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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION5-LOVING-
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5-11.沙紀 VS ウェキス

「…お待たせ致しました。」


あれから数分。

車の中から葦和良が持ってきたモノを受け取った沙紀は、幾重にも巻かれた布切れを解いた。

…薙刀だ。

しかも多分、真剣。普通に銃刀法違反だろう。


「なかなかサマになってるじゃねぇか。」

ウェキスがニヤニヤ笑って刀を構える。

それにしてもよく待っててくれたものだ。

まあ、戦隊ヒーローものでは変身シーンや必殺技シーンで敵は待つもの。当然かもしれない。


「歐邑…。」


葦和良に起こしてもらいながら週一は呟く。

前回のウェキス戦ではバトルヘアカラーと相打ち(?)になって気絶していたから見ていないが、綾と2人がかりだったのに手も足も出なかったって聞く。

それなのに、今の沙紀が敵うわきゃない。


「葦和良さん、ヤバいですよ!普段の歐邑ならともかく、今のじゃ…!」


こいつぁヤベえ!無駄かもしんないけど綾とか冥介とか呼ばなきゃ。

しかし葦和良はかぶりを振った。


「いえ、お嬢様は稽古の時、常に着物です。ですので…、」


ガキンッ!!


凄まじい音が鳴り響き、何かが宙を舞った。

それは孤を描いて飛び…地面に突き刺さる。ウェキスの刀だった。

話してる間に沙紀がウェキスに踏み込み、刀を1本折ったようだ。


「え…?」


驚く週一。

葦和良は頷き、言いかけた続きの言葉を言った。


「学校に通われている格好より、こちらの方がお強いのですよ。」


確かに。

ウェキスも驚いている。


「…前回は失態をお見せしましたが、今日はそうは参りません。」


ひゅんひゅんと空を切り裂き、薙刀恐ろしいスピードで回される。

地面に落ちてた石ころとかが簡単に真っ二つになって飛んで行った。

まさにヘリコプターのローター状態だ。ヤバい。


「…こいつはストリップとか言ってる場合じゃなさそうだな…。ダークキャン・D四天王、双剣のウェキス…行くぜ。」


今までとは違い、あんまり余裕のない笑みを浮かべてウェキスは刀を構え直した。

双剣のウェキスとか言っておきながら、もう刀は1本だ。


「歐邑流古武道皆伝、歐邑沙紀…参ります。」


週一じゃ手出し不能の戦いが、こうして始まった。

…頑張れ主人公。戦いの役には立たなくても、きっと未来は明るい。多分。


◇◇◇


「もらったぜ!」


刀をかわした沙紀の胸にウェキスは殴りかかる。

薙刀はリーチが長いぶん、振った後に隙ができる。

それに懐に飛び込んだ場合は攻撃できない。

それを踏まえての攻撃だったが、沙紀は彼の拳を受けるとそのまま引き寄せた。


「!?」


バランスを崩すウェキス。

沙紀はそんな彼の頭上から肘鉄を振り下ろし、首根っこに一撃を加えた。


「くっ!?」


「まだです。」


よろけるウェキスの側頭部を薙刀の柄で殴る。

ウェキスは吹っ飛んだ。


「…くそっ!」


でもそこは四天王。

週一とかみたいに無様に転がるんじゃなく、一回転して体制を立て直す。

そうしながらも懐から小柄のようなモノを投げつけた。


キンッ!


結構な速さだったにも関わらず、沙紀はそれを簡単に払い落とす。


「…その程度ですか?お立ちになって下さい。」


カチャッ…


薙刀の切っ先を向け、目を細める沙紀。

それを週一と傍観していた葦和良が呟いた。


「お嬢様…何か怒っていらっしゃるようです…。あんなお嬢様を見たことがありません。」


確かにこれはおかしい。

清楚で控え目な和服沙紀のはずなのに、何か知らんがキレてるようだ。

口調は丁寧なんだけど、目付きが怖い。

整った顔立ちをしてるから余計に…。


「歐邑、何か嫌な思い出でもあるのかな…。やっぱり前に服を切られたから?」


週一の予想は半分当たっていた。

服を切られたことは別にいい。


でも…。

彼女には思い出したくもない思い出があった。

しかも最近、この萌木公園で。

そう、あのデスペラード恋文の作戦だ。

それに今回だって邪魔されてるわけだし。怒るのも無理ない。


ビュッ!!


薙刀の切っ先がウェキスからほんの数ミリの場所を通過していく。

紙一重で確かに避けたんだけど、彼の服が大きく切れる。

真空の刃ってヤツだ。

こんなモノが直撃したら、それはもうえらいことになるだろう。


「ちっ!?それにしても、どうして俺にダメージを?お前、新手のウゴクンジャーか!?」


距離を取り、ウェキスが呟く。

刀はこの国で買ったものだから折られても不思議じゃないけど、服は別だ。

この星の人間の攻撃は、ウゴクンジャーを除いてはダークキャン・Dに通用しないはず。

でも彼の記憶の中にこの和服の少女はいない。

すぐに怒るペタンコ胸の女子大生と、男勝りのナイスバディ女子高生、そして企業スマイルとエプロンを装備したお嬢さんだけだ。

チーフとか先生とか呼ばれてた童顔女性教授もいたが、あれはウゴクンジャーではない。


じゃあ、どうしてこの和服少女が?新たなウゴクンジャー?


「新手…?何をおっしゃっているのですか?私はウゴクンジャー蝶、この前もお手合わせしましたが。」


沙紀が少し眉根を寄せて言う。

でもあの沙紀と今の沙紀を同一人物と思えって方が無理な話だ。

だからウェキスもびっくりだった。


「蝶!?ってお前、あの時の凶暴女子高生…!オイオイ、嘘だろ…。」


「嘘は申しません。」

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