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銀行爆破事件

 居住地から徒歩10分くらい。

 駅近くのデパートで食材の買い出しを4人は行っていた。

 デパートも今ならではのような映像ディスプレイで素材の品質紹介や値段を電子映像で映しており素材そのものは実物で店頭販売している。

 店も昔ならではのようにデパート地下にある食品売り場の景色がある。

 野菜や魚や肉類に調味料やお菓子や雑貨系、さまざまなものが棚に置かれ販売されている。

 そして、それぞれの区分けをされた店頭販売。

 一転違うとすればその値段や紹介はデジタル表記になったところである。

「えっと、これとこれと‥‥」

 久しぶりに義姉の買い物姿を眺め竜輝は一人感動に浸っていた。

 まるで、昔に戻ったかのような感覚。

「りゅうちゃん」

「ん?」

「嫌いなものとかありますか?」

「昔と変わらずないよ」

「なら、大丈夫そうですね」

 そういってナスやピーマンなどといった野菜類を入れていく美香。傍らで愛華がにじり寄り「どうしたなの?」と笑みをこぼしながら問いただしてくる。

 先ほどから一言もしゃべらないことに疑問を感じたのである。

「あ、いやそのさ。なつかしいなって」

「懐かしい‥‥なの?」

「あん。昔はこうして美香姉さんとは買い物してたから」

「ああ、そういえば竜輝はシスコンだったなの」

「シスコンじゃないよ」

「そうは思えなかったなの」

「うぐっ」

 言われてみれば確かに自分が過剰なまでに義姉に付き添っていたのは記憶に残っていたのでこれ以上の反論はどつぼにはまるのと同じだと悟った。

「ねえ、竜輝。あんた料理はできんの?」

「柚葉さん、突然なんだよ」

「突然も何も、京は私たちが歓迎を祝して作ってあげるけどね次からは自分で食材を買って作るのよ? 自分でできるのかって聞いてんの」

「俺はあっちで散々その辺は学ばされたからできる」

「へぇー、いがいね」

「んだよ」

 なんだか馬鹿にされたような感覚で癪に触りながらいると愛華はくすくすと笑いながら「心配してるだけなの。ツンデレなの」とかいってまたげんこつをくらっていた。

 そんな楽しい買い物を行い、竜輝もざっと買い物のことを覚えたところでデパートを出る。

 出れば、歓楽街のような風景で電光色の看板があたり一面に軒並み、大型の書店や銀行などのような場所が目につく。

 そして、多くの人が帰宅する姿がうかがえた。

「ん? あれって財務大臣?」

 柚葉が衝撃的な言葉を吐きながら銀行そばの車道に路駐した一台のリムジンから降りた小柄な白髪頭の老人を見つめてそう一言。

「財務大臣がなぜこんな場所にいるのでしょうか?」

「さあね、でも、確かあの銀行政府管轄の大型の共存銀行よね。なにかの確認かもしれないわね」

 自分には関係ない話題だという感じで聞き流しながらその銀行を4人で眺めた。

 とたんにそれは起こった。

 ドーン。

 最初に届いたのはその強烈な音と赤い閃光をまく火の手それからとんでもない爆風。

 それらの衝撃はすざまじく竜輝の体を吹き飛ばした。

 否、その場のすべての人間を吹き飛ばした。

 辺りから人の悲鳴と激痛にうめく声。

 強烈なまでの耳鳴りがし竜輝は頭が揺さぶられて困惑とする。

(いったい何が起こった?)

 銀行が燃え上がり、その地上5階建てのビルの銀行が倒壊をはじめ歩道にいた人たちを巻き込んでいく。

 火の手から漆黒のローブをまとった二人組が出てきて何やら話しこむ。

 爆風によってフードが取れ姿が見えてしまってる二人組を注意深く観察した。

 まず二人組は両方とも種族は異なっていた。

 片方は、トカゲのような姿をした二足歩行人物で、もう一人は全身が黒光りしたスキンヘッドの男。

 フィリアス人のリザード種族とナイアーラトテップ種族の二人組である。

 リザードは俊敏性と防護性に長けた種族、ナイアーラトテップは影を操りあらゆるものを操ることができるという人の心を読むことにたけたゲスイ種族。

「止まりなさい」

 その二人に向け一人の金髪の美女が立ちはだかっている。柚葉である。あの突然の爆破の状況において冷静に立ち回っていた。

「この爆破はあなたたちの仕業ね。私は政府のものよ。今すぐご同行願いましょうか」

 二人組は柚葉の言葉などまともに聞く耳など持たなかった。一瞬にして柚葉を挟み込むように移動した二人。

 竜輝もあっけにとられ瞬間移動の類に見えるほどのスピードを発揮している。

 二人組による強烈な蹴りの攻撃を受け火の粉を浴び、今にも爆破に巻き込まれ崩れそうなデパートへ激突した。

 それが弾き手となりデパートも崩れ始める。

「うぅ‥‥りゅうちゃん、愛華ちゃん平気?」

「平気なの」

「ああ」

 3人とも爆破の衝撃から立ち直り、二人のことを注意深く監視する。

「――・・――」

「――――・――――」

 二人組はフィリアス語で話をしていた。

 竜輝にはその言葉が理解していた。

「ボスの場所に行く? どういうことだ?」

 そのとたん、二人組がぎょっとしたような感じで竜輝のほうへ振り返る。

「りゅうちゃんたちは逃げてください」

「え?」

 美香は一方的に告げながら右手に魔力をたぎらせ、魔力で構築した氷の剣を召喚した。

「美香お姉ちゃん、ひとりじゃあ危険だよ。私も――」

「愛華、あなたはりゅうちゃんをお願いします。戦力的にここは私が引き留めます。あなたたちは撤退してください。あそこにいる柚葉を連れて」

「美香姉さ――」

 言葉は届かず。彼女は飛び出していた。そのまま氷の剣を振り上げ犯罪者二人へ刀身を振り下ろす。

 けど、軽々と交わされ打撃の応酬をくらうが必死で回避しクロスカウンターの斬撃を浴びせている。

「‥‥オマエ何もんだべ?」

「政府のものか?」

「あなたたちこそ何者ですか! あの銀行から出てきたということはあなたがたが銀行を爆破したのは明白です!」

「銀行爆破したのはたんなるついでだべ」

「目的は財務大臣暗殺スルこと、きしし」

「暗殺っ!? キャッ」

 気を抜いた一瞬、上と下からの挟み撃ちによる雷撃が美香を襲った。

「美香姉さん!」

「美香ねえ」

 美香はぎりぎり衝撃を抑えたらしく地に膝をついて着地。

 しかし、その顔は悲壮そのものであり状況から鑑みてかなりいいものとは思えない。

 腹部に赤いシミのようなものが見えた。

「政府のものなら容赦なく殺すべ」

「だけど、警察がソロソロじゃないか、きしし」

「警察は来ないべ。近辺の警察署をハルツヘルドが爆破してるはずだべ」

「ハルツが爆破か、きしし、なーらもんだいなくやっちまうかぁ」

 竜輝はただただ恐怖と痛みに足がすくみ戦慄する。この火の手の光景があの7年前を想起させた。

(もう、失わせてなるもんか。おれは誰も失ってほしくないんだ)

 その時、竜輝は怒りにまかせ殴りかかっていた。

 背後からはデパートが倒壊し始め襲いかかってるのも考えなしに。

 それを忠告する愛華の言葉も聞く耳を持たずに。

「うぉおおおおお!」

「なんだべっ!」

「こいつ、きしし」

 突如の乱入者にさすがの銀行爆破であろう犯人も驚愕し、後退し様子をかんがみる。

「こいつ、どこかで見たべ」

「こいつ、あれ、ボスがフィリアスに連れて来させた人間」

「ああ、んだったべか」

 その言葉は竜輝の心を激しく揺さぶってあらぶれる周りの炎のように加熱させた。

「いま何と言った?」

「んだべ?」

「なんといったかきいたか? きし」

 子供とじゃれつく音のなような感覚なのか彼らは笑いながら竜輝を指をさす。

「あわれな人間といったんだべ。ボスに利用されてくしか生きてけない」

「哀れだったやつ、きしし」

「っ! てめぇらのせいか。てめぇらのせいかぁああああ!」

 二人はぶわっと、竜輝から漏れ出た膨大な魔力に怖気、飛びのきとっさの判断を取る。

「こいつやべえべ」

「作戦」

「んだ?」

 二人組のうち、ナイアーラトテップがしなやかな動きで竜輝を飛び越えた跳躍で素早く疲弊した美香の首を腕でつかみナイフをあてがう。そう、まるで強盗犯が人質を取るような姿だ。

「美香ねえ!」

「おっと、そこのおじょうちゃん動くナ、きしし」

「おめえもだべ」

 人質を取られたことで竜輝は下手に動けなくなり悔しさに奥歯を噛み、こぶしを握りしめ腕がうっ血するほどに強く強く握る。

「仲間は大事かぁ、きしし」

「あなたたちは終わりなの。いずれ警察が来るの」

「ははは、警察は来ねえべ。オイラたちの仲間がもう近辺の警察はつぶしてるべ」

「そんなの信じないの!」

「きしし、勝手にシロ。けどコナイ、きしし」

 愛華は次第に泣き崩れる。その姿がますます7年前を呼び起こす。

「――めろ」

「あ?」

「やめろ」

「やめろだぁ? 立場わかってんだべ?」

「それ以上俺の大事な人に傷をつけてみろ。てめぇらの命はない」

「だーかーら、立場わかってんだべか?」

 それはあまりにも一瞬の出来事でその場のものたちは硬直した。

 特に硬直したのはほかでもない。肩から先を切り落とされた張本人たるリザードの男。

「へ? ――ぎぎゃぁああああああああああああああ!」

 腕を抑えのたうちまわり血がどばどば噴きでる。

 仲間に仕打ちを受ければナイアーラトテップの種族たる男も黙ってはいないだろう。美香を殺そうとしたが――

「なんで、手が動かナイッ」

 自らの体がなぜか動かない。何度も何度も努力しても硬直して、まるで筋肉を背チャック罪で引っ張られてるかのように身動きが取れない。

「クソ、クソッ」

「返してもらう」

「っ」

 目の前にはあの根暗な男の顔があり、そっと、人質感覚がまるでないように美香は竜輝の手元に渡される。

 美香も、その光景には言葉を失い、愛華もまた同様でその異様な光景には混乱であり続けた。

「これで、終わり」

「っ! やめろぉおおお」

 ナイアーラトテップが嘆きに満ちた悲痛の叫びが頭上にタダかと響いいた後に頭上から光が降り立った。

 否、それは光ではなく、武器。武器が発する稲光。

 巨大な剣がナイアーラトテップの前に降り立ち、柄のところにフードをかぶった男性が降り立つ。わずかにそのパーカーからのぞく顔もマスクでおおわれて素顔はわからない。だが、その細身の体格を覆いつくす育成魔道共存連盟施設の制服が目につき、竜輝はぎょっとした。

 放課後に交わした会話に出てた、容疑者の学生という言葉を思い出す。

「お前は」

「ハルツ」

「逃げるぞ」

 再度まばゆい輝きが視界を埋め尽くした時3人の犯罪者の姿は消えていた。その数十分後に緊急車両が到着し、事件の全容を竜輝は語ることとなった。

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