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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION4-広がるセカイ、繋がるセカイ-
64/69

4ー11.取材終わって

「先生。」


所変わって大学。

社会情勢学の講義がもうそろそろ終わるって時間だった。

生徒の1人が手を挙げる。


「質問ですか?何でしょう、2年E組の細川君。」


例のレポートはそっちのけで味噌の作り方を講義していた憬教授が笑顔で訊ねた。

タンクトップにジャージっていう妙な格好をした生徒、細川君は机の中から小型テレビを取り出し、彼女に見せる。


「この時間帯のニュースでストリップを流すのは不適切だと俺は思うんですが…。修正もされてませんよ、生中継っぽいですから。あ、それと録画はしました。」


画面には朝倉レポーターのヌードがしっかり映っていた。

男子生徒の9割、女子生徒の7割がストリップ(修正なし)と聞いて彼の持つテレビに注目する。

ちなみに注目しなかった1割の男子生徒ってのは眼鏡が素敵な山田君と、いい子で寝んねしてる週一君だ。

綾はバッチリ見ていた。


「そうですね。深夜でも修正くらいはして放送するのが普通です。細川君、いいところに気が付きましたね。」


「はい、ずっとチェックしてたんです。」


誇らしげに言う細川君。

憬教授は微笑むと、続けて言った。


「でも授業中にテレビなんて見ちゃダメですね。それは没収します。」


…いくら憬教授が変わったヒトでも、そりゃ当然だった。


--------------------------------------

細川君がムンクの叫びを演じている頃、朝倉レポーターの絶叫鳴り響いた例の場所はと言うと…。


「正々堂々アル!!」


「勝つことが全てヨ!!」


クリティカル定食のエイとビイは遂に口論から実戦へとエスカレートしてしまっていた。

ちなみに朝倉&田辺はあの後、陸上選手ばりのスピードで退散。

残っているのは怪人2名とそれを呆れて見ているウェキスだけだ。


「…こいつら、ホントにペアの怪人か?息が全然合ってねぇし。」


溜息も当然だった。

こいつらがここに来てすでに2時間半。

もう無人になった通りでずっと喧嘩をしている。


「もう怒たアル!ビイ、オマエを倒してジブンだけで任務するアル!!」


仲間に向かって本気の回し蹴りを繰り出すエイ。

ビイはそれを屈んでかわすと脚払いを仕掛ける。


「それはこっちの台詞ネ!ワタシ、本気でアナタをやつけるアル!」


「…オイオイ、仲間割れすんなってさっきから言ってるだろ?ったく、いいからさっさと次の地区へ行くぞ。」


ウェキスが言うが、2人は聞いちゃいない。


「死ぬよろし!」


「アナタが死ぬネ!」


…もうダメだ。

ウェキスは何回目かの大きな溜息を吐くと、背中の双剣に手を掛けた。

基本的に楽しいこと好きな彼だが、自作のダークキャン・D怪人に容赦はない。

勝手に仲間割れしてるこのアホ怪人に見切りを付けたのだ。


「ハァ…。こんなアホ怪人を作ったのは間違いだったな。」


鯉口を切った刃が、冷たく輝いた。


--------------------------------------

『シュウ、悪いけどラーメンのどんぶりを買ってきてくれないかな。確か大学から少しの通りに陶器専門店があったろう?そこで800円の電子レンジ可能のどんぶりが売っているはずだから。』


綾とてくてく帰路についてた週一に、厨から電話があった。

兄の言う陶器専門店は分かる。

でも大学からけっこう離れていたはずだ。アパートからも。

だから彼は嫌そうな顔をした。


「なぜに僕が?それにどんぶりなんてそこら辺のスーパーに売ってるよ。」


画面の厨は済まなさそうに微笑む。


『そう言わないでくれよ。そのどんぶりは今僕が持っているのと同じなんだ。昨日家に来たコノハが気に入ってね、あげようと言ったんだけど、僕とお揃いのが欲しいらしいんだ。』


…ノロケてやがる。

というか、アパートに招いたなんて…。

相手は四天王コノハだぞ?分かってんのか?って言うところだけど、厨はそんなこと知らない。

週も兄の彼女は木下木葉さんっていう人間だと思ってる。

だからそのつっこみはなかった。


「僕もそんな暇じゃないんだよね。これから帰ってサブ太とアジ美をじっくり観察しなきゃ何ないし。」


『…頼むよ。僕は仕事が詰まっててね、しばらく缶詰なんだ。』


そう言って厨は手を合わせる。

週一は苦笑すると頷いた。


「…分かったよ。ちゅう兄が頼み事なんて珍しいしね。買ってアパートに寄ってく。」


『ありがとう、シュウ。お礼に2000円くらいあげるよ。』


「!!…任せてくれ!」


力強い返事に厨は笑い、電話は切れた。

週一は携帯をポケットにしまうと、イクラ煎餅をパリパリやっていた綾に向き直る。

女子大生が歩きながら煎餅を食うって姿が何ともアレだが、週一は気にせず言った。


「陶器専門店チャイニーズ=オワンに用事ができたんだ。綾も来る?」


「チャイニーズ=オワン?ああ、あそこってシブいタヌキの置物があるんだよね。」


変なモノに基準に憶えていた綾がうんうん頷く。


「で、行くの?」


「う~ん、アレが1000円くらいなら行くけど、10万円もするから。欲しいけど手に入らないものは見たくないし。だから行かない。」


「そっか。じゃあ僕1人で行くかな…。」


ここから歩くと40分くらい掛かる。

今の時間は2時。1人で歩いて行くのはちょっと寂しい。


「ごめんね週一君。私も用事があれば行くんだけど、今日は特にないの。」


こういうところはドライな綾。

週一がなんとなく一緒に来てほしい的な空気を出しても流れるような動きでかわすのだ。


「いいよ、別に。ま、たまには1人で歩くってのもいいかも。どうせやることないしね。んじゃ、僕はこっちだから。」


「うん、じゃあまた。」


2人は短い挨拶をすると、それぞれ別の道へ歩き始めた。

【初登場キャラ】

・細川くん

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