6-14.キヨスクシューティング
「改めて自己紹介だ。オレはお前らに倒された四天王キヨスクのAIと、残留思念により復活を遂げた最強の戦士、機動野菜キヨスク。お前らをあの世へ送る者だ!」
キヨスクは自信満々で笑みを浮かべる。
この点はやはり前回と変わっていなかった。
「小物が何か言ってるね。石でも投げよっか。」
甲虫がそんなキヨスクを指差して言う。
反対者ゼロ、可決だ。
彼女は足元の石を拾うと、またしても反復横跳びを始めたキヨスクに向かって投げつける。
「ノロいぜ!!」
しかし避けられてしまった。
絶え間なくジャンプしてるから狙いが定まらなかったのか?
「むっ。もう1回!」
ヒュッ!!
再び甲虫が石を投げつける。
しかしそれも虚しく空を切り、キヨスクの遥か後方へ消えていった。
「遅ぇ遅ぇ!!このオレの絶対回避で避けられない攻撃なんてねえんだよ!!」
2回の攻撃を避けることに成功したキヨスクが愉快そうに笑う。
何かムカつく、小動物のくせに…。
「僕も手伝う。」
「俺も手を貸そう。」
ムカついたのは甲虫だけではなかったみたいだ。
蟹とヒュドラも加わる。
「無駄だァ!!例えマシンガン1000丁からの弾を1mm前から撃たれてもオレには当たらねぇ!!この絶対回避が続いている間はなァ!?」
こうして、1対3のキヨスクシューティングが始まったそうな。
◇◇◇
「ダークキャン・Dの戦闘員が…。やはり、シュウやあの人たちが。」
仕事着のお陰で真面目モードに入ってる鎖雪は、そこら辺に転がっているチンパンGの遺体を見て呟いた。
それにここへ来てすぐに兄が倒した巨大なたくあん怪人。
アホみたいに見えて、実はいかなる攻撃も受け付けない最強の侵略者たちに間違いない。
「しかも変身なんて…。一体、どうなってるの…?」
彼女の見る先には、キヨスクに石を投げつけてるウゴクンジャーの姿があった。
◇◇◇
キヨスクシューティングが始まって30分経った。
体力に関しては女子中学生(帰宅部)と同レベルとされる蟹と、カッコはつけてるけどやっぱり体力が女子高生(もちろん帰宅部)と同レベルなヒュドラはすでにバテ、運動部の男子高生並のバイタリティを誇る甲虫だけが懲りもせず石を投げていた。
「あ、当たれっ!」
「無駄ァ!!」
「はぁっ、はぁっ!!こっ、これで!」
「ノロいノロい!!」
でも流石に彼女もバテてる。
投げる石のスピードもかなり落ちてた。
「くっ…うぅ…もう、疲れたァ…!!」
ドッ…
ついに甲虫は石を投げるのを止め、尻餅をつく。
別にキヨスクに攻撃されたわけじゃないけど体力をかなり消耗してしまった。
まあ、さっさと諦めないからこうなっただけだけど。
「へへっ!だらしねぇな、ウゴクンジャー!ま、オレも疲れたから少し休むがな。」
キヨスクも息があがっている。
彼はどこからかハンカチを取り出し、額の汗を拭いつつその場に座り込んだ。
「ようやく止まったね。」
今まで観戦しているだけだった蝶はそう呟くと、キヨスクの所へ歩み寄っていく。
「あ?今は休憩だぞ?少し待てって、」
ベキョ!
キヨスクの無防備な顔面に蝶の拳がめり込んだ。
「あばっ!?」
鼻血を流し、驚いたように蝶を見上げるキヨスク。
何だか以前にもあったような光景だ。
その時は綾だったけど…。
バキッ!ゴキャッ!!
続いて繰り出される第2、第3の拳。
「ばァッ!?おぼォッ!?」
吹っ飛ぶキヨスク。
空中で綺麗な軌跡を描きつつ、壊れかけたレンガの通路に墜落した。
べしゃっ
「ぐほっ!?」
ぴくぴく痙攣しながらもキヨスクは立ち上がった。
せっかく出していたキヨスクブレードも、本体部分が壊れてしまい、光の棒は消滅している。
まあ、どうせ使わないだろうから戦力ダウンってわけじゃないだろうが。
「ホラ、センパイに八又乃サン、綾さん。アホな遊びは終わり。さっさとこの米を片付けるよ?」
「そうだね。」
「ああ、やはりヒーローたる者、白兵戦で勝たねばな。石は卑怯だった。」
休んでいた蟹とヒュドラが立ち上がる。
でも甲虫はもうお疲れのようだ。
パスってジェスチャーで伝え、座ったままでいる。
でもまあ、これで決着は着きそうだ。
蟹のパワーでも倒せるくらい軟弱装甲のキヨスクなんてまるで赤子の手を捻るようなもの。
「ぐっ、や、やるじゃねぇか…。だが、これしきのことでオレは死なん!!」
よろよろと立ち上がるキヨスク。
もう大分足にきている。
「でもあと2、3発叩いたら死ぬんじゃないか?」
「あたしなら後1発で仕留められるけど。」
「ふむ、俺は4発は必要だと思うがな。」
そんな健気なキヨスクにウゴクンジャー3名は酷ぇことを口々に言う。
確かにコイツらの言ってることは正しそうだが…折角復活を遂げたキヨスクが余りに不憫だ。
「へ、へへっ、ここからが本番だ…!今までオレは手加減してたんだぜ?お前らの戦力を計るためになァ!?」
でもやっぱり自分に都合の悪い会話は聞こえないキヨスク。
再び余裕の笑みを浮かべると、どこからかリモコンっぽいモノを取り出した。
テレビとかのリモコンにも見えるけど、ボタンは付いてないがマイクっぽいものが付いてる。
キヨスクはそのマイクに向かって叫んだ。
「来やがれ!!ヴァンカ=ヒール!!!」




