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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION5-LOVING-
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5-2.デスペラード恋文の罠

ウゴクンジャー4人に届いたラブレター。

確かに憬教授は職場内恋愛OKとか言ってた。

でもそれは多分関係ない。

明らかにおかしい。

ほぼ同じ文面の手紙が皆に渡ってるし。

そう、仕掛け人がいたのだ。


「…で、本当に上手くいくのかよ。」


訝しげに言うウェキス。

彼の前には巨大な手紙から手足が生えた怪人が畏まっていた。


「はいでゲス。このデスペラード恋文の作戦に抜かりはないでゲス。」


「ウゴクンジャーメンバーを偽のラブレターで別々の場所におびき出し、個別に撃破。まあ、普通だったらいい作戦なんだけどな。」


そう、個別に撃破するってのは素晴らしい作戦だ。

でも問題がある。


「でもよ、その前に相手に確認取っちまったらどうすんだ?」


あの手紙ホント?とかそういうやりとりをされたら作戦はいきなりパアだ。

この作戦は時間までに相手と確認を取らないことを前提に成り立っている。


「そのへんは抜かりないでゲス。例え相手と時間前に出くわしても、表面上はそ知らぬ顔をするものでゲス。ガキんちょじゃあるまいし、事前に確認を取るような野暮な真似はしないでゲスよ。…多分。」


最後に気弱だった。


「おいおい。」


眉を顰めるウェキス。

この前のクリティカル定食の件でちょっぴりヘコんでいるのだ。

ああいうダメダメ怪人はもうたくさんって感じだ。


「ウェキス様、心配すんなYO。このME、キラー割り箸とデスペラード恋文でウゴクンジャーなんてダサい奴ら、伸してやるYO!」


デスペラード恋文の後ろからキラー割り箸と名乗るひょろ長い木の棒が現れた。

まあ、一応手足はついているが、貧弱だ。顔もどことなくツクシに似た情けない顔だった。


「…ああ、期待してるぜ。」


ウェキスは苦笑いして言った。


「ところで相手は4人、こっちは俺は戦わねぇから2体だ。個別撃破できんのかよ?」


「大丈夫ゲス。先に女2人を片付けてから男2人の所へ向かうでゲスよ。」


「それじゃ遅くねぇか?」


「男ってのは多少待たされても大丈夫なんでゲス。女は怒って帰っちゃうゲスけど。」


やたらと自信ありげに言うデスペラード恋文。

だからウェキスもそれ以上は言わないで置いた。

そして彼とYO!YO!言ってよく分からない動きをしているキラー割り箸を一瞥すると、誰にも聞こえないような声で独りごちた。


「…個別、か。ウゴクンジャーって揃ってても戦うの、女だけだよな…確か。」


その通りだ。だから個別に攻めても意味はない。

仲間がいなくたって甲虫や蝶は強いし、仲間がいたって蟹とヒュドラはすぐにKOされる。

だからデスペラード恋文の会心の作戦も…。


「ま、やるだけやらせてみるかな。ちったあ楽しめるだろ。」


全く期待してないウェキスだった。


◇◆◇


その日は何だか知らないがやたらと時間の流れが早く感じた。

朝、遅刻して注意されたんだけど、何を言われたのか憶えてない。

授業も上の空だった。

なぜか?…やはり、朝の手紙?


「…ッ!」


沙紀はぶんぶんかぶりを振った。

ダメだ。

さっきから頭がボ~っとしてる。

風邪…にしては体調悪くないし。


彼女は今、萌木公園へと向かっていた。

あの手紙の呼び出しのために。

携帯でって手もあったんだけど、なぜかそれじゃダメな気がして、こうしてわざわざ出向いてる。

風が吹き、髪が少し乱れた。いつもなら手櫛でちゃちゃっと直すだけだけど、今日はなぜか手鏡を取り出してちゃんと整える。

どうして自分がこんな行動をしてるのか理解できない。

頭の片隅では分かっているんだけど、認めたくない方の意識が邪魔をして脳味噌がこんがらがってしまう。


「…。」


鏡を見詰めること数分、なぜか香水&リップクリームをしてる自分に気付き、慌ててそれらを鞄にしまった。

こういうことを普段なら公共の場でやったりはしないのに。


「…ハァ…。」


沙紀は大きく溜息を吐いた。

そして朝からポケットに入れてある例の手紙を取り出す。


「…。」


読み返し、朝と同様フリーズする沙紀。

数分後、彼女は再び解凍された。

もうそろそろ目的地だ。

っていうか、すでに『萌木公園・東口』って掘ってある大理石が見えている。


「…どうしよう…。そ、そうだ…ミナ、ミナに聞こう…。」


普段は絶対発しないようなか細い声で呟くと、彼女は携帯を取り出した。


◇◇◇


「う~ん、困ったなぁ。やっぱりまずはお友達から?でももうお友達って関係は続いてるわけだから…いきなり恋人?…でも待って、今の関係ってお友達かな?」


その頃、綾は町野中公園へ向かうバスの中だった。

さっきから独りでブツブツ言いつつ、ニヤニヤしてる。

もちろん、周りの白い目なんてお構いなしだ。

流石はアホ女子大生の名を欲しいままにする女。

無敵艦隊だ。


「でもやっぱり今後が問題だよね。私たちがイチャイチャしてたら週一君や沙紀ちゃんが僻んじゃうかもしれないし。あ、でもそれもある意味優越感?」


そう言ってまたニヤニヤする。

他のお客様はそんな綾を気味悪がって離れていった。

でもやっぱり気にしてない。っていうか、気付いてない。


「あはは♪これからの大学生活、もっと楽しくなるかも!」


どんどん遠巻きになる他のお客様。

バックミラーでそれを見ていた運転手のおじさんは思っただろう。

…他のお客様のご迷惑になりますから、気味悪い独り笑いはお止め下さいって。

でも言えない。

言えるわきゃない。

だって、運転手さんも不気味に思ってるし。


「あ、そうだ。いつみんなに教えるかも大事な問題よね。う~ん、やっぱり突然教えて驚かすのが一番楽しいかな?それとも徐々に見せ付けていって…、」


綾の独り言が響くバスは、まだまだ目的地に到着しそうもなかった。

【初登場キャラ】

・デスペラード恋文

・キラー割り箸

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