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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION6-悪の再臨と謎の少女-
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6-1.グッジョブ先生

「この洞窟って、こんなに長かったっけ?」


週一がぼそっと呟く。

初めて訪れる地って距離が長く感じるものだが、2度目はたいてい短く感じるのが普通だ。


「あの時はワクワクしててテンション高めだったからそう感じるんじゃない?ほんと週一君って子供だよね。」


洞窟に入る前に拾った小枝をぶんぶん振り回して歩く綾に言われたくない…。

テンション高めだったのは綾で、僕のテンションは今も昔も変わらない…なんて言葉は出さない大人な週一君だ。


月曜の午後、ウゴクンジャー大学組(週一、綾、憬教授)は例の洞窟を訪れていた。

立ち入り禁止も完全に解かれ、人々の記憶からも消え去っており、もはや神秘さのカケラもない。

発見された当初はいろいろ騒がれてたのに、いまや観光地未満のただの岩穴である。

やけに長いけど。


「なんか前より道も広くなってるような?」


「気のせいでしょ?ほんと週一君て子供だよね。て、また言っちゃった。」


「洞窟というのは自然に変化するものですからね。ひとつお利口さんになりましたね。」


「そんな短期間で変わります?」


「自然は偉大です。」


「先生、便利な言葉で片付けないでくださいよ。」


なんとも気の抜けた会話をしながら、三人はそんな調子で洞窟の奥へ奥へと進んでいく。

洞窟探索なのに照明道具を持ってきているのが週一ただ1人っていう残念パーティー。

とはいえ、まだ外の光が届いているのか洞窟内は暗すぎるってレベルじゃないのが救いだ。


「…またあの光の球に会うのか…。話、長いんだよなぁ…。」


先頭を行く週一が言う。


「でも色々詳しいこと教えてくれるっぽいんでしょ?じゃあ聞かないと!ちなみに聞く役は週一君お願いね。私、長い話嫌いだから。大丈夫!私携帯ゲーム機持ってきたから待っててあげられるよ。」


応える綾。

恐ろしく自分勝手だが、毎度のことなので誰も突っ込まない。

…で、何でコイツらが再びノコノコこの洞窟を訪れてるかっていうと、タクティカルフレーム入手秘話?を雑談っぽく話していたら憬教授が興味を持ったからだ。

普通ならもっと早めに訪れるべきだったのに、ウゴクンジャー面々のやる気のなさは天下一品。

今まで面倒だからと、行く提案すら出なかったのだ。

そういう意味ではグッジョブ先生。初めてチーフらしい行動をした。


「心配性ですねぇ、週一君は。大丈夫ですよ、省略して下さいってお願いすればいいんです。できれば箇条書きとかしてくれると嬉しいですね。」


にこにこ笑顔の憬教授はなぜかハイキングに行くみたいな格好をしている。

まあ、この人の行動は誰にも読めないから別に気にしないが。


「ヤツの自己中加減を知らないからそんなこと言えるんですよ。前回だって初めて会ったときにした話からわざわざ始めて…。僕の話は完全シカトでした。」


「ふふっ、きっと親切心からですよ。私も週明けに学生さんたちに久々に会うと、たまに親切心から先週の授業を1から説明したくなっちゃったりしますからね。」


一時期噂になった授業ループ事件はこれだったのかと週一は納得する。

3週にわたって憬教授から一言一句変わりのない授業が繰り返された事件だ。

授業内容ならともかく、彼女のしぐさやアドリブなんかも全て同じだったため、生徒の中では怪奇現象として片付けられていたが、真相はここにあった。

あの時の授業内容は山田君のノートに記されているはずだから、暇なときに読ませてもらうのもいいかもしれない。


「それはともかく、まだ着かないんですか?」


洞窟突入からすでに1時間が経過していた。


◇◆◇


同刻。太平洋の微妙な位置に浮かんでるダークキャン・D要塞。

幹部特別室、通称居間では今日も四天王がくつろいでいる…のだが、前と比べて変化が起こっていた。


「そう、その調子だ。均等に、素早くな。」


カイネの見守る先には包丁を持ったコノハがキャベツの千切りに勤しんでいる。

カイネはやっぱり軍服みたいな服の上からピンクのエプロンっていう妙な格好で、コノハは割烹着に三角巾っていう古風なお料理スタイルだ。

悪の四天王が2人で料理をしている姿は、何だかとっても奇妙だった。


「しかし…解せんな。どうして急に料理を教えろなどと。しかもお前がこの私に頼むとはな…。」


苦笑して言うカイネ。

確かにそうだ。

意見が合わず、対立していたはずなのに…。


「私とて貴女に教わるのは少し憚られました。ですが、どうしても今週中にソースカツ丼をマスターしなければならないのです。」


「ソースカツ丼…。そんなもの、サラダ用に予め切られたキャベツと惣菜コーナーのトンカツを乗せればいい。別にキャベツを刻んだりカツを揚げたりする必要はないと思うがな。」


コノハはキャベツを切る手を止めると、真剣な表情でかぶりを振った。


「それは邪道です。私はキッチンで作り、揚げたてのカツの肉汁や切りたてのキャベツの新鮮さを味わって欲し…いえ、味わいたいのです。」


…今、『味わって欲しい』って言おうとして訂正した。

それに気付いたカイネだったが、あえて突っ込まないでおいた。

ちょっぴり勘付いちゃったのだ。

だから少し口元に笑みを浮かべるに留めた。


「…フフッ、まあいい。では次は特性のソースの作り方を教えてやろう。細かい分量や絶妙な勘を必要とするが…お前にできるか?」


「臨むところです。」


平和だ。

平和すぎる。

コイツらに悪の四天王っていう自覚は消えてしまったのか?

いや、そもそもそんな自覚は最初からなかったのか?

疑問符渦巻く中、独りソファに座っていたウェキスが不機嫌そうに2人を見た。


「お前ら、ここに怪我人がいるんだぞ?少しは気を遣えよな。」


彼の片腕…右腕はまだチョン切れたままだ。

いくら宇宙の怪人、ダークキャン・Dの四天王だって1日じゃ再生しないらしい。


「…聞けば、また女の服を切り取って裸にしようとしていたそうではないか。罰だ。天罰としてしばらく反省してろ。」


「例え侵略行為中であったとしても、セクハラは禁止です。」


きついお言葉を頂き、ウェキスは肩を落とす。


「ったくよぉ、どうして俺だけこう邪険に扱われんだ?こんな時キヨスクの野郎が生きてればな…。男同士で語り合えたのに。」


寂しげに呟く彼は、ふと思い出したように天井を仰いだ。


「そうだな…アレを試してみるか…。」

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