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クッキーと王子様

がちゃがちゃと手荒に鍵を開けて、はい!ただいまー、我が家!恋しかったぞ!なんて寒いセリフを心の中で吐いてみる。


急いで手洗いうがいを済ませ、お母さんに帰宅の挨拶とお茶の準備を頼む。


「もうとっくに運んだけど?」

「え?」

「え?じゃないわよ。せっかく晃一君がきてくれてるのよ?もてなすに決まってるじゃない。」

「イケメンだからでしょ?」

「当たり前じゃないの!イケメンは正義よ!あんたのは自分でやんなさいよ?」


お母さんのドヤ顔がやけにイラっとくる。

そうですかー。イケメンは正義ですかー。娘の分は用意しなくても、イケメン幼馴染の分は用意するんだー。

くそっ!来世はちょーイケメンに生まれてやる!


渋々自分の分の紅茶と貰いものっぽいクッキーを皿に用意し、2階へレッツゴー!


自分の部屋に着くと、何故かドアが空いている。

あれ?と思い、こそっと頭だけ入れて部屋を覗くと黒曜石のように艶やかな瞳がこちらを見ていた。


「待ってたよ。」


流れるような動作で紅茶とクッキーが乗ったお盆を奪われ、座布団に座らされる。

ここ、私の部屋なのに、まるで晃一の部屋みたい。

へんなの。


「あ、ありがとう。なんか話しあるんだって?」

「どういたしまして。そうなんだ。じゃあ単刀直入に言うよ?」

「どうぞ」


途端に、晃一はちょっと照れ臭そうに笑った。


「今週の土曜日に一緒にケーキ屋さんへいってもらえないかな?」


うわー!誰これ!

気持ち悪い!

確かに晃一は甘党でケーキ大好きだけど、王子様なバージョンになってからケーキ屋さんへの誘い方がやけに不自然だ。


やさぐれてる時なんて、

「駅前のケーキ屋さんでケーキ買って来いよ!どのケーキかはわかってんだろ?」

だったのに!

反抗期がなくて、ずっと王子様なままだったら違和感ないけど、あのやさぐれ感100%時代を知ってるもので、違和感有りまくりである。


「け、ケーキ屋さんね?えと、最近学校の近くに出来たお店のことだよね?」

「そう!それ!どう?一緒に行ってくれる?」


やめろ!その捨てられそうな犬の様な目をするのはやめろ!


「行く!一緒に行くから!」

「本当!?ありがとう!」


お願いだから、その眩しい笑顔を私に向けないでください。


まじイケメン王子の笑顔ってすごい。幼馴染な私は慣れてるから大丈夫だけど、耐性のない女の子達だったらイチコロでしょうね。

イケメンまじ怖いわ・・・

まぁ、私も幼馴染には激甘なんだけど。


あ、よく考えたら、香菜のことも誘えばいいんじゃない?

香菜も甘いもの好きだし、ケーキ一緒に食べたら仲良くなれそう!


「あのさ、私の友人も一緒に行ってもいい?」


幸せそうにクッキーをポリポリ食べてる幼馴染に声をかける。

なんか、リスっぽくて可愛い。

昔から、クッキー食べる時はちょびちょび食べるのよねー。

クッキーの食べ方だけは反抗期の時も変わらなかったのはちょっと笑ってしまった。


「え?あ、うん、いいよ。」


なんか一瞬だけしょんぼりな顔になった気がしたけど、気のせいでしょ!


ってことで、今週の土曜日が決戦ですね!頑張れ私!



「岬、岬のクッキーも食べていい?」

「いや、もう質問する前に食べてるじゃないの!返せ!それは私のクッキーだ!」

「仕方ないなー。はい。」

「お前の歯型ついたのなんかいらんわー!」

「えー、岬ったらワガママ言ったらダメだよ?」

「うっさい!」

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