6-9.悩み相談と怪しい2人
『もしもし、沙紀?』
ディスプレイに水面の顔が映る。
沙紀はその顔を見て、少し微笑んだ。
「ごめん、遅くに。」
『いいのいいの。それより沙紀、どうして制服姿なの?』
電話先の水面が不思議そうに言った。
ここは沙紀の部屋。純和風に統一された品の良さそうな畳部屋だ。
しかもすでに時計は10時を回っている。
普通、帰宅したらすぐに着物に着替えて例の和服沙紀に変貌するはずの彼女が、こんな時間にも関わらず制服のままでいるのはおかしかった。
「あはは…、ちょっと、ね。」
元気のない笑いだ。
基本的に元気だけはいい沙紀だから、水面は心配そうにする。
『…悩み事?』
「ちょっとミナに聞きたいことがあって…。」
『何でも話して。相談に乗るわよ?』
「そんな、相談なんてほどのことじゃないんだけど…。」
そう先に言っておいた上で、彼女は話し始めた。
「あたし、さ。すぐ手が出るタイプだよね。何て言うか…癖みたいに。しかも手加減してるつもりでも…けっこう強くやっちゃうんだ。やっぱり…ダメかな。暴力女は。それに高圧過ぎるかもしれない。口調、乱暴だから。」
少し俯いて話す沙紀。
何だかとっても落ち込んでいる。
相談なんて程のことじゃないとか言ってるワリには深刻そうだし。
『…何かあったの?』
「え?あ、別に…。ただちょっと思っただけ。あはは、ゴメン。心配させちゃった?」
『…沙紀。』
誤魔化す沙紀に水面が少し口調を強めて言った。
落ち着いた声だが諭すような響きがある。
「ホントに何でもないって…。」
『沙紀。』
さらに口調を強める水面。
すると沙紀は悲しそうな笑顔で顔を上げた。
「…話、聞いてくれる?」
水面は厳しい顔から、まるで我が子を見る母みたいな優しい顔になり、頷いた。
『親友じゃない。当然。』
◇◇◇
その頃、週一のアパート(そういえば初登場だった)では、なにやら怪しい声が鳴り響いていた。
「っと、いいぞ、そう。その調子。脚をもう少し上げるんだ、うん、そう!」
「あっ、ダメ!あっ、あっ!そ、そっちは…!!」
とっても怪しい。
2人とも興奮しているのか、荒い息遣いで何かを激しく行っているようだ。
しかも段々白熱していく。
「そう、このまま…、っ!?で、出るっ!?」
「ダメダメダメぇぇぇぇ!ダメだってばぁ!?ちょ、待って!まだダメぇ!!」
「くっ!!」
「ああっ!!」
2人がほぼ同時に声を上げ、その後沈黙が流れた。
少しして落ち着いたらしく、再び会話が始まる。
「…ふぅ。なかなか上手くなったじゃないか、さゆ。」
「シュウこそ流石♪相手がいなくて今まで退屈してたみたいだね。凄く熱い…。」
笑い合う2人。
これってもしかするともしかして…、
「よし、少し休んで第5ラウンドだ!」
「うん!あ、またアタシを先にいかせてね?」
「OK、男として当然!」
やっぱりアレしてるのか。
チンパンGなんかにボコボコにされるほどヘタレで、蟹以外には何の興味も持ってなさそうな週一君も、やることはやっていたのか。
しかも第5ラウンド…。絶倫?




