僕はブライシュティフト、君はリズィーンカ
はっきり言って僕は君の事が大嫌いだ。
まず君は僕のミスばかり指摘する所が嫌いだ。
僕が間違いを犯すと君はこれは私の仕事といわんばかりに僕が積み上げて来た仕事を否定する。
次に君はいつもの僕の目の前にいる所が嫌いだ。
僕が仕事をして着実に成果を積み上げている時にも君は僕の隣りにいる。まるで僕が仕事でミスするのを待っている様で気味が悪い。
さらに君は僕の仕事のミスは指摘できるが片付けはしない所が嫌いだ。
僕の仕事のミスを指摘するのはいいが、そのときに出たゴミを捨てる気はないようだね。
僕は確かにすぐに折れちゃう所や、無理して尖る所、そもそも間違いが多い所といった悪い所が多いのは重々承知はしている。
けれど君の僕の仕事を拒む態度はどうなのか。幼馴染みに対してもしてよい態度ではない。
君は僕の事を世話の焼ける弟などと思っているようだが、僕は決してそうは思わない。
君なんていなくなってしまえばいいんだ。
つい感情的になり気づけば君にその言葉をぶつけていた。
その日を境に君は僕のもとを訪れなくなった。
それからと言うもの、僕は仕事に集中出来なくなっていた。
君がいなければ僕はミスを正す事もままならない。
間違いを指摘してくれる君が懐かしい。
紙の端っこにラクガキをする。
すると君は何処からともなく現れてミスを咎める。
しかし、今は少し心地よい。
実は君は自身ではまともに仕事が出来ない事を知っていたのだ。
君は僕の仕事のミスを正すのが一番の仕事だ。
――共依存。
僕たちはお互いに助け合わなければ、まともに生きていけない身体に生まれて来ていたんだ。
――愛ゆえに?
――いいえ、僕は鉛筆で君は消しゴムだから。
読んでいただきありがとうございました。
以上が鉛筆と消しゴムの物語でした。
皆様はどこで気づかれましたか?
よろしければ感想欄に”いつ違和感を抱いたか”と”いつ鉛筆と消しゴムの物語であるか気づいたか”を書いていただけると嬉しいです。
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最後に余談ですが、ブライシュティフトはドイツ語で鉛筆を指し、リズィーンカはロシア語で消しゴムを指すそうです。
そのままですね。