装置の秘密
校内の廊下を歩きつつ、空き教室に向かっていた。
すると、道中で九条責任者は渋る表情をしながら政府の現在の任務の責任者たる久遠時楓に質問を投げかけた。
「ワタクシはこの施設のぉ敷地内部の構造図をすべて把握していますがぁ、そのぉ装置のようなものがぁどこかにおけるスペースなどぉありませんでしたよぉ。本当にそのようなものがこの施設内にあるのでしょうかぁ?」
「あります。政府はあの秘蔵装置は世界に数個あり特にこの日本のこの施設にあるものはすべての装置の中枢ですわ。中枢装置が壊されるとほか装置も機能を失いますわ。この装置は共存世界の財産でもあるために政府管轄の共存施設に隠すのが一番だとしたんですわ」
「なぜですかぁ? ほかの施設ではだめだったんですかぁ?」
「はい。この施設は特に未来の世界を担う人物たちの育成の場所ですわ。魔法も多様に扱う訓練をしますわ。他の場所であると魔力の力場が悪く生徒たちの魔法向上力が低下いたしますからこの魔力力場を作るためにわざとそういう風に施設の中に隠ぺいしたのですわ」
「なるほどぉ、あ、ここですよぉ」
九条責任者の先導のもとにたどりついた一つの空き教室。
けれど、空き教室前に一人の生徒がいたことで空気が一気に緊張のもとにさらされた。
その生徒は蒼い髪に鋭くきつい瞳。端正な容姿と類まれなスタイルを持った美少女であり腰から下げた刀が特に印象深い生徒。
そう、風紀顧問の蓮杖鈴だった。
「あのぉ、私は九条責任者に話があり来たんですが、なんだかお忙しいようなので――」
明らかにこちらの話を聞いてしまったようなそぶりで彼女が立ち去ろうとしたところを素早く楓が動きその体を壁に抑え込んだ。
「おい!」
とっさに楓を食い止めようと駆け寄ろうとした竜輝の腕をつかみ柚葉が首を振って食い止めた。
なんでだよと目で訴えたが彼女はただ、ちらりと前方の光景を見とけとでも促すように首を動かした。
でも、楓の右手にはナイフが握られ彼女を殺そうとしている。
楓は右手に握ったナイフを首元に押さえつける。
「今の話を聞いてしまったんですわね?」
「‥‥すみません。政府の方がいらっしゃってるのは聞いていたんですが事情があって九条責任者に早急に聞いておきたいことがありまして‥‥。居場所を他の教官から聞いてこちらにいると伺ったんですがタイミングが悪かったですね」
「はぁー、これからのあなたも共存世界を担うものとしての責任者としての覚悟がありますの?」
「それはどういう‥‥」
「今の話を他言無用としますのか聞いてるんですわ?」
「あ、はい」
「では、一緒に話を聞かせてあげますわ。もう、ここまで聞いてしまったのなら一緒に聞いていきなさい」
とんでもない展開でどうにか場があおさまったが観客が増えた。
九条責任者もホッと胸をなでおろして何やら彼女から話を聞いている。
それから、九条責任者は皆へ「どうぞ」と言って教室の扉を開いた
談話室とでも言いたげな殺風景な部屋である。
中は椅子が3脚と長机がある程度。
壁には無数の施設内発行ポスターが貼ってある。
「では、それぞれ腰かけてくださる? 話をしますわ」
そう言って話を始める。
数人がもちろん立ち聞きとなった。
始まりは8年前だった。
そう、それはこの世界が共存文明に取り組みを考え始めた時期らしい。
その時期から世界のあらゆる個所で魔法の知識を求め、あらゆる計画が施行された。
魔法を扱うためには必要なものがあることを世界は知ったらしい。
「その魔法を扱うにはこの地球では自然の生命エネルギーが枯渇していたのですわ。そこで、そちらに座っている方、グリアス国王陛下のもとでフィリアスでも祭殿からエネルギー供給を受けてるように私たち世界ではエネルギーの供給装置をその祭殿の複製として作りました」
フィリアスも世界中に生命エネルギーがあふれてるからこそ、魔法を扱える文明だという。
けれど、実際あそこまでの生命エネルギーの豊富さはその祭殿――生命エネルギーの源のようなもののおかげと言われている。
日本でいえば神社、外国でいえば教会。そのようなものに近いものがフィリアスには多くある。
フィリアスは特に信仰心にあふれてる世界でもある。だけど、この地球はそうではない。
「なあ、一つ質問いいか?」
「なんですの? 運勢竜輝」
「フィリアスの祭殿は知ってる。あのレプリカってどういうことだ? あれそものを再現なんて無理だろ? 第一あれは祭殿。再現しただけでここまで大きく変わらない。魔法を供給源にできるようなものになんかならない。フィリアスの祭殿もある種特殊な事柄や信仰があって魔力世界を作る礎になってるんだ」
「それは祭殿の根幹をもらいうけたからですわ」
「なに?」
「それは私が説明しようだ」
そう言って立ち上がったのは例のグリアス国王、共存派フィリアス人代表者である。
「君も知ってるだね? 祭殿がどのように魔力を世界に満ちさせてるか」
「ああ、祭殿には魔力鉱石が埋め込まれてるからな。あれは人の信仰心や自然のエネルギーで力を増幅させる貴重なものだ。あれを取り外すことはその土地の崩壊をさせることに等しい」
「なら、わかるだね?」
まるで、一切の説明もせずにただ、目を合わせ訴えかけてくる表情を見せた。
今の言葉を頭の中で反復させあらゆる仮説が自分の中で組み合わさってく。
8年前や今の状況から推察できる答えが出された。
「ん? ――ってまさかフィリアスの死んだ土地の魔力鉱石をこの地球に持ち運んできたのか。」
周りからどういうことだろうかというような空気が上がる中で分かってる者は動揺して口元に手を当て重い息をついた。
「正気とは思えねえぞ。下手したらフィリアスの世界体系を崩す所業だ。フィリアスだっていくつもの魔力鉱石があってあの生命のエネルギーが満ち足りてる世界が出来てるんだぞ」
「わかってるだ。だが、死んだ土地の魔力鉱石はいくら取ったところで他の場所にまで害をなさないというのは知ってるだ。いろんな滅んだ国を見てきたからだ。その国らの鉱石をこの地球に献上したんだ」
「献上って‥‥」
おかげで、この地球が魔法を扱える土地になったというのだろう。
魔力鉱石はいくら土地が滅んでも魔力を流し続ける。
けど、土地がある状態で魔力鉱石を取った祭壇を残しておくとその土地近辺では魔力を扱うことは厳しくなる。フィリアス人は体内魔力があるから多少扱えはするが息切れのような症状となり、次第に病気がちとなる。ある意味で土地を生かした物と言える代物だ。でも、戦争で表面上崩された土地がフィリアスには多い。
そういう土地には大抵いまだに魔力鉱石を残す祭壇がありいずれ土地の再興をできるようなものがある。
「土地の有無に関しては君もわかってる通り死んだ土地でも魔力鉱石があれば生き返ることは可能だ。でも、現代のフィリアスでは再興などできる資金はどの国も持ち合わせてはおらだ。吾が小国、グリアスも結局はその一つに過ぎず死んでも再興できたはずの土地を長年放置してきただ。だがm、ある時侵略派の一派が異世界を見つけその土地を買収すると言い出しただ。我が国も最初は便乗しようとしただ。でも、見た惨劇はひどいものだ。考えを変えただ。共存ができるのではないだかって」
そうして、彼は語った。魔力鉱石を献上品に共存を持ちかけたと。
最初は右往左往していたこの地球の国家もだいぶ落ち着きを取り戻し共存の世界をたどり始め8年前にあらゆる個所にこの魔力鉱石を植え付けたらしい。
「特に一つ大きな魔力鉱石を要として地下から無線のように魔力を送れる装置を開発したんですわ」
「それが魔力供給装置か。特にこの施設のがその特大か」
「そうですわ。この施設の地下深く。施設の構造図に移らないのは政府が持つ地図と九条責任者が持つ地図とでは違いますもの」
地上から地下まで移してる構造図と地上しか写していない構造図ではそれは大きな差異があろうことは明白である。
「じゃあ、奴らはそれを狙ってやってきたわけか」
「ええ、彼らはそのありかをしってこの施設に潜入したようですわ。その情報を知ったのも3年前のクーデター事件でですわ。それにより施設内部には侵略派がいることがわかってましたわ。それに、侵略派はこちらの動きをすべて把握するためにわざとそのこちらの懐に潜り込んでいましたわ」
「けど、長年かけても相手がだれかは分からなかったわけだ」
皮肉みたいに言ってみれば彼女は渋りながらただ、黙ってうなづいた。
「相手の首領の名前はネサ・ジョークカ皇女とみて間違いないですわ。彼女は亡国の皇女となってはいますが目撃例が多く彼女とみて断定できますわ」
「それが俺を拉致した奴の名前か」
すべての人生を破たんさせてくれた忌むべき宿敵。
女だったことに動揺をするが女だろうが子供だろうが竜輝は容赦しないと最初から心に決め込んでいた。
力強くこぶしを握り締めてその名前を憎しみをこめて何度も何度も言っていた。
「楓軍事顧問、その装置の場所というのは拝見できるのかしらぁ? この施設責任者としては一度お伺いをしておきたいわぁ」
「ん? ええ、問題ないですわ」
「では、案内していただけるかしらぁ」
「わかりましたわ。では、みなさん、一度外に出ましょうか」
そう言って一同でまた外へ出るという何ともめんどくさい段取りがなされた。




