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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION5-LOVING-
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5-9.公園デート?

萌木公園は土曜日だっていうのにあんまり人がいなかった。

まあ、ここはお子様がワイワイ遊ぶような公園じゃない。

かといってバカップルがベンチでいちゃいちゃするような公園でもない、紳士淑女の公園だ。

つまりは品がいいってこと。

だからたまにいるカップルも、熟カップルって感じの人たちだ。

穏やかな幸せを噛み締めてる、何とも羨ましい限りの方々。

もし間に割って入ったならばサラブレッドに蹴り殺されるだろう。


「ここってよく来るんだ。お子様から発せられるノイズもないし、目のやり場に困るようなしっぽりした人たちに遭遇する危険性もない。だからまったりできるってわけ。」


一角に設けられた屋根付きの小さな休憩所に座った週一は、のほほん顔で言った。


「本当に素晴らしい場所ですね。蟹令李さんは普段ここで何を?」


和服状態の沙紀が控え目な笑顔で訊ねる。

…まさかこの格好でここに来るとは思ってなかった。

でもどうやら洋服は高校の制服しか持ってないらしく、休日に制服要求するのは変態なので着物のままになったのだ。

葦和良さんの車で近くまで送ってもらったものの、和服娘はやっぱり珍しいらしく、通行人の皆さまにちらちら見られた。

別に自分が見られてるわけじゃないけど、視線が痛いと感じ続けていた週一は、この人の少ない公園はまさにオアシスだった。

にしても、厨といい蟹令李の男は公園が好きらしい。


「大体、本を読んでる。アパートで読むのもいいけど、こういう場所で風に当たりながら読むのは最高だよ。木の葉が風に揺れる音が、何だか水のせせらぎに聞こえる時があるんだ。僕はそこで蟹への想いを馳せるってわけ。」


本って時点で怪しかったが、やっぱり蟹関係の本だったようだ。

多分、コイツのアパートをくまなく探索してもエロ本の類は見付からないだろう。

ベッドの下には大量の蟹図鑑が隠されているに違いない。隠すもんでもないんだけど。


「ふふっ、蟹令李さん、本当にお好きなんですね…。」


にっこり微笑む和服沙紀。

元から美少女だったんだけど、こんな風に清楚にしてたら余計に映えて見える。

家元の娘らしく和服姿もやたら似合うし。

でも週一は煩悩の8割方を蟹に支配されてるアホ。

青春袋はときめかなかった。


「…僕はこういう場所でまったりするの好きだけど、歐邑はつまらないかな?だったら商店街とかゲームセンターとか行くけど?」


「いえ。私もこういう静かな場所の方が。それに…。」


「それに?」


アホみたくニコニコ笑顔で何気なく訊ねる週一。

と、沙紀の頬が少し赤くなった。


「い、いえ。何でも。あの…、少し歩きませんか?」


否定する沙紀がどうもぎこちないってことには全く気付かず、週一は頷く。


「そうだな、それじゃもう1つのお奨めスポットに案内するよ。噴水がある広場なんだ。」


◇◇◇


「よぉ、ウゴクンジャー蟹。隣にいるのは…初めて見るな。」


噴水の広場へ向かう2人の背に聞いた憶えのある声がかかった。

何か嫌な予感がする。

振り返ってみると…予感は的中だった。


「うわ、ウェキス!」


四天王ウェキスがベンチに座っていた。

これ見よがしに嫌な顔をする週一にウェキスは苦笑する。


「んだよ、そう嫌うなって。」


「だってダークキャン・Dじゃないか。せっかくの休日なのに…。」


「ま、違いないけどな。」


ニヤって笑い刀を抜くウェキス。

…それにしてもダークキャン・Dの四天王って登場に伏線がない。

ザコ怪人ばりの唐突さで気軽に出てらっしゃる。


「本当はザコなお前と戦う気はねぇんだけど、そっちのお嬢さんには興味あってな。だってウゴクンジャーの女、ガサツなのしかいねえし。一般人には手を出さないのが俺の主義なんだが、お前と一緒にいるってことは関係者だ。公園ストリップしてもらうかな。」


そういうことらしい。

週一は隣にいる沙紀を見た。

…困ったように眉根を寄せている。

いつもの沙紀なら睨み付けてるのに、和服沙紀だからダメダメだ。

見た目からして争いには無縁のお嬢様って感じだし。頼りになりそうもない。

っていうか、むしろ足手まといっぽい。

ということは、今戦えるのは自分だけ。

一応良識のある20歳だから、目の前で婦女子が強制ストリップされるのをおめおめ傍観してるわけにはいかない。


「うぅ、今日はバッグ持ってきてないのに…。歐邑、下がってて。」


週一はそこら辺に落ちていた長めの棒を拾い上げた。

こんなもんで勝てるわきゃないんだけど、何もないよりましだ。


「ってお前、それでやるのかよ。こっちは刀だぞ?」


しかも双剣。

戦力差は当人達の実力差も考慮すると戦車VS竹槍だ。


「変身できないし、武器ないし。仕方ないだろ。」


「…これ、使っていいぞ。」


さすがに呆れたウェキスがポケットからなにやらペンライトのようなものを取り出し、放り投げる。

週一は見事にキャッチに失敗した。


「…。」


苦笑するウェキスの前で彼はそれを拾い上げる。

そしてスイッチを押した。


シュン…


すると先端から一瞬にして金属の棒っぽい物が現れた。

…棒って言うか、コレは…。


「ドライバー?」


「ああ。分子再構成式携帯ドライバーだ。ちなみにマイナス。」


それだった。

長さはおよそ70cm。業務用のドライバーそのものだ。

ハイテクなのは金属棒が一瞬にして出てくることくらい。

携帯には確かに便利だけど、武器じゃない。


「分子再構成式だからな、折れねえんだ。一発で切れちまう棒よりはマシだろ。…さて、行くぜ?お姫さまを守りきれるか?蟹の騎士さん。」


気を取り直して刀を構えるウェキス。

週一もドライバーを構える。


「多分守りきれないけど、時間稼ぎぐらいはしたいな…。」


初っから勝つ気ゼロの週一だった。

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