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「第1幕」
今ではなく此処でもない、遠い昔のとある場所でのお話。
時刻は夕暮れ前、太陽がやがて海に沈まんとする頃、とある島の砂浜に数人の子供達と
1人の老人が火を囲むように座っていました。
子供達の目はらんらんと輝き、やがて痺れを切らしたようにいいました。
「爺、話を聞かせておくれよ」
爺と呼ばれた老人は、その生きてきた年月を感じさせるような皺だらけの手で子供の頭をなで、
ゆっくりと沈む太陽を眩しそうに見つめ
「そうさなぁ…今日は、この砂浜について話してやろう…」
深く、静かな声で老人はそう呟きました。
すると、手を元気に上げた少年が誇らしげな顔をして
「俺、知ってるぜ!この砂浜「紅い砂浜」って言うんだぜ」
続けて、その少年の隣に座っていた少年も負けじと
「知ってる!えっと…えっと…なんか聞いたことあるよ!」
老人はそんな子供達の元気な様子を微笑ましげに眺め、再び夕日が沈み行く海を眺めながら
ゆっくりと口を開きはじめた
「よく知っておるの…では、話そうか…この「紅い砂浜」にまつわる話をの」