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「第4幕」

「ある文官の日誌より抜粋」




王暦 666年 8月10日 


  民より海で「魔物」に襲われたとの訴えが初めて届けられる。


      

  定例報告会に於いて報告するも、武官達は事態を深く考えず、各村の自警団にて


      

  対処するように指示をだす。我が国の主要産業は豊富な海洋資源で成り立っている。


      

  その魔物がいる限り、民は安心して漁に出ることができないと説得を試みるが聞き入


      

  れられなかった。何事も無ければよいのだが。




王暦 666年 8月20日


  各村から、自警団の大半が壊滅状態に陥ったとの報告。また、耐え切れず漁にでた民も



  「魔物」の犠牲となったようだ。

      


  民の不満は高まる一方であり、また食料難に関しても深刻な事態に発展しようとしてい



  る。議会に掛け合い、やや強引な方法ではあるが、城の食糧備蓄を民に提供する。


  

  武官達からは一大事の時の備蓄を軽々しく…との意見があったが、取り合わないことと



  した。今が一大事でなくてなんだと言うのだろう。


王暦 666年 8月21日

      

  王女が倒れた。原因は不明。高熱にうなされ、苦しんでいるお姿を拝見すると心が痛み,



  なにもできない自分の無能さに腹が立つ。



  王宮医師が言うには、「あとは神に祈るしかない」とのこと神に祈って治るのであれば、



  何度でも神に祈り続けよう。


王暦 666年 8月23日

      

  漸く武官が重い腰を上げ、近衛隊を中心とした正式な討伐隊の編成が決まる。

      


  また農作物の価格を一部の商人が釣り上げているとの報告が入る。


   

  この国の一大事に… すぐに処分と対策を指示する。



  王女の容態は小康状態。熱は幾分か下がっているが今だ予断を許さない状況。



  また時間が許す限り見舞いたいと思う。


王暦 666年 8月31日

      

  第3次討伐隊も無残な結果に終わった。皮肉にも、「魔物」に餌を与えに行っているのか?



  との叱責を頂く。第4次討伐隊の編成に関しても無策のままでは同じ結果が待っているのは



  火を見るよりも明らかであり、また民の不満ももう、限界に近い。城の食糧の備蓄も無限



  ではないのだ。最終的に会議で出た結論は、広く民から勇者、賢者を募り



  「魔物を討伐したものに金1000枚を与える」というものだった」

      


   国の内外に我が国に勇者、賢者なしと広めまわるようだが、もう他に打つ手もないのも



   事実のようだ。嘆かわしい…我が国の人材の不足は今後の大きな課題と言えるだろう。



   王女の様子は漸く落ち着きを見せていた。しかし医師によると王女の視力は熱により



   失われている可能性があるとのこと。

       

   

   ああ、神よ…なぜに彼女にそのような残酷な運命を与えるのだ…


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