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「第5幕」

少年は丘の上からその浜辺を眺め続けた。



その場所は少年のお気に入りの場所だった。



飽きることなく、昼も、夜も、雨の日も、風の日も…



時間が許す限り、仕事の合間を見てはその浜辺を眺め続けた



その真紅に染まった浜辺を少年は眺め続けていた。



ただ一つのことだけを考えて…ただそのことだけを考えながら…



浜辺を見つめる少年表情は妙に大人びた顔つきだが、どこかに何かを置き忘れてきたような



空虚な表情であった。



てのひらを見つめる。小さな掌。子供…幼い自分…



少年は大人になりたかった。バカにされることの無い大人になりたかった。



大人は誰も子供の自分の言葉には耳を貸そうとはしてくれなかった。



だが少年は理解していた。今、自分が置かれている立場を。



父と一番上の兄は死に、上の兄は狂った。



だからこそ自分は母と弟たち、そして兄を養っていくために働かなければならなかった。



しかし、子供である自分の稼げる額など高が知れている。


そんなある日、少年は町に出かけていた。



亡くなった父が残してくれた「バナナの樹」から取れたバナナを町に売りに出かけたので



あった。



そんな少年の目に大きな看板の前に集まる人だかりが映る。



「あれ…なんて書いてるの…」



抑揚の無い声で看板を指差し、バナナを納めにきた店主に声をかける。



「ああ、あれは王様が『奴らを退治するのに力や知恵を貸してくれるものがいれば金1,000枚渡



す』って書いてあるのさ。尤も…未だに奴らがのさばってる所をみりゃ、腕自慢で息んでた奴



らもおそらくは奴らの餌になってるわな。金は欲しいが命もおしいってもんだ…っておい?坊



主?」



店主の話を聞き終わると同時に、少年はバナナの代金を掴み取ると駆け足で走り出した。



人混みを書き分け、少年は走った。



城へと続く細い道を…

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