45話 飯だ飯!
「俺は、メルダの友人だよ……」
「友人ねぇ。確かオリハルコンの精製による熱源は友人の協力とか言ってたな。お前がその協力者か。つまり、お前も裏で根回ししていたってことだな? ボクは騙されないぞ! お前達の不正を暴いてやる!」
「ちょっとハワード! あんたねぇ、いい加減にしなさいよ!」
《コイツ何なんだわさ! 勝手な事を言って……ぶっ飛ばしてやるんだわさ!》
《待つのである! ここで手を出したらまずいのである……》
話がややこしくなってきた。
しかし、メルダは呆れた表情で口を開く。
「あなたの研究はとても高度で素晴らしいものだわ。でもね、あなたが幾ら素晴らしい成果や知識を披露しても、相手を卑下した時点で大幅に評価が下がるのよ。あなたには相手の事を考える気遣いが欠けているわ……」
魔導師ハワードは唇を噛み締め、悔しさを滲ませている。
「……クソっ! 潰してやる!」
そして小声で呟くと、どこかへ立ち去ってしまった。
「アイツ何なんだわさ! 言いたいこと言って行っちゃったんだわさ!……」
「うーむ、問題児である……」
「なんだよあいつ……」
「ハワードもあたしと同じく幼い頃に両親を殺されたのよ。それで魔導師となったの。だから、あの性格は仕方ないのよ……」
「でも、あの言い方は酷すぎるだろ!」
「いいのよ。あたしが受け止めてあげないと、ハワードは本当に一人になっちゃうから……」
「メルダ、お前優しいな」
「ちょ、ちょっと勘違いしないで。ハワードとは幼馴染の腐れ縁なだけよ……」
「そうか……」
「そうよ……」
メルダは目を細めながら、立ち去っていく魔導師ハワードの後姿を眺めている。
その顔は寂しそうに、そして何か複雑なものを感じさせる表情をしていた……
暫くして俺は大事な事を思い出す。
「そうだ! 飯だ飯! お前の受賞を祝って飯に行くぞ!」
「……うん。ありがとう」
「えーと、何処に行くんだわさ?」
「祝い事と言えば、あそこしかないっす!」
ダルスが空を指さす。
「おっ、ダルスはわかってるようだな! それじゃあ行くぞ、いつもの店に!」
「了解っす!」
俺は全身炎化すると、ダルスとフォンをぶら下げ飛翔する。
その背後にメルダが続き、更に後ろにオルガをぶら下げたドラムが続いた。
「……なぁメルダ! 悩みがあるなら俺達に言えよ。仲間なんだからな!」
「……うん。でも、大丈夫。まだ頑張れるから!」
「……そうか。あんまり無理すんなよ!」
「……わかってるわ。ありがとう」
メルダは、隠しているようだが明らかに無理をしている。
《なぁ、さっきのハワードとの遣り取り、みんなはどう思う?》
《メルダが可愛そうだわさ……》
《ハワードってやつは、メルダの気持ちを何も解ってないっす!》
《だよなぁ。メルダを何とかしてやりたいなぁ……このままだとメルダが傷付くだけだよ……》
《しかし、我輩達に出来る事は……》
《助けたいとは思うが、過干渉はするべきではないな……》
《うーん。でも、何か凄く嫌な予感がするんだよ……》
そんな事を考えながら、俺達は天空都市スカイラインを目指すのだった。
※ ※ ※
暫くすると、天空都市スカイラインにある人間お断りの居酒屋へ着き、俺は人型へ戻った。
「な〜るほど、納得したんだわさ!」
「そういうことだ。ここなら祝うのに最適だろ!」
「さすがトール様である!」
「この店は定番になりつつあるな」
「もうこの店の常連っす!」
「そういえば、この前も来たわね」
事ある毎に、何かと良い思いをさせて貰った店だ。
今回も何かを期待し、俺はゆっくりと店の扉を開けた。
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