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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION6-悪の再臨と謎の少女-
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6-8.謎の少女と焼き肉タイム

綾&沙紀の脳内で様々な仮説が打ち立てられる中、少し咳き込んでいた週一が遅れて振り向いた。


「ったく、痛いなぁ…。って、さゆ。何でここに…。」


週一は少し驚いた顔で呟く。

さゆと呼ばれた少女はその言葉に笑顔で頷いた。


「久し振り、シュウ。元気してた?アタシは元気だったよ。まあ、風邪くらいはひいたけど、すぐ治ったからノーカウント♪」


さゆって呼ばれた少女が何者かは分からない。

でも綾と沙紀は1つだけ確信した。

…この少女は、バカだ。きっと。


「今日はテンション高いんだ。何かいいことでも?」


呆れたように微笑み、週一が少女に言う。


「さすがシュウ!分かる!?うん、やっぱりアタシとシュウは一心同体!!正解だよ♪実はね、ステフィちゃんが見付かったの!それも10分で!!」


さすがにコレは週一にも理解できなかったようだ。

ハァ?って顔をする。


「まあ、積もる話は焼肉屋さんで。タクシーさ~ん!」


少女はにこにこご機嫌笑顔で声をあげた。

すると、曲がり角に待機していたらしいタクシーが4人のところへやって来る。

ドアが開き、少女は週一の荷物を勝手に取ると、車内へ放り込んだ。

ついでに週一も車内へ押し込むと、彼女はポカンとしてる綾&沙紀に微笑みかけ頭を下げる。


「シュウのお友達さんですね?シュウ、お借りします!また明日か明後日返します!!それじゃ、失礼しました!」


勝手なことを喋り、自分もタクシーに乗り込む。

ドアがバタンって閉まるのと同時にタクシーは走り去って行った。

残された2人は嵐のような展開にしばし呆然としていたが、沙紀が口を開く。


「…あれ誰?綾さんはセンパイと付き合い長いから知ってるよね?」


「さあ。そんなに凄くは週一君のこと知らないんだ、私。学校ではよく一緒に授業とか受けてるし、ゴハンも一緒に食べたりするけど…プライベートは謎。」


「…。」


沈黙が流れる。

バカってことは明白だけど、かなり可愛い子だった。

雰囲気も独特な明るさが漂っていて、性格も多分悪くないだろう。

頭は弱いけどいい子って感じだ。

と、いきなり綾が声をあげた。


「あの子、週一君のことシュウとか呼んでなかった!?しかも週一君もあの子のことを『さゆ』だなんて呼んで!くぅっ!!私に内緒でいつの間に彼女なんて作ったのよ!自分だけ幸せになるなんて、人権侵害よ!?しかも焼肉!私も食べたい!!」


そして急にトーンダウンした。


「…私も早いこと彼氏つくろ。そして焼肉おごってもらお。」


随分と前向きだ。


「八又乃さんくらいカッコよくて、しかも性格がマトモな人、どこかにいないかな。」


…望み高すぎ。

そこが綾のいいところ(?)なんだけど。

彼女は大きく伸びをすると、さっきまでの驚きや怒りはどこへやら、再び懐からCDを取り出しうっとりと眺め始めた。


「そんなことより、サイン…アイのサイン♪誰に自慢しよっかなぁ…。」


本当に幸せなヤツだ。

まあ、この人は暴走機関車だからどうでもいい。

問題は沙紀だった。

さっきから無言のままタクシーが走り去って行った方を見ている。


「…。」


目付きが怖い。

しかも拳を硬く握り締めている。


「じゃ、2人になっちゃったけど、帰ろっか。」


ご機嫌で言う綾。

ご機嫌斜めで無言な沙紀。

そろそろ夕焼けになった空に、カラスが遠くで鳴いていた。


◇◇◇


「じゃんじゃん食べてね♪何たって3万円も入ったんだから、シュウのお腹が3回くらい一杯になるくらい食べたってダメージゼロだよ♪」


大通りにある焼肉屋に2人はやって来ていた。

セーラー服着て、どう見ても女子高生だろってヤツが大学生っぽい男に焼肉をおごる。

…何て言うか不自然な光景だ。

しかも焼かれている肉は全てミノ。

カルビとか定番的なものは見当たらない。野菜もない。


「どっちかっていうと蟹料理が良かったけど…ま、おごりだから嬉しいや。それよりさっき言ってたステフィちゃんって何だよ?」


タレも付けずに肉を頬張り、週一は訊ねる。


「ワンちゃんだよ。ポメラニアン。」


「…いや、種類を聞いてるんじゃなくて…。」


「あ、そういう意味。仕事だよ、はい、コレ。」


少女はそう言うと、制服のポケットから名刺を取り出した。

あんまりいい紙じゃない。印刷もコンビニ印刷機レベルのショボさだ。


「『御手洗オールグラウンドワークス副所長代理・鎖雪』…?何だよ、コレ。」


「アタシの肩書き。今はまだ学校行ってるから代理って文字があるけど、卒業したら取れるんだ。ふふっ、そうなれば副所長だよ♪」


鎖雪。

そうだ、今日電車から現れたあの少女。

服装が変わってるし、目付きや口調も全く異なっているが確かにあの少女だ。


「って、学校行ってるのにどうして仕事してるんだよ。退学にならないか?」


「ふふん♪その点はご心配なく。その『御手洗オールグラウンドワークス』っていうのは学長さんの娘さんが所長やってるの。だから公認。国公立だったらダメだけど、演高は一応私立だからそういうのもアリってわけ。アタシ2年生だけど就職決まってるから、今日だって学校は半日しか出てないんだ。ステフィちゃんを探さなきゃならなかったし。」


「それは分かった。でも何故にステフィちゃんを探すんだ?」


「いわゆる何でも屋なの。今回の依頼は元この街に住んでた人のワンちゃんが逃亡したから捜してくれっていう依頼。帰巣本能っていうのを昔聞いたことがあって、ここに来てみたら見事ビンゴ、アタシはたった10分で依頼を完遂したの。」


鎖雪は小ライスに焼けたミノ肉を乗せ、美味しそうに食べた。

週一はその様子を苦笑しながら見詰め、新たな肉を焼き始める。

じゅ~じゅ~といい音をたて、ミノが焼けていった。

それにしてもミノしかない。

なぜこんな中途半端な肉だけ注文したのだろう。

まあ、2人とも変わってるからあまり不思議じゃないが。


「それでね、焼肉おごったからってわけじゃないけど、シュウにお願いがあるの。」


肉を食べる手を止め、少し上目遣いで鎖雪が言った。


「何だよ?代わりにステーキおごれとかは無しだからな。」


「シュウに財力関係のお願いはしないって。実は…今日泊めて欲しいの。」


独り暮らしの男の家へ泊めろとは。

一応週一君も男だ。いつ狼になってもおかしくない。

まあ、なる可能性は限りなくゼロに近いけど、ゼロじゃない。

今まで生きてて一度も女性と付き合ったことすらなさそうな彼が、そんな大胆な申し出にどう反応したかというと…、


「別にいいよ。でもお風呂はシャワーで我慢してくれよ。」


あっさりだった。


「やった~!!嬉しい♪今日はお泊りだね、しかもシュウのアパート♪」


周りにいた客がその言葉に反応する。

まあ、それも当然だろう。

鎖雪の言動はバカっぽいんだけど、それなりの美少女。

畜生見せ付けやがってとか、羨ましいぜ畜生とかそんな声が聞こえてきそうだ。


「そんな喜ぶことかな?ああ、さゆはアレするのが好きだったもんな。OK、僕が思いっきり相手してやるよ。」


微笑み合う2人。

ほんわかした空気がそこには漂っている。

でも周りの空気は焼肉の煙みたくモンモンとしていた。

…アレって、どんな行為?思いっきりって、やっぱり…?

皆さんの想像の成否は?

ここでも出てこなかった週一と鎖雪の関係とは?アパートで何が起こるのか?

またしても、答えは後ほど。

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