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え、なんだって?もう一回いってくれないか?


「おい、何やってんだよ。今日一緒に帰るって約束しただろうが。早く来い。あ?もしかして、オウジサマバージョンの方がいいのか?

岬、一緒に帰るって約束したのにどうして一人で帰ろうとしたの?俺のこと嫌い?」


「先輩!こんな俺様と王子様キャラを使い分けるヤツなんかほっといた方がいいですよ!僕と一緒に帰りましょう!」


王子様な外見の男子と女の子に見間違うくらいのワンコ系男子が私に詰め寄ってくる。


違う!こんな状況を作り出す為に努力してるんじゃない!

私はただ、晃一と幼馴染をくっつけて、俺様に戻そうとしていただけなのに!


どうしてこうなった!



「私、好きなひとがいるの!」


ことの発端は共にお昼を食べていた友達の香菜の一言。


「は?突然なんなの?」

「だから、好きな人ができたの!恋してるのよ!」

「え、あ、うん?」


香菜の突然の宣言に私は目をひん剥いた。

まじ飲み物飲んでる時じゃなくてよかった。

目も当てられない大惨事になるとこだったよ!

そんなばっちいことはさて置き、私の友人は会話においての基本、5W1Hという存在を忘れてしまったらしい。

香菜が、誰を好きになってしまったのか、一番大事な部分が抜けている。

だが、この時全く嫌な予感がしていた。小学校から仲良しな私にとって、次の一言を推測するのは全くもって容易いことだった。

どうせ、次に続くのはあのセリフにちがいない!

松原君を好きになった時も、三笠くんを好きになった時にも言っていたセリフだ!


「岬ちゃんに協力してほしいの!」


・・・はい、やっぱそうですよね!知ってましたよ!


私、恋愛経験ゼロだから手伝うってのが難しいのよね。

とりあえず、相手の男の子と仲良くなって香菜と話せる様にするくらいしか出来ない。


「はぁ。全く、誰が好きなのよ?」

「協力してくれるの!?うれしい!ありがとう!!」


溜息を吐く私と対象的に、香菜はうれしそうにきゃらきゃら笑った!

幸せそうで誠に結構!

こっちは大変なんですけどね!!


「で、誰なの?」

「仲崎くん!」

「え、ちょ、え!?仲崎晃一!?」


な、なんですってー!?

仲崎晃一と言えば濡れ羽色した艶やかな髪に、彫刻の如きに整った顔、190ほどもある締まった身体、秀才と呼べる頭脳で女の子達に絶大な人気を誇る学校一のイケメンじゃないですか!

公には秘密だけど、私の幼馴染でもあります。

なんで秘密かって?

私みたいな子と学校一のイケメンが幼馴染とか、格好のイジメ対象になっちゃうよ。


だって、私はダサい髪型に、少しだけぽっちゃり体型、かわいくない顔と性格、ほんのちょっと、ほんのちょーっと悪い頭だけの女である。そんな女の幼馴染がなぜヤツのようにハイスペックなのか未だに理解不能である。

もっと幼馴染は普通のスペックがよかった!

そもそも、色々神様はやつに色々与え過ぎなのだ!

ヤツにあんなに与えるんだったら、私にももうちょい頭脳を与えてくれてもいいじゃないか?

別に頭悪いわけじゃないけど!!

さて、そんな完璧な幼馴染だけど、最近違和感感じまくりなのですよ。

晃一は中学3年の時、反抗期をむかえたのか、急に俺様にイメチェンしたんです!言葉遣いは悪いわ、言い寄

女の子に手を出すわ、両親や絡まれた不良と喧嘩するわと、大変な毎日でした。

でもやけに晃一が生き生きしていたので、幼馴染としては良いことかもと放置してた。

何より、私は俺様が大好き!あのグイグイ具合がたまらない!


別に幼馴染を恋愛対象として見てるわけではないけど、憧れてる俺様が身近にいるだけで毎日が楽しいのさ!


それなのに高校入った途端俺様から王子様キャラになるなんて・・・

あーあ、俺様キャラにもどってくれないかなぁ。


ってか、モテてるから意外と香菜とくっつけさせるの大変かもなぁ・・・


「ずいぶん大物を好きになったね・・・」

「そんなに褒めなくても・・・えへ」

「全く褒めてないわ!!」


あぁ、考えただけでもう疲れてきた。

香菜ならきっと晃一の彼女にぴったりに違いない!

本人は謙遜してるが目が大きくて、華奢でとっても可愛いくて、めちゃくちゃモテる。

正直晃一とお似合いだ。

そして、香菜と晃一が恋人になって、香菜に俺様のほうが好き!と言わせたら、きっと晃一は俺様に戻ってくれるはず!

香菜も晃一と恋人になれてハッピー、私も晃一が俺様に戻ってハッピー!

よし、これでいこう!

私がこいつらをくっつけてやろうじゃないか!

私の俺様のために!

バンっと力強く机を叩き、私は高らかに宣言する。


「しょうがない!私が一肌脱いでやるわよ!」

「岬ちゃん、服を脱いじゃったら露出狂で訴えられちゃうよ!」

「そういう意味じゃなぁぁぁああああい!!」


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