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37話 仲間を見つめ

今回から新章です。

よろしくお願い致します。

 

 俺達は魔王達と別れ、鉱山都市サルマトラン王国の城下町を散策していた。

 すると、街中の会話が耳に入ってくる。


「さっきのアレは何だったんだろうなあ?」

「あたしゃ、この世の終わりかと思ったさ!」


「あの赤い空、綺麗だけど禍々しかったな」

「おれ、このまま死ぬんじゃないかと思ったよ」


「新たな魔王が誕生したりしてな」

「はっ、そんなまさか。それなら被害が全く無いのは不自然だよ」


 俺はそんな会話を聞き、申し訳なく思い肩を落とす。

 被害が無いとはいえ、この国の人々を混乱に陥れたのだ。


「あぁ〜。今になって大変な事をしたっていう自覚が湧いてきた……穴があったら入りたいよ……」

「そんなに気にすることはないっす!」

「そうだわさ! この国に被害は全く無いんだわさ! トール様はな〜んにも悪いことなんてして無いんだわさ!」

「そうよ! トールはよく頑張ったわ。城の一つや二つ吹き飛んでもおかしくなかったわよ!」

「うむ。あれだけの暴走を制御出来たのは賞賛されるものである!」

「ああ。トール様は被害を出していない。みんなが食い止めたからな……」


「みんな……ありがとな。本当に、お前達が居てくれたおかげで、俺はこうして街を歩ける。お前達が居なければ、今頃俺は……」


 もし、俺の暴走を止める事が出来ていなければ、今頃この場は巨大なクレーターと化し、眼前の人々は蒸発し、命を落としていただろう。

 そうなれば、俺は人々の恨みを買い、討伐の対象となっていたかもしれない。

 討伐隊が編成され、気を抜けない日々が続き、精神的に憔悴し、最期は力に飲まれて己を見失っていただろう。


 俺が平然と、この街を歩けるのは全て仲間達や魔王達が支えてくれたおかげだ。

 全てが落ち着いた今、改めてその暖かさを噛み締め、目頭が熱くなった。


 感傷に浸りながら街を進んでいると、行列の出来ている店が目に入る。

 何事かと覗き込むと、見知った顔のおっさんが接客をしていた。


「は〜い一人前ね、いつもありがとうございます!」


「はいはい、こちらは二人前ね、またどうぞ〜!」


 そこは、前に俺が麻婆豆腐のレシピを教え、金貨20枚を貸したおっさんの店だった。

 この様子だと、どうやら店は繁盛しているようだ。


「おおっ! お兄さん! どうもどうも!」


 おっさんは俺達に気付いたようで、ぺこべこと頭を下げながら近づいて来た。


「繁盛しているようだな」

「おかげさまで、店は何とか軌道に乗りました。あの時にレシピを教えていただけなければ、今の私はありません。本当に感謝してもしきれませんよ! さあ、どうぞ中へ……」


 誘われるがままに店内へ入ると、以前俺が修復した壺が飾られていた。


「この壺が無ければお兄さんと出逢うことは無かった。本当に、この壺は家宝ですよ!」


 このおっさんと出会った切っ掛けは、この壺が割れた音に気付いた俺が声をかけたからだ。

 確かにこの壺が、おっさんの運命を導いたと言えなくもない気がする。


 俺達が六人掛けのテーブルに着くと、おっさんが小袋を差し出して来た。


今回もお読みくださりありがとうございます。

ブックマークや評価を頂けると嬉しいです。


今編の序盤は、のんびりとした会話がメインとなります。

箸休めのような感覚でお楽しみください。

なお、今編は試験的に文字数を減らす代わりに

更新頻度を上げる試みを行います。


執筆中に104件目のブックマークを頂きました!

ありがとうございます!

次回の更新は29日の予定です。


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