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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION5-LOVING-
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5-10.公園バトルと路地裏バトル

ガキンッ!

週一はドライバーでウェキスの刀を受けた。

並外れた動体視力と運動神経の賜物じゃない。

ウェキスがかなり手を抜いてるからできた芸当だ。情けない…。


「くっ!」


力押されて声を漏らす週一。

ウェキスは苦笑する。


「オイオイ、俺はまだ10%も力出してねぇぜ?カッコいいところを見せてやれよ?」


ガッ!!


週一は弾き飛ばされた。

よろけながらも何とか体勢を立て直すと、彼はまだ困った表情でいる沙紀を一瞥する。


「って言うか逃げてよ!?一応時間稼ぎとかしてるつもりなんだけど!?」


「ですが、蟹令李さんが…。」


ダメだこりゃ。どうやら逃げる気ゼロ。

そんなに公園強制ストリップがいいのか?


「ははっ、おっとりしたお嬢さんだな。いいねぇ、ますます赤面顔が拝みたくなったぜ。」


「ッ!!」


あまりスピードのない袈裟斬りを繰り出す週一だが、簡単に避けられた。

で、体勢を崩したところを横腹に蹴りを入れられる。


「ぶっ!?」


そんなに凄い攻撃じゃなかったのに吹っ飛んで倒れる週一。

やっぱりヘタレだ。腕力もなければ防御力もない。

あるのは蟹への情熱だけ。


「…そろそろ眠ってもらうか。そこの和服お嬢さんのハダカは俺が拝んでおいてやるから安心しろよ。」


ウェキスが刀を返し、振りかぶる。

峰打ちで気絶させるつもりのようだ。

…このままでは沙紀がえらいことになってしまう。


もう後から服を貸すことを決意した時だった。

何かが飛んできてウェキスの刀が弾く。


「…?」


飛んできた方向を週一とウェキスが見る。

公園の入り口だ。

そこにはあの人が立っていた。


「葦和良さん!?」


「お嬢様!蟹令李様!」


喪服みたいな着物を着た例の使用人さんだ。

右手には苦無くないっぽい武器を持ってる。


「何か知らんが、あんたも美人だな。今日は和服美人のオンパレードか?」


ウェキスがニヤニヤ笑う。

でも葦和良さんはそんな彼を冷ややかな瞳で一瞥した。


「…どなたかは存じませんが、お嬢様と蟹令李様に危害を加えることは、この葦和良が許しません。…それ相応の覚悟はして頂きますよ?」


やっぱりくのいちかも。

やたらと鋭い視線に雰囲気。

ひょっとしたら腰に短刀とか隠し持ってるかもしれない。


「お嬢さんを守るお目付け役ってことか?まあ、んなこと言ってもあんたじゃ俺にダメージを負わせることはできねえぜ。それでもやるか?」


「…。」


葦和良さんがゆっくりと後腰に手を持っていく。

で、週一の予想通り、そこから短刀を引き抜いた。


「…葦和良さん。」


戦闘態勢に入ろうとしていた彼女を沙紀の声が制する。


「ですがお嬢様…、」


何か言おうとした葦和良だったが、沙紀の表情を見て口をつぐんだ。

和服沙紀は本当に清楚なお嬢様だ。

常に表情は穏やか、口調も丁寧そのもので落ち着きがある。

でも、今はちょっと違っていた。


怒ってる。

表情からは全く分からないが、雰囲気で分かる。

穏やかだけど摂氏1000℃の怒りってヤツだ。

制服沙紀みたく、敵意剥き出しの怒りじゃないが…どっちかっていうとこっちの方が怖い。


「…この方は私が倒します。…薙刀を。」


葦和良は無言で頷いた。


◇◆◇


同刻、萌木公園から5kmほど離れた路地裏でも戦いが繰り広げられていた。


八頭身のハムスター怪人、メタルハムスターと彼に追われる裏切り者、クリティカル定食・ビイだ。


「死ネ!!」


「お断りアル!ていうか、アナタが死ぬよろし!」


ハムスターのパンチを紙一重でかわし、ビイは肘鉄を彼の脇腹に叩き込む。

ダークキャン・D怪人の攻撃を無力化する怪人キラー、メタルハムスターには全然通じないけど、彼女の方も攻撃を喰らっていない。

だから互角の戦いだ。


「貴様ノ攻撃ハ効カンノダ!何ヲシテモ無駄ダッ!!」


「アナタのノロノロ攻撃も当たらないネ!無駄だからもうワタシを狙うの止めるアル!」


「小癪ナ小娘ガ!」


「うるさいネ!アナタ気持ち悪いヨ!この黒目オンリー!」


罵声を交わしながら2人は技を応酬させる。

一見レベルの高い戦いに見えるが、メタルハムスターの技は週一と綾を足して2で割った程度。

怪人キラーっていう能力がなければただのザコだ。

それにビイだって凄いクンフーってわけじゃない。

見た目が中華系だからって、拳法使うわけじゃなく型もあるのかないのか分からん攻撃をしているし。

エセ中国怪人ってのはどうやら口調だけではないようだ。


「うぅぅぅっ!やっぱりきりがないアルぅ!奥義・發剄逃亡陣ッ!!」


ボンッ!


そこらに落ちていたゴミやら埃やらが舞い上がり、メタルハムスターからビイの姿を隠す。

で、やっぱり視界が晴れた時には彼女の姿はなかった。

また逃げたようだ。


「…チョコマカト…。次ハ逃ガサン!!」


悔しそうにハムスターが吠えていた。

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