺達は各々の席へと戻った。


今回もお読みくださりありがとうございます。

ブックマークや評価を頂けると嬉しいです。


執筆中に118件目のブックマークを頂きました!

ありがとうございます!

次回の更新は16日の予定です。


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