6-15.超小型補助戦闘機『ヴァンカ=ヒール』
「来やがれ!!ヴァンカ=ヒール!!!」
ピシッ…!
空中にヒビが入る。
そしてそのヒビは一気に広がり、まるでガラスが割れるように空間が割れた。
何て言うか不思議な光景だ。
空中は割れたはずなのに、別に穴が開いてるわけじゃない。謎だ。
ヒビの話はいいとして、空中から現れたモノがあった。
大きさは1m程度。頭半分の魚っぽい流線型ボディに左右2対、上部に1つ計5つのウイング。
左右に2つずつ付いた何かの発射口、下部には固定砲台のような小型の砲台が逆さに付いている。
そしてライトグレーのフレームには、大きく『癒』っていう文字が描かれていた。
「!!?」
驚くウゴクンジャー4名。
流石にこの光景は驚く。
「…へへっ、驚いたようだな?コイツはダークキャン・Dの超小型補助戦闘機、その名もヴァンカ=ヒールだ。コイツとオレで、お前らを血祭りにあげてやる!!」
今回は本当に皆さんが反応してくれたんでキヨスクもご機嫌だ。
彼はニヤニヤ笑いながら、再びリモコンのマイクに向かって叫ぶ。
「ドライアイスマシンガン、用意!!」
キュイン…
ヴァンカ=ヒールの砲台が滑らかな動きでウゴクンジャー4人に向けられる。
砲台なんだけど機体自体がちっこいので、砲台って言うよりはライフルか何かの先端部分といった感じだ。
「ッ!!銃!?」
「うわっ!?」
「くっ!!」
ウゴクンジャーのスーツは服一枚着た程度。
まあ、蝶の装甲やヒュドラの装甲はかなりのものだが、それでも銃弾なんぞ当たれば死亡遊戯だ。
だから3人は慌てた。
ちなみに甲虫は用意って言った瞬間にモノ陰に隠れてる。
「逃げても無駄だ!!撃てッ!!!」
パパパパパッ!!
「うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」
無数の銃弾が、逃げようとしたウゴクンジャー蟹の背に降り注いだ。
憐れ、ウゴクンジャー蟹こと蟹令李週一は蜂の巣に。
…なっていなかった。
「痛てててて…。」
彼の背中にはBB弾くらいの大きさのドライアイスがくっ付いており、二酸化炭素の白い蒸気を立ち上らせている。
そう!威力も市販のモデルガン並だったのだ!!
さすがダークキャン・D。殺傷能力抜群の兵器なんて使わない。
「…って、何?」
「銃じゃないのか…?」
痛がる週一を見て呟く蝶とヒュドラ。
モノ陰に隠れてた甲虫も顔を出す。
「お前ら、オレの話を聞いてなかったか?言っただろ、補助戦闘機って。だからコイツはあくまで補助用だ。さあ!お次はコレだ!!」
リアクションが取れずにいるウゴクンジャーだったが、キヨスクは愉快そうに笑い、再びリモコンに向かって叫んだ。
「ヴァンカ=ヒール!マイクロスタンミサイル用意ッ!!」
ガチャン
機体の側部に付いている発射口が動く。
そしてどこからかロックオンサイトが現れ、ウゴクンジャーの身体にマークを照射した。
「発射ッ!!」
バシュバシュバシュバシュッ!!
白煙を上げながらマジックペン大のミサイルが放たれる。
今度はウゴクンジャー全員、慌てなかった。
「慌てたあたしが…バカみたい。」
溜息を吐きながら蝶はミサイルを叩き落した。
結構な速さだったが彼女にしてみればこんなこと朝飯前だろう。
「えいっ!!」
甲虫は自分に向かって飛んでくるミサイルに石を投げ、撃墜した。
空中で可哀相なくらい小規模な爆発…というか煙を上げ、それは消滅した。ショボい。
「叩き落してやる!」
「僕だって!!」
女性陣が難なく攻略する中、ヒョドラと蟹もミサイルに挑んだ。
ボンッ!!ドンッ!!
…でも見事に着弾する。
「痛ぅっ!?」
「痺れた!?」
どうやらスタンミサイルってのは、チクッっと痺れるミサイルだったようだ。
まあ、何にせよあんましダメージはない。
「へへへっ!!どうだ!?このヴァンカ=ヒールとオレが同時に攻める…そうなればお前らは死んだも同然ってわけさぁ!!?」
キヨスクはアホみたく(事実アホだが)笑うと、再び反復横跳びを始めた。
「行け!ヴァンカ=ヒール!!乱射だ!!」
パパパパパパパッ!!!
モデルガンレベルの銃弾が迸る。
でももうネタはばれてるから、ウゴクンジャー一同はビビらなかった。
当たったってチクッと痛い程度なのだ。
「指揮者を潰せば!!」
身体に打ち付けられるドライアイスの弾に構わず、モノ陰から飛び出した甲虫がキヨスクに殴りかかる。でもキヨスクの特技は絶対回避っていう最強の回避技だ。
当たんない。
「…面倒だね、これは…。」
装甲が蟹や甲虫より厚いし、しかも生身だって彼らよりは打たれ強い蝶が身体に当たる銃撃をものともせずに呟く。




