4ー9.世間の反応
数ヶ月前、世界征服宣言と共に怪人を送り込んできたダークキャン・Dに対し、警察や自衛隊は応戦した。
しかし、結果は惨敗。
チンパンGやアホ怪人からの攻撃も大怪我するまでのレベルじゃなかったが、こちらの攻撃が一切通用しないと言うのが致命的だった。
ヤツらは銃の中にセメントを詰めたり戦車の中に味噌を練り込んだりと武力を無効化するという方法で警察、自衛隊を排除したのだった。
それからは警察も自衛隊もダークキャン・Dに手を出さなくなり、怪人が現れる毎に住民は避難。
別に痛い目には遭わされないけど、髭を生やされたり髪を染められたりと、嫌なことをされるから逃げてるって状況だ。
しかし!そんな状況が最近少し変わってきた。
とある2つの街に現れたダークキャン・D怪人が何者かに倒されて以来、日本全国に展開していたダークキャン・D勢力がその2つの街にのみ集結するようになったのだ。
他の地区にすむ国民の皆さまは大喜び。
警察&自衛隊もダークキャン・Dとはあまり関わりたくなかったから大喜びだった。
そんな喜び渦巻く中、ダークキャン・Dの変化に疑問を抱く特異な人間がいた。
そう、マスコミだ。
--------------------------------------------------
「朝倉さぁん、マジでやるんスかぁ?俺、自信ないっスよぉ…。」
茶髪で無精髭の生えたカメラマンが情けない声をあげる。
「グダグダ言ってんじゃないわよ、田辺!この街には何かがあるの!警察も自衛隊でも倒せなかった怪人を倒したヤツがいる!私がそれをスクープするのよ!!」
縁がとんがった眼鏡を掛けたやたら気の強そうな女が大声で叫んだ。
多分、記者だ。
彼女の考えてることはアホでも分かる。
ダークキャン・Dの謎を独占調査し、名を挙げようってハラだ。
「無理っスよぉ~。そう簡単にダークキャン・Dが現れるわけ、」
カメラマンが言いかけた時だった。
「あいや~!ジブンの蹴りを受けるヨロシ!ジブン、強いアルヨ!!」
…完璧なエセ中国人の声が鳴り響く。
確実にダークキャン・Dの怪人だ。
「意外とすぐに見付かるもんなんですね…。」
「だから言ったのよ!私はくじ運いいんだから!行くわよ!!」
マスコミ2人組は声のした方へ駆けて行く。
ダークキャン・D怪人出現ってわけで、さっきまでたくさんいた通行人の皆さんは逃亡。
2人だけ人の流れに逆流してる。
一瞬の喧騒の後、通りはし~んと静まり返った。
朝倉と田辺はモノ陰に隠れ、覗いて見る。
「…ジブンの蹴り、誰も受けてくれなかたアル…。」
通りに残されたのは寂しそうにポツンと立ってるラーメンどんぶりを頭に被った小柄な青年だけだった。
何だか人間以外の何者にも見えないが、多分ダークキャン・Dの怪人だ。
と、その青年の隣に同じくラーメンどんぶりを被った少女が飛び降りてきた。
「エイはトンマね。蹴らせてなんて言たら誰でも逃げるアルヨ。ワタシみたく背後からいきなり蹴るヨロシ。そすれば人、蹴れるアルヨ。」
「ジブンはビイみたく卑怯じゃないアル。正々堂々、勝負するアルヨ。」
言い合ってる怪人2名。
こんなやつらに警察や自衛隊が手を出せないなんて、哀しくなる。
自分の格闘論について論議が止まない怪人を背に、朝倉は田辺と向き合った。
「あの絵を撮っても、エセ中国人が口論してるようにしか見えないわ。ダークキャン・Dの怪人ってもっと怪人っぽいんじゃなかったの?」
一応隠れてる身だからヒソヒソ声だ。
「俺に言われても知らないっスよぉ。それでどうするんスか?一応カメラ回してますけど…?」
「…まあ、いいわ。きっとそのうちあいつらを倒しに誰か来るはず!その絵が欲しいんだから。ダークキャン・Dに対抗する謎の人物、戦ってる様子を撮ってから、戦闘後に突撃インタビューよ!!」
朝倉は目を輝かせて小声で叫んだ。
--------------------------------------------------
そんなこんなで1時間が経過した。
誰もいない通りでまだ口論してるエセ中国怪人。
モノ陰でじっと待ってる朝倉&田辺はちょっぴりグロッキーだ。
「ちょっと、何で正義のヒーローが現れないのよ!?」
「だから俺に当たらないで下さいよぉ。っていうか、そんなの本当にいるんスかぁ?この街にしかダークキャン・Dが出なくなったのも、他の理由じゃ?」
ちなみになぜウゴクンジャーの皆さんが来ないかというと…理由は時間にあった。
今は11時半。
週一&綾は講義中だし、沙紀は当然高校だ。
冥介に至ってはすでに仲間が来ているのが出現条件だ。
それに昼食もとらないとやる気が起きないだろうから、大学生の週一と綾が駆けつけてくるにはあと2時間は必須。
「あ~!もう、イライラする!!あの怪人も怪人よ!怪人らしく街を破壊するとか、グロい姿に変身するとかしなさいよね!」
気の短い朝倉が吠える。
そんな大声出すと見付かっちゃうだろ?とか思ったけど、エセ中国怪人は気付くことなく論争を白熱化していた。
「ん~、そりゃ無理な注文だな。クリティカル定食・エイとビイには変身能力はねぇんだ。それにあいつらはモノを壊す趣味はねぇ。人間蹴るのが生き甲斐なんだ。」
突然後方から聞こえた第三者の声に驚き振り返る朝倉&田辺。
さっきまで誰もいなかったはずだが...。
「よぉ、眼鏡ね~ちゃんに茶髪オトコか。さっきからコソコソ何やってんだ?」
軽い口調に結構美形な顔立ち。
臙脂色の着物っぽい派手な服を着て、植木鉢をシルクハットみたいに被ってるそいつは…。
四天王ウェキスだった。
「なっ、何よアンタは!?」
急に現れた男に警戒する朝倉。
「俺か?んなこたァど~でもいいだろ。それより俺の質問が先だぜ?何やってんだよ?」
ウェキスは面白そうに訊ねる。
基本的に自分が悪役だって自覚のないヒトなのだ。
「しゅ、取材よ!取材!!ダークキャン・Dと戦ってるって噂の、謎の戦士をスクープするのよ!」
「謎の戦士って、あいつらのことか?…謎でも何でもねぇだろ。人前でも平気で変身するしよ。ま、あいつらが変身する前にみんな逃げちまっていねえんだが。」
「あいつらって…知ってるの!?」
そりゃ知ってるだろう。何てったって宿敵?だし。
「教えてはやらねぇけどな。あ、ってことはお前らTVの人間か。」
田辺のカメラを見てウェキスは笑みを浮かべる。
「生中継するって条件なら、あの怪人の取材をさせてやるぜ?ダークキャン・D怪人独占インタビュー、けっこう面白ぇぜ?」
突如現れた妙なファッションの青年。
そんなヤツが提案した独占インタビューなんて怪しくてできるかって普通は思うけど…
【初登場キャラ】
・朝倉喜美
・田辺
・クリティカル定食・エイ
・クリティカル定食・ビイ




