43話 起っきろおおおお!!!!
※作中に記載していませんが、この世界では「人間」と「獣人」を合わせて「人」と定義しております。
今回の話の中に“人”と表記している箇所がありますが、上記を指します。
仕方ない、少し乱暴に起こすか。
《おーーーーい!! 起っきろおおおお!!!!》
「ひっ!」
「ぎゃん!」
「うおっ!」
『思念通話』で怒鳴ると、三人が跳ねるように飛び起きた。
勢いよく立ち上がった三人は、周囲から刺さるような視線を浴び、頭を下げて平謝りしている。
《今の起こし方は酷いっす〜》
《驚いたのである……》
《思わず立ち上がってしまったのだが……》
《仕方ないだろ! お前達が寝てたんだから》
《トール様も寝てたんだわさ!》
《《《ほ〜ぉ?》》》
フォンが裏切りやがった。
俺は三人から刺さるような視線を浴び、静かに俯く。
そんな遣り取りを経て、俺は三人の視線から解放されると周囲を見回す。
すると、いつの間にか会場は満席となり、立ち見まで出ていた。
そして、若い男が壇上に上がる。
「ボクの研究テーマは時間結晶の存在についてだ。どうせ解る奴はいないだろうが、説明しよう……」
物凄く偉そうな奴が出てきた。
俺には何を言っているのか理解出来ないが、こいつが周囲の“人”を見下していることは理解できる。
暫くすると説明が終わり一礼するが、疎らな拍手がその男の評価を物語っていた。
《何だったんだ? 今の奴……》
《凄い偉そうだったんだわさ!》
《オイラ、ああいう奴は好きじゃないっす……》
《我輩もダルスと同感である……》
《オレは関わりたくないな……》
仲間達からも酷い評価を得ていた。
そして、いよいよメルダが壇上に上がる。
すると、凄まじい勢いで拍手が鳴り響く。
《凄い人気だな!》
《さすが魔王から一目置かれる魔女だわさ!》
《普段の様子からは想像出来ないっす!》
《我輩、メルダを見直したのである……》
《ああ。そそっかしいだけではないようだな……》
メルダも、仲間達からの反応が概ね酷いものだった。
しかし、普段のそそっかしさに隠れてはいるが、魔法に関しては右に出るものはいないと言われている。
魔王からの信頼も厚いメルダだ。
これは素直に賞賛に値する事だろう。
そして、壇上のメルダが口を開く。
「あたしのテーマは金属の新たな可能性について。今回は友人の協力で、オリハルコンの精製に成功したわ!」
メルダの言葉に会場内が騒つく。
「オリハルコンだってよ!」
「理論上でしか存在しない幻の金属だろ?」
「100万度の熱源なんてどうやって用意したんだ?」
暫し間を開け、メルダが説明を続ける。
「皆さんも知っての通り、オリハルコンは理論上では存在するとされている金属よ。ただ、熱源だけがどうしても足りず、誰も存在を証明出来なかったわ。しかし、わたしは友人の協力により、精製に成功した。そしてこれが、精製したオリハルコンよ!」
メルダは精製したオリハルコンを取り出した。
黄金の球体が光を反射し輝く。
観客が騒つく中、メルダがオリハルコンへ詠唱を開始する。
「??????」
「ムニョムニョムニョムニョ……」
すると、球体のオリハルコンは液体のように波打ち、次第に薄く引き伸ばされていった。
そして、厚さ1mmにも満たないような薄いコの字型となる。
まるでホッチキスの針の塊のようだ。
「オリハルコンはとても硬い金属よ。これだけ薄く引き伸ばしても、物理的には歪まないわ」
メルダはオリハルコンの上に乗るとジャンプした。
しかしオリハルコンは、しなる事もなく原型を留めている。
その様子に観客が歓声をあげた。
「うおお! 本当に精製に成功したのか! さすがはあのメルダだ!」
「おれ達は歴史的瞬間を目にしているぞ!」
「こりゃ金属の常識が変わるぞ!」
歓声を抑えるように、メルダはスッと手を挙げる。
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