3.奪還作戦1
都倉警部から
前回の事件の被疑者の中国人リーダーの男が、
拘留中の拘置所の中で死んでいたと連絡が入った。
検視の結果、耳の中から脳内へ針らしき武器で指された毒殺だった。
最近途中採用になった職員が、翌日から1人いなくなっているので
たぶんそいつの仕業だろうとの話だった。
警察としては、この事件がもし外部に漏れれば
偉いさんの首が飛ぶほど大変なことなので
都倉警部を始めとして警察上層部も非常に困っている。
警察としては、
新しい話題が必要で明日の夜に捕り物は開始されることに決まった。
彼女達へはその旨を連絡し、こちらの指示にしたがって動くようにお願いした。
この捕り物は
下水道への逃げる道もふさいで一網打尽の予定だった。
地下にある爆弾部屋の存在が不気味だった。
もし爆発させればビル倒壊の可能性も高く、
誘拐された女性たちも無事では済まない。
今夜までに爆発させないようにする必要があった。
翔は午前中に下水道から侵入した。
下水道にはやはり大きなワニが飼育されており何頭も波打って泳いでいる。
生肉の餌を撒いて集めて強力な麻酔薬ケタミンを使って捕獲していく。
催眠効果の出るまでに最低でも1時間近くかかるのでじっと待った。
総数は10匹で終わったが、本当に熱くて臭くて大変な作業だった。
地下道の向かい側の道までは5m近くもあるため、
通常は渡ることができないので人員の配置の必要はないと思われた。
この後、鉄製ドアの鍵を開けて地下室の爆弾部屋へ向かった。
この爆弾を調査して翔は驚いた。
トリニトロトルエンの約2倍の爆発力を持つ
『ヘキサニトロヘキサアザイソウルチタン』で、
500kgほど積まれている。
もし爆発すればあたり100m四方は大変な被害が出ることになる。
設置された信管を抜き振動棒でバラバラにして使用不能とした。
ボスのチョウが来る時間まであと1時間ほどだった。
地下室から侵入するには監視が厳しいため別ルートを考えていた。
百合には事前に彼女達への指示内容を伝え、
時間が来たら行動するよう打ち合わせている。
翔は、まず3階の彼女達を保護しなければならなかった。
黒のバトルスーツセット(ヘルメット、ブーツ、ハンド)を装着し、
一般人の目に付かないビルの裏手から
アンカー付のワイヤーで編んだロープを発射し
屋上へ固定しスルスルと忍者のように屋上へ上がっていく。
このバトルスーツセットは、テロ教団事件の時から使用しているが、
軽くて防弾・防刃・防衝撃機能を持つすぐれものだった。
素材としては、
布部は超高分子量ポリエチレン繊維へ炭窒化チタンを吹きつけ編みこまれたもの。
プレート部は超高分子量ポリエチレン繊維を特殊な温度制御式超高圧プレス機で圧着し
硬度の高いプラスチックの板状にしている。
戦闘時、身体の急所、首筋・肩・肘・膝及び脊髄保護のためプレートが入っている。
またプレート内側には衝撃吸収素材が貼られていて身体に直接強い衝撃は感じない。
ただし、繊維は高熱には弱いので注意する必要があった。
実はヘルメット、ブーツ、ハンドにはその他の機能も備えているが
今は説明している時間はないので割愛する。
屋上のドアを開けて4階への階段を下りていく。
敵は屋上からの侵入を想定してないので屋上部分には警報装置は設置されていない。
4階は大きな保冷庫が設置されている。
中を確認したかったが扉を開けると警報が作動するのであきらめた。
3階の廊下にはチーマーらしき若者が監視と言うよりスマホで遊んでいる。
4階の階段から身を伏せて、そっと見張りの方向へ強度振動波を発信した。
百合から彼女達へ『そろそろ救出に向かうので安心するよう』連絡させている。
しばらくしてクモ大助1号からの情報を確認すると見張りは完全に眠りこけている。
翔はカメレオンウェアを改造した携帯用カメレオンウェア衝立を
監視用カメラの正面に立て、見張りは続けて行われているように操作した。
翔は急いで見張りの両手両足と口と目に布製ガムテープを貼った。
きっと目のガムテープをはがす時は酷いことになるが悪い事しているので仕方なかった。
3階の軟禁部屋の鍵を開けて彼女達を保護下においた。
鍵を内から掛け外から入れない様に指示した。
1階警備室を外から見張っているクモ大助2号からの信号では警備員に変化は無い。




