28話 滅んだ村の生き残り
今回から、三点リーダの後のスペースを無くしました。
【2020.03.12 kisaragi様からイラストをいただきました!】
「ん? 何だわさ?」
立ち尽くす俺達の頭上に、村を覆う影が現れる。
「で、でかいっす……」
空を見上げると、それは全身を深紅に染めた生物だった。
「あれは、もしや……」
巨大な翼で空を叩き、地響きと共に地へ降り立ったそれは。
「ガーッハッハッハ! 龍人の村が滅びおったか!」
野太い声で意気揚々に叫ぶ。
背中に巨大な翼を生やし、トカゲのような容姿をした生物。それは……
「ドラゴン……である……」
俺達の前に現れた、体長20メートルはあろうかという巨大なドラゴンは、嬉々とした表情で俺達を見下ろしていた。
しかし俺はその表情を不快に感じ、顔を顰め苦言を呈す。
「おい! 何でこの村が壊滅して、そんなに嬉しそうなんだ?」
「ガーッハッハ! 弱い種族が殺されるのは当然だろう?」
ドラゴンは悪怯れる様子もなく、言葉を吐き捨てる。
「なんだ、まだ生き残りが居るじゃないか。お前も仲間の元へ送ってやろう」
そしてドラゴンはドラムへ向けて右脚を出す。
「ぎゃぁぁぁ!!」
ドラムは唐突なドラゴンの攻撃に怯み、踏み潰されてしまった。
そして、ドラムを救出する為に俺達が駆け寄ろうとした瞬間。
「ブチッ……」
なんと、ドラムの頭は胴体から引き千切られ、ドラゴンに飲み込まれてしまった。
ドラムの首からは大量の血飛沫が上がる。
仲間達はドラムの変わり果てた姿に激怒し、震えている。
「てめぇ……よくもドラムをっ!……」
俺が攻撃を仕掛けようとドラゴンを睨みつけた時、意外にもダルスが俺の前に立ち塞がった。
「コイツはオイラが殺るっす。トール様はドラムの止血を頼むっす!」
「あっ、ああ。わかった」
ダルスの行動に俺は一瞬戸惑いつつも、全身炎化すると左手から炎を放ち、ドラムの首に炎を纏わせ止血する。
そして、胴体を『空間収納』に飲み込んだ。
その様子を確認したダルスは深呼吸をする。
「ふぅ……おい、ドラゴン! てめぇ、覚悟は出来てるんだろうな?」
「覚悟? ワレが貴様等を餌にするという覚悟か?」
「……そうか。立派な覚悟が出来ているようだな!」
「……何を言っているのかよくわからんが、貴様等全員ワレの餌となれぃ!」
俺達が固唾を呑んで見守る中、ドラゴンとダルスの戦闘が開始する。
まずはドラゴンが火炎放射器の如く炎を吐く。
そして炎の嵐がダルスに襲い掛かる。
「オイラに炎は効かないっす!!」
「なにぃ……」
ダルスはこれに直撃するが、ダメージは全く無い。
ドラゴンは一瞬困惑し、動きを止める。
しかしダルスはそれを見逃さなかった。
「貰ったっす!!」
左手の爪を伸ばし炎を纏わせると、ドラゴンの首を目掛けて腕を振り下ろす。
衝撃波が吹き荒れ、周囲の木々がなぎ倒される。
そしてドラゴンの首に爪痕が刻まれた。
「き、貴様……よくもワレの体に傷をっ!……」
「ちっ。全力で傷しかつかねぇのかよ……」
両者の顔に異なる焦りが現れる。
互いに睨み合うが、先に動いたのはドラゴンだった。
ドラゴンは上空へ一気に飛翔すると、ダルスを目掛け急降下する。
ダルスは避けようと走るが、狙いを定めたドラゴンの攻撃を避ける事は不可能だった。
そして、ドラゴンの攻撃を受け、ダルスは背中を踏み潰されてしまう。
「ぐぅっ!!」
俺達はダルスに駆け寄ろうと動き出すが……
「こいつは!!……オイラがやらなきゃならねぇっす……」
「ダルス、お前なんでそこまで一人に拘るんだよ!」
「こいつは……オイラの仲間を殺した! 仲間の仇も打てねえ奴が、誰かを助ける事なんて……出来るわけねぇんだ!!」
その瞬間、ダルスの体が白銀に輝く。
「ダルス……お前、その体……」
「へへっ!……どうやら、オイラも“貰った”みたいっす!……」
ダルスは全身の体毛が逆立ち、瞳は銀色に光り、両手を纏う炎は赤から白へと変貌を遂げていた。
その勇ましい風貌に、俺達は息を飲む。
「ぬっ? 毛が逆立ったくらいで調子に乗るなよ? 大人しくワレの餌となれぃ!」
ドラゴンがダルスを食い千切ろうと首を降ろす。
しかし、ダルスは背中を抑え付けられるも、焦りは無かった。
左手を振り翳し、衝撃波がドラゴンの腹部に放たれる。すると……
「グパァ……ブクブクブク……」
ドラゴンの腹部が裂け、大穴が開く。
まるで手で抑えたかの如く不自然に大穴が維持され、内容物が流れ出る。
「あれは! ドラムの頭だわさ!!」
「何!? 回収するぞ!」
その中に、ドラムの頭部と思しき物も含まれていた。
俺は左手から炎を放ち、ドラムの頭部を炎で包み込み、体内へ飲み込んだ。
※ ※ ※
俺は、体内へ意識を集中させると、ドラムの蘇生を試みる。
幸い、胴体は止血が速かったおかげで損傷は殆ど無かった。
(これは……酷いな……)
しかし頭部は胃の内容物に塗れ、汚損している。
そこで、頭部を纏う炎へ『視点変更』を行い、内容物だけを選別し焼き払った。
そして頭部の断面と首を繋ぎ合せる。
以前、世界保守連盟の人間を蘇生させた事もあり、作業は思いの外すんなりと終了した。
暫くすると、ドラムの心臓が動き出す。
(よし、あとは意識が戻るのを待つだけだな……)
俺は蘇生したドラムを眺め安堵し、ダルスとドラゴンの戦いを見守るのだった。
※ ※ ※
――何も無い闇の中で、ドラムは辺りを見回している。
(ここは……何処であるか?……)
すると、ドラムの前に一人の男が現れる。
(ふっ。記憶を無くした気分はどうだ……)
(きっ、貴様は……プルトニー)
その男は以前ドラムの記憶を奪ったプルトニーだった。
プルトニーの出現にドラムは身構える。
(貴様……何故ここに……)
(お前に力をくれてやる……)
だが、プルトニーはドラムの質問に答えない。
そして、プルトニーの手から緑青色の光が放たれると、ドラムの体を包み込む。
(ど、どういうつもりだ……)
(なに、先行投資だ……)
――プルトニーは踵を返し立ち去ると、ドラムは闇の中へと吸い込まれていった。
いつもお読み頂きありがとうございます。
よろしければ、ブックマークもお願いします。
こちらに裏話や設定を描かせて頂いております。
興味がありましたらご覧ください。
https://ncode.syosetu.com/n1248fm/
執筆中に68件目のブックマークを頂きました!
ありがとうございます!
次回は27日更新です。
【小説家になろう 勝手にランキング】
というリンクが広告の下にあります。
クリック頂けると嬉しいです。




