「第6幕」
「それから…どうなったの?」
子供が話の続きを急かすように、老人の言葉を待っていた。
老人は小枝を手に取り、夕日で真っ赤に染まった砂浜に絵を描き始める。
その絵は「先端に角のある大きな魚」だった。
「知ってる!カジキでしょ?これ」
少年の1人が得意げな声を上げる。
「よく知っておるの…じゃが、昔のこやつらは今のカジキとは異なり、2倍…いや大きいもの
で5倍もの大きさだったそうじゃ…また、鱗も普通のカジキとは違い硬く、海の中を矢のような
速さで泳ぎ、その先端の鋭い角で獲物を突き刺すのじゃ…」
老人がおどろおどろしい声でそう語ると、少年達は口々に驚きの声を漏らし、目を見開き
「すっげぇ…そんな怪物どうやって倒したの!?」
「今はいないの?!そいつ」
「俺…恐くなんか無いぞ!」
と、声を上げて、楽しそうな声を浜辺に響かせた。
老人はそんな様子を楽しげな様子で見つめ、背中の辺りに於いてあった
「バナナの葉」を取り出し
「これじゃよ…これを使ってその海の魔物を退治したんじゃ」
少年達は驚き、口々に
「え〜!?バナナの葉っぱぁ!?どうやって?どうやって倒したの!?」
と身を乗り出して老人に詰め寄った。
老人は嗜めるように、優しい口調で
「そう、焦るな…まぁ、落ち着いて聞きなさい…どうやってあの「魔物」を退治したのか
を…」
そして、夕日が海に触れる様子を眺めながら…再び老人は語り始めた。