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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION6-悪の再臨と謎の少女-
89/150

6-5.機動野菜キヨスク

太平洋の微妙な位置に浮かぶダークキャン・D要塞。

いつも描写するのは緊張感ゼロっていうかマイナス100くらいの幹部特別室(通称:居間)だが、今回は違った。

不健全な暗い部屋。

妙な巨大カプセルが立っていて、その中には半透明で緑色の怪しさ爆発の液体が満たされており、絵本やら目薬やら怪人に成りかかった物体が浮いていた。

そう、ここは研究室。ダークキャン・Dの怪物たちが生まれた場所だ。


「…どうだ、その身体は。」


ウェキスはニヤニヤ笑いながら研究所の中でも暗い方を見た。

そっちに誰かいるようだ。


「まぁまぁってとこだな。でもよ、何でオレの顔にツギハギと傷がついてんだ?身体は新品なんだから傷なんて要らねえだろ。」


こしゃまっくれて電子音が混じった声が闇から響く。


「バカ、サイボーグ化して甦ったヤツにツギハギと傷は付き物なんだよ。」


「サイボーグじゃねぇだろ。完璧オリジナルのボディだぜ?」


「気にすんな。サイボーグってことにしとけ。その方がカッコいいぜ?」


ウェキスは少し真面目な表情になると闇の先の人物を見据えた。


「だが…お前は一度死んだ身だ。もうお前は四天王じゃねぇ。いいか?」


「…構わねぇよ。オレの目的はただ1つ。」


ガチョン

ギミック足音を立て、闇から微妙な大きさの物質が現れる。


「打倒、ウゴクンジャー!!!」


米みたいなバディに何かムカつく顔。

金属片みたいのがツギハギに貼り付き左目と口元にヤクザっぽい傷跡があったけど、そいつはまさしくキヨスクだった。

かつて綾にボコボコにされ、大根に擬態したところ憬教授の味噌汁へ消えた四天王。

ヤツが装いも新たに復活を遂げた。

しかも、腕がメカっていう強化までされて。


「…いいねぇ、やっぱり男はそういう気合がねぇとな。」


口元を歪めるウェキスの前で、新生キヨスクは雄叫びをあげた。


「機動野菜キヨスク、推参だ!!!」


ちなみに、元がアレだから迫力はなかったという。


◇◇◇


ダークキャン・D要塞の幹部特別室(居間)。

毎度のように料理に勤しんでいたカイネはドアを開けて入ってきた人物に気付くと、手を止めた。


「…お前は。」


そして今日もカイネに料理を習っていたコノハも、洗い物を止めてそいつを見る。


「貴方は。」


「…久し振りだなァ、カイネにコノハ。」


こしゃまっくれた声に、米粒みたいな形状のバディ。

そう、さっき復活を遂げた元四天王のお米さんだ。


「どうだ?驚いたろう?…コイツは機動野菜キヨスク。地獄の底から甦った最強のサイボーグ戦士だ。」


キヨスクに続いて現れたウェキスがニヤニヤ笑って言った。

でも言っちゃ何だがカイネもコノハも別に驚いていない。

キヨスクがウゴクンジャーにやられた時もショックを受けてなかったし、何とも薄情な方々だ。


「何がサイボーグだ。怪人作成ツールで作った新規怪人だろうが。組み込まれているのは…お前の作った人工知能か?」


ギミック使用になったキヨスクを一瞥し、ウェキスに訊ねるカイネ。

ウェキスは苦笑する。


「ったく、いきなり見破りやがって。身も蓋もねぇぜ。…まァ、半分正解だがな。」


「…。」


「コイツはキヨスクの生前データを集めて作ってたAIだ。機動野菜キヨスクってのが正式名称だが、要はキヨスクAIだな。だが単なるAIでもねぇ。死んだコイツの残留思念を集め、人格として適応させたからな。脳は機械だが、ほぼ完全なリバースだと思ってもらって結構だ。それと身体の傷は俺のアレンジ。だが飾りってワケでもないんだぜ?…キヨスク。」


彼が目配せすると、キヨスクは頷いた。

そして漫画のロボみたくハサミ状になった左のギミックアームを突き出す。


「キヨスクパンチ!!」


ぽしゅん!


アームが2m程飛んだ。


「キヨスクブレード!!」


ガスバーナーみたいな右ギミックアームから、ヒュドラブレードのような斬れない光の棒が伸びた。

その長さ、30cm。


「…まあ、それなりには変わっているようですね。」


コノハが仕方なしって感じに呟く。

カイネに至っては呆れて言葉を失ってた。


「へへっ、どうだ?このオレの新たなパワー!!ウゴクンジャーを倒すためだけに甦ったこのオレに死角はねぇ!!」


床に転がってるアームを装着し直しながらキヨスクは得意そうに言う。

うん、この頭の悪い自信は生前のキヨスクと相違ない。

コイツは間違いなくリバースしたキヨスクだ。

そこんところはカイネもコノハも納得した。


「さてと、俺は明日ウゴクンジャーと対決するつもりだ。だから今日は寝るぜ!!」


呆れられてるって気付いてないキヨスクはそう言うと愉快そうに笑いながら部屋から去って行った。

その明るさが何だか不憫だ。


「…ウェキス、またキヨスクを犬死させる気か?それとも大量生産できるのか?」


多分コノハも思っただろうことをカイネが訊ねる。


「大量生産は無理だ。AIはコピーできねぇし、残留思念はもう残ってない。身体だけなら作れるが、それじゃヤツの絶対回避が使えねぇゴミだしな。」


絶対回避。

例の反復横跳びだ。

あらゆる攻撃を回避できるらしいが、それも役に立たず前回はやられちまったけど。


「じゃあまた犬死か。リバースした意味がないな。」


「そうですね。ウゴクンジャーとて、1度倒した敵に負けることはないでしょう。」


確かに。

また反復横跳び運動で疲れたところをボコボコだろう。


「アイツだけならな。だが、今回はコレを付けてやる。」


ニヤって笑い、ウェキスが懐から妙なリモコンを取り出した。

テレビとかのリモコンにも見えるけど、ボタンは付いてないがマイクっぽいものが付いてる。

彼はそれに向かって声を掛けた。


「出て来い。」


ピシッ…


空中にヒビが入る。そしてそのヒビは一気に広がり、まるでガラスが割れるように空間が割れた。

何て言うか不思議な光景だ。

空中は割れたはずなのに、別に穴が開いてるわけじゃない。謎だ。


ヒビの話はいいとして、空中から現れたモノがあった。

大きさは1m程度。頭半分の魚っぽい流線型ボディに左右2対、上部に1つ計5つのウイング。

左右に2つずつ付いた何かの発射口、下部には固定砲台のような小型の砲台が逆さに付いている。


「…補助戦闘機。これは…ヴァンカ=ヒールか。」


カイネが呟く。

コノハも目を細めた。


「ああ、この超小型補助戦闘機ヴァンカ=ヒールをキヨスクに付けてやるんだ。補助戦闘機だから戦力としてはアテにならねぇけど、敵の攻撃がキヨスクに集中することはなくなる。それに使いようによってはなかなか使えるぜ?」


空中に浮かぶ未来型戦闘機。小さいけど結構強そうだ。

珍しく名前もまともだし。

洗い物の手を再び動かし始めたコノハは、小さく呟く。


「キヨスクに…扱えるでしょうか…?」


その心配、何だかやたら現実味を帯びていた。

【初登場キャラ】

・機動野菜キヨスク

・超小型補助戦闘機 ヴァンカ=ヒール

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