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作戦 後編

 竜輝は軍事顧問室の秘密の部屋へ通された。

 秘密の部屋は軍事顧問室にあった壁に隠された扉の先でありまったくその存在には気付かなかった。

 真っ暗な部屋の中に明かりがともり、あたり一面を照らし出す。

 真っ白な空間に映画館のような空間を伴い雛段席のような配置をされた椅子。

「適当なところへ腰をかけてくださいます?」

 そう促されて竜輝は真ん中あたりの座席に適当に腰をおろした。

 目の前にはホワイトスクリーンの垂れ幕。

 つまり、映像を投射するための布地の垂れ幕がある。映画館そのもの空間にどぎまぎしながらこれから何が行われるのかと緊張をしていた。

 すると、竜輝たちが入ってきた反対側の入口から3人の美少女たちが入室してくる。

 運勢美香、如月愛華、柚葉雪の3人である。彼女たちも招待された様子で久遠時楓と2、3言葉を交わした後にこちらへ歩み寄ってくる。

「りゅうちゃんもここに通されてるということはもう事情は聞いたんですね?」

「ああ、あの来訪事件の首謀者たる王族の一味がこの地球にスパイとして潜入してるということだろ」

 久遠時楓から言い渡された内容は残酷な話であり信じがたい話。

 10年前の来訪事件はとあるフィリアス世界の王族が引き起こした世界侵略の一つであった。フィリアスは年々国土が環境の災害によって変化をきたしすり減ってるために数ある古い書物から異世界の話を知ったことでその王族の王がい世界の扉を開き国土拡大のために侵略を図ったという話である。

 当初、あちらフィリアスでも他世界の住人に侵略して虐殺などするべきではないという案を出す王族もいたが結果的には来訪事件の首謀者たる王族が独断的行動を起こし地球との戦争を発起した。

 反対側の王族はフィリアスにてその王族たちに問い詰め戦争を仕掛けるまでに発展したが敗北し、現在その反対派の王族つまりは共存を望む王族は少ない。

 その戦争によって敗北してしまったからだという。

 その王族の独裁政権によって引き起こされた要因があの事件の真相。

 しかも、その王族の次期後継者があの学校にいるという。

「なら、わかると思いますが今回の作戦はたいへん危険ですから一般市民であるりゅうちゃんが引き受けなくてもいいんですよ」

 最初からわかっていたことだが、共存同盟によって美香たちは救われたことで恩義を感じて現在はその政府に所属するエージェントである。

 そのエージェントである彼女たちも今回の学校の潜入作戦に参加で行われるらしい様子。

「美香姉さん、発揮し言う。俺は散々な目にそいつらのせいであわされた。俺の目的はあの事件の首謀者に復讐することだ、ずっと、それだけを胸に生きてきた。事件の首謀者たるものの長の後継人やその一味がいるなら排除するだけだ」

「りゅうちゃん」

 悲しみの瞳がこちらを見つめてくるが竜輝にはそんな瞳などくれたところでこころの火は消火などされない。

 火はより鮮明に燃え上がっていくばかりだ。

 メスイ、ゴウ、イグサ。あの3人を殺しても終わらなかった復讐。

 でも、何となく竜輝は気づいていた。復讐はまだ終わってはいないと。最後に彼らは言っていた。王族がどうのと。

 あの時その王族を始末したかに思われたが結果として言えば――

「侵略派の王族は複数いるのよ。あなたの復讐が今回ので終わるとは限らないわよ」

 雪がこちらの話に割り込んできてそう忠言をくれる。

 侵略派の王族。イグサたちを操っていたのは大きな組織。

 いくつもの国が連盟を結んで作った一個の大国家といえる。

 フィリアスでメスイたちとともに葬ったあの王族も結局その一つにしか過ぎなかったのは説明をされたことで竜輝の中で理解している。

「わかってる。でも、こっちの世界に親玉がいる可能性があるのも事実じゃないのか?」

「それは――」

 その時になってスクリーンに映像が流れ始めた。

 来訪事件から始まって同盟からかずかずの歴史を踏みしんでいく映像。

 『フィリアス』、自然の生命エネルギーに満ち足りた世界では魔法が主流となっている。

 だが、ある時期におかれ自然災害が生じたことで国土が半減。

 食物を耕す土地が激減したことで人の食費問題が勃発する。

 そのためにフィリアスのフィルツランド国が数ある歴史を調べたことから異世界の存在を知り来訪事件が勃発。

 そのせいで地球の総人口の7割が死亡した。

 その後に現れたフィリアス人側同盟を結ぼうという者たちと政府の論争。

 フィリアスに拉致された人物の存在が政府に知らされるが政府は救出活動をせずに徹する。

 侵略派王族の数は総数30国以上。

 現在は20にまで数を減らせたが同盟関係の王族は現在3国のみ。

 わが地球の国家は生命にひんしている状態でありただちに侵略派の排除を目的とした。

 その作戦として竜輝が救出する形となったことが大体流れたところで――最後に楓が登場した。

「ここに集まってくれた者たちはこれから行われる侵略派統括する王族の一派の学校に潜入してる者どもの殲滅作戦班でありますわ。今回の情報で『都立女子育成魔道共存連盟施設』には統括する王女がいることがわかりましたわ。そこで、このメンバーによって学内の情報を探り出し王女の暗殺を行ってくださいな」

 大きな声で彼女は言い渡す。

 意外にも侵略派をまとめていた王族のトップが女であった事実。

 しかも、学校にいる。

「学内はひろく、学校は政府が管轄する特殊な軍事訓練も兼ねた専門学校でもありますわ。そこで、班員にはそれぞれ学内においていろんな役柄になっていただきますわ」

 映像が切り替わる白い用紙の上に黒字で書かれた4人の名前。

 運勢美香 大学部2年として学内に潜入。

 如月愛華 大学部1年として学内に潜入。

 柚葉雪 高等部2年として学内に潜入。

 運勢竜輝 魔道教職員として学内に潜入。

「以上がそれぞれの役目ですわ。任務は4月7日より行ってください。明日には4名に追って書類データを送付いたしますわ」

 そして、楓がこちらに歩み寄ってきて一台の端末機を手渡した。

「今後、こちらに情報を転送いたしますわ。本日をもってあなたを世界共存同盟軍の日本支部の潜入捜査員に任命いたしますわ。運勢竜輝二等兵」

 なんだか、勝手に話がすすまっていく。

 竜輝は顔をひきつらせながら端末を受け取って一言告げた。

「言っとくが俺は一応はこの話に乗っておく。復讐の相手を暗殺するのにもうってつけな状況だからな。だけど、俺はそれが終わったらこんな役職とっと止める。二等兵だとかそんな肩書はいらない。たんなる、ボランティア活動だ」

「ずいぶんないいようですわね」

「あんたらのしたことを考えれば安い言葉じゃないか」

 彼女は微笑みあらためていった。

「では、言い変えますわ。このたびの潜入任務お任せいたしますわ。運勢竜輝。学校の手続きは一通り済んでますわ。あなたは実質教員免許を特例で取得したものとしておりますので」

 と言い渡して彼女は解散の伝達を行った。

 そのあとに柚葉を呼びつけ何かを話し合ってこちらを見ていたが竜輝にはこれが何の意味なのかはこの時まだ知らなかった。

 それを知ったのは任務当日の朝であった。

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