6-11.機動野菜キヨスク急襲
翌日。朝霧の漂う午前5時の豪邸廃墟に冥介はいた。
周りには5体ほどのチンパンGと、消滅していくPマーモセットの姿。
そう、こんな朝っぱらから戦っていたのだ。偉い。
「この程度で俺を倒せると思っているのか?」
ピンク色の光剣、ヒュドラブレードが朝霧を切り裂く。
冥介は目を細め、廃墟の屋根に立つモノを睨んだ。
「まさか。お前らの力は評価してるんだぜ?…そいつらはお前らウゴクンジャーが全員集まるまでの余興だ!」
こしゃまっくれて、しかもちょっぴり電子音っぽい声。
そう、リバースしたあの四天王。機動野菜キヨスクだ。
「フン、余興にすらならんな。」
大口を叩き、冥介は襲い掛かるチンパンGをヒュドラブレードでぶん殴った。
素手だとチンパンGと同レベルのザコだけど、武器を持ってるから少し強くなっている。
だから一撃でチンパンGを倒せるってわけだ。
「だろうな。まあ、初っからチンパンGとPマーモセットで凌ごうとは思ってねえよ。じゃあ、お前にはコイツらの相手でもしていてもらおうか。…プリティ目薬、カイザーたくあん。」
「は~い♪まっかせてぇ~っ!キヨスク様っ☆」
女の声と共にいきなり空中から1mほどの目薬が現れる。
投げ遣りな手足が生えているのはまあダークキャン・D怪人だからいいんだけど…何故か可愛らしい少女の顔が付いていた。
それが逆に怖い、っていうかキモい。
「ぼふっ!!わだすに任せるでごわす。」
続いて壊れたドアをぶち破り、冥介と同じくらいの身長のたくあんが現れた。
こっちはサイクロプスみたく目が1つ付いており、マッチョな手足が生えている。
「2体…。なるほど、そう来たか。」
目薬はともかく、たくあんは強そうだ。
冥介は先程までの余裕の表情から真剣な表情へと顔を変える。
多分、冥介じゃ勝てないだろう。
でも基本的に運のいい冥介。
「お待たせ、八又乃さん。」
ちょうどいい場面で援軍が到着した。綾だ。
起きてすぐに来たらしく、寝癖が直っていない。
しかもなぜか手にした鞄から枕がはみ出ていた。
「…甲虫か。敵は3体だ。一気に片付けるぞ!!」
「じゃあ私があの漬物をやりますね。…こんな朝っぱらから呼び出して、覚悟できてるでしょうね?」
綾がカイザーたくあんを睨み付ける。
自己中な所といい、ヒーローに相応しくない。
でも綾らしいといえば綾らしいだろう。
その様子を冥介はニヒルに笑って見ていた。
「余所見しててい~んですか☆」
ヴンッ
そんな冥介の目の前に突然プリティ目薬が現れた。
出現の時と同じだ。
「!?」
「プリティキックぅ♪」
目薬は回転しながら蹴りを放つ。
冥介は舌打ちし、それをかわした。
ヴンッ
その瞬間、再び目薬の姿が消え、蹴りをかわした冥介の真後ろに現れる。
「無駄だよん☆」
「ッ!!瞬間移動か!!」
べしっ!!!
威力のなさそうな踵落としが炸裂した。
カッコいいけど週一と同レベルくらいにヘタレな冥介は、そんな情けない攻撃によろめく。
しかし体勢を崩しながらもヒュドラブレードを一閃させ、反撃した。
…普通、そういう体勢で放たれた反撃はかわされる。
しかも戦闘が始まった瞬間だし、相手はダークキャン・D怪人らしからぬ、『瞬間移動』っていうまともな能力を持っているのだ。
でも、冥介の反撃は…見事にヒットした。
バコッ!!!
「ぺぎゅぅ!?」
切断力ゼロだから、その辺の鉄パイプと変わらないブレードが顔面にめり込み、プリティ目薬は変な悲鳴を上げて吹っ飛んだ。
そしてそれは綺麗な放物線を描き…今やって来た人物の足元にべちゃって落ちた。
「…何、コレ。」
沙紀だ。
彼女は綾と違い、寝癖1つない。
もちろん鞄に枕を入れてくるなんてトンデモ行為もない。
やはり育ちの違いだろうか。
「蝶、来たか!そいつはダークキャン・D怪人、プリティ目薬だ!」
「コレが?」
冥介の言葉に、沙紀は足元に転がる目薬を見た。
すると薬瓶部分についた少女の顔が息も絶え絶えに言う。
「うぐっ…あ、あなた女の子よね…?だったら見逃してよ…あの男、私が可愛いからって暴力振るって…同じ女のよしみで、さ?」
命乞いだ。
しかし沙紀は無言のままプリティ目薬を踏み潰した。
「…キモいから、却下。」
正直な感想だった。
【初登場キャラ】
・プリティ目薬
・カイザーたくあん




