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ドロシーに連れられて

「同情したわけじゃないけど、一応掛け合ってあげるわ」


ドロシーのその一言にほっとした俺とメイ。

あの大げさな説得が無駄にならなくて心底良かったと思う。


その晩は3人で食卓を囲んで、メイドロボたちのあれやこれやの話を聞いて過ごした。


・・・・・・

・・・


あれから1週間が経った。

俺の生活はより賑やかに、いや、騒がしくなっていた。


「ちょっと、メイ!そろそろあたしに代わりなさいよ」


「……あと30分待って下さい。放送が延長になったので」


「あんた昨日も同じこと言って、1時間も待たせたじゃない!」


「ユーセイ、この金髪乙女ゲーオタクをどうにかして下さい」


そう、ドロシーが我が家の一員となったのである。

政府は俺をS級ニートと認定し、メイとドロシーの2人体勢で俺の支援に当たることになった。

とはいえ、この通り、ドロシーはすっかり乙女ゲーにハマってしまっている。

俺のニート生活もしばらくは安泰というわけである。


「新しいパソコン買えば良くないか?」


ドロシーはメイドロボのエースというだけあって、受け取っている金銭もメイの数倍はあるらしい。

実際、彼女はこの数日で乙女ゲーのパッケージを20、少女マンガを200以上は購入している。

お陰で8畳ほどしかない部屋は一層狭くなってしまったが……。

そんなわけで、パソコンをもう一台買えばこの問題は解決するのではないだろうか。


「その手があったわね。早速いきましょ、悠誠」


「1人でいけよ、外出たくない」


「ふーん、大好きなメイとじゃなきゃ買い物もしたくないのね」


わざとらしくスネて見せるドロシー。


「誰もそんなこと言ってないだろ。わかった、付いていくよ」


「んふ、よろしい♪じゃ、今日はあたしとデートね」


メイのタイピング音がぴたりと止まる。


「で、デートってあのデートか?」


人生初のデートがまさかのメイドロボ相手になるのか。


「これも訓練の一環よ。いいわよね、メイ?」


「……」


「あーれー?ひょっとして妬いてる?」


「煽るな、煽るな」


「別に一介のメイドである私には関係のないことですしあなたとユーセイが私のあずかり知らぬところで何をしていたとしても気にしないと思いますのであなたがしたいようにすればいいんじゃないでしょうかいってらっしゃいませ」


めっちゃ早口だった。


・・・・・・

・・・


「いやー、あの子ってからかうと面白いわよねー」


上機嫌なドロシーの後について歩く。


「後で謝ってくれよ……とばっちりは俺に来るんだから」


「悠誠にいくなら問題ないわね!」


「お前なぁ」


全くメイドロボの考えていることはわからん。

……人間のこともわからないけどな。


「それにしても、あなたたち本当に酷い生活してるのね?」


「それに染まったお前が言うか」


「そうだけどね。バレたら重罪よ?メイドロボ横領罪!」


「そんな罪状聞いたことねえよ」


「あーん、悠誠に横領されちゃうぅ!」


「恥ずかしいから、そういうのは家の中だけにしてくれ」


「そ、そうね……」


回りの目線に気づいて気恥ずかしくなったのか、俯いてつぶやく。

正直、このドロシーが成績トップだなんて想像がつかない。

一緒にいても普通の女の子と変わらない。


「う……なかなか視線が止まないわね」


言われて辺りを見回すと、たしかにドロシーに目線を向ける人たちが多くいた。

ただ、それは先程の発言のせいというよりかは……


「お前が可愛いからだろ」


「はぁ!?いきなり口説かれても困るんですけど!心の準備とかいるんですけどー!」

「って、早とちりしてんじゃねー、あたし!」


なにやら自己解決したようだ。

さすが成績トップさん。


「ちょっと疲れたし、あそこのヌタバにでも入るか。まだ空いてるだろ」


「え、ええ。それがいいわ。それに……」


「それに?」


「後ろから……いえ、やっぱりなんでもないわ」


何か思案するように黙り込んだドロシーだが、すぐ歩みを進める。

俺は気になりながらも、それがなにか聞けず、ただ彼女の後を追いかけた。

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