1話 異世界転生
初めて書きます!
「行ってきまーす!」
朝、高校へ行く時間だ。
玄関に向かう。すると、
ピーンポーン!
インターホンの音が聞こえた。
こんなタイミングで来る人は幼馴染だと思う。
「おはよう真!」
「おはよう、悠」
ドアを開けるとやっぱり幼馴染みの悠が立っていた。
悠は少し残念そうな顔をして言った。
「驚かないの?」
驚いて欲しかったのか?
まあ、もういつどこに悠がいても僕は驚かないと思うけど。
「今の時間に来るの悠しかいないだろ」
「あれ〜?近所の人だったことあったよね〜」
「そ、そんなことなかったよ?」
「あのときの真の顔撮っておきたかったなぁ」
「ニヤニヤするなぁ!」
「ふふーん!」
「ドヤ顔もやめろ!」
あの時の微妙な空気は辛かった。
母さんが気を利かせてくれなかったら心に深い傷を負うところだった…
そんなことをしていると、近所の人達にニヤニヤした顔で見られてた。
これ以上は精神的にキツいので、悠の手を引いて行く。
すると、もっとニヤニヤされた。
母さんからもニヤニヤされていて、なんかすごく恥ずかしい。
「行くよ、悠!」
「行こっか!」
僕の家の隣は悠の家で、小学生の頃からいつも一緒に登校していた。
家から高校までは歩いて25分〜30分くらいの距離があって、ゆっくり悠と話したいから徒歩で行っている。
たまに途中から優也も入るときもあるけど。
僕たちの行っている学校は秋生高校という高校で僕たちは1-Aだ。
クラスでは女子に撫でられ、男子に恋愛相談されるという酷い扱いだ。
「クラスが一緒だから学校で話せばいいじゃん」とよく優也に言われるけど、僕はこの時間が好きなのでやめる気はない。
女子に遊ばれて話ができないということもあるし、いつの間にか悠も混ざってるし。
「そういえば、誕生日明日だよね。期待して待っててね!」
「うん!楽しみだよ」
明日は僕の誕生日で、16歳になる。
去年の悠のプレゼントは月のペンダントだった。
悠が太陽のペンダントでお揃いだ。
あと、優也からは小人の人形を貰った。
その場で腹パンしてやった。
そんなことを思い出していると、ペンダントを忘れていることに気づいた。
「あ、ペンダント忘れちゃった!すぐ取ってくるね!」
「いや、いいよ!ゆっくり歩いていこうよ!」
あのペンダントは学校や外に出るとき、ずっとつけている。
…家ではさすがにつけてはいないが。
「あ、優也だ!」
優也は僕たちの親友だ。
良いやつだが、アニメや漫画が大好きなやつだ。
最近はネットの小説で、異世界転生とか転移とかいう物にハマっている。
最近は学校でずっとそのことを話してくるから、僕も見てみようかと思っている。
「おーい、ゆ「おい!真、悠!後ろ!」
優也は僕たちの方を見た途端驚愕し、僕たちの後ろを指差し、叫んだ。
「どうしたの?優也」
「どうした?」
後ろを向くと僕たちに向かって猛スピードで突っ込んでくるトラックがあった。
運転手は居眠りしていて、もうあと数メートルくらいしかなかった。
「え……」
え、なにこれ?
わけがわからない。
怖い。
どうしようもない状況が。
死がジリジリと近ずいてきている。
ぶつかったら即死だろうか?
…もし、僕がさっさと学校に行っていたら。
…もし、あと少し時間が違えば。
…もし、運転手が居眠りしていなければ。
そんな今になってはどうしようもない後悔ばかりが溢れてくる。
「………(あれ?)」
おかしい。
いつの間にか視界がモノクロになっていて、スローモーションみたいになっていた。
悠の悲鳴がゆっくりと聞こえてくる。
優也が僕たちの名前を呼んでいる。
僕は全力で跳べば助かる。
でも、それじゃ悠は助けられない。
悠を突き飛ばすと、僕は逃げられない。
…それなら!
「悠!」
僕は悠を突き飛ばした。
悠が驚いた顔をして僕を見ている。
これで良かったんだ。
トラックを見ると目の前に来ていた。
(あれ?)
目が開いた。
僕は死んだのか?
それとも運良く助かったのか?
(なんで?)
目の前が真っ白だった。
ここはどこだ?
病院というわけでもなさそうだ。
見渡すと360度、全て真っ白だった。
(え……?)
真っ白だった。
足がない。
手もない。
何もなかった。
「当たり前だよ。君はトラックに轢かれて死んだんだから。
今の君は魂だけの状態だよ」
背後から声がした。
振り返ると、金髪碧眼の中性的な少年(少女?)が立っていた。
青い着物を着ていて、この空間の白に負けない光り輝く翼が生えている。
(なんでそのことを知っているんだ?)
声に出そうとしても出なかった。
出ているかもしれないけど耳、というか頭がないのだ。
「それは私が神だからだよ、新城 真くん」
(声に出してないのに…それに名前も)
一気にこの人物が怪しく見える。
…そもそも翼が生えている時点でおかしいが。
まあそれをいったら自分も身体がないんだが。
「心を読むくらい簡単だよ!」
本当に神様かもしれない…
ただ、あんたもドヤ顔か!
…ていうか、今までのももしかして聞かれてた?
「うん、全部」
……わー、超恥ずかしい。
「詳しく言うと、私は地球の創造神だよ!」
あれ、そんな神様相手に失礼な態度を……
「別に普通でいいよ。地球の生物は全て僕の子供みたいなものだからね!」
神様がそう言っているし、いいか。
それにしても、
(ここはどこです?)
別に思うだけでいいのだが、つい癖でやってしまう。
「ここはさっき私がつくった空間だよ。
それにしても信じるのかい?私が神だということを」
信じるしかない。
トラックがぶつかった瞬間も、そのときの衝撃も覚えている。
「とりあえず、君をここに連れてきた理由を言うよ。
実は…本当は君は死ぬはずじゃなかった。
普通に登校して、君を含めた1-Aの全員をグロウルシア……まあ、異世界に勇者として召喚されるはずだったんだよ」
(じゃあ、なんで僕は死んだんだ?)
誰かがやったのだろうか。
いや、そうだとしてもなんで僕が?
だからって悠を助けたことは後悔していない。
もう、会えないのかな?
「それは他の神がやった。
そして既にもう先手を打たれてた。
このままじゃ全員死ぬ。
1-Aの生徒も、グロウルシアの人々も……。そこで君の出番だ!」
(僕?)
なんでそこで僕が?
「他の神の手によって本来グロウルシアに存在しない7体の魔族の王がつくりだされていた。
私があの世界をつくったわけではないからね。
そいつらによってグロウルシアは滅びかけている。
1-Aの生徒が転移しても全員殺されるだけだよ。
…でも、勇者召喚は止められない。
私はこいつらにはもう何もできないが、でも君ならどうにかできる!」
(……それで、僕にどうしろと)
「君にはグロウルシアに転生してほしい。
そして、グロウルシアと1-Aの生徒を救ってほしい。
もちろん、魂が残っていれば1-Aの生徒と一緒に地球に還せる」
(今から地球に戻れないのか?)
会えるのは嬉しいけど、今僕は戻れないのか?
「無理だよ。地球では死んだから、グロウルシアで転生してからじゃないと」
だとしても、僕一人で勝てるのか?
「それは君次第だよ。
でも、勇者でしか魔王は倒せない。
できないことはないけど、ほぼ不可能だよ。
奴らが来たのは2年前だったみたいだから、君を16年前に転生させるよ。
転生後の16歳の誕生日に1-Aの生徒が転移してくる。それまで、魔王達をなんとかしててほしい」
なんで神様がどうにかできないんだろう?
いくら魔王でも、神様ならなんとかなると思うけど。
「位の低い神はそこまで干渉できないんだ。私もそこまで高くないからね。
でも、転生を使えば過去に行ける。」
思い出した。
優也の言っていた、異世界転生というやつに似ている。
「能力だけど、グロウルシアにはスキルとステータスというものがある。
ステータスはHP、MP、STR、DEF、AGI、INTがあるよ。
スキルは魔法や剣術などがあるね。
君は最初から光魔法が使えるようになっているよ!
それに、本当は選べないけど2つくらい選んでいいよ。
ちなみに属性は無、火、水、氷、土、風、雷、光、闇だよ。
無はみんな使えるからいいとして、回復魔法も勇者は使えるね。
闇は魔物と魔族のものだからオススメはしないよ」
説明長いな…
けっこう急な話だが、スキルは大事だろう。
とりあえず整理すると、火、水、氷、土、風、雷、闇か。
闇はないとして、そうだな……
決めた!
「雷魔法と氷魔法にするんだね。あとスキルだけど、私が選んであげるね。まあ、期待しててよ!」
(…ありがとうございます)
性別がわからない。
少年にも、少女にも見える。
「じゃあ、そこのゲートを通れば転生できるよ」
いつの間にか白い、光り輝くゲートができていた。
「アドバイスを言っておく。魔王はどれも危険だけど、覇王は特に危険だよ。
自分から動くことは基本ないけど気をつけてね。
それに、勇者だって人だ。
他の神が他にも何かしているかもしれない。…気をつけてね」
(ありがとう、神様)
そして、俺はゲートを通った。
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「行っちゃったか」
彼は過去に転生した。
今も私はグロウルシアには行けない。
やっぱり私はまだ世界を預かっている状態だからか?
だから明日彼が…いや、彼女がやり遂げたかどうか、生きているかどうかがわかる。
「生きててよ、真くん」
とりあえず完結させたいです。