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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION4-広がるセカイ、繋がるセカイ-
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4-7.ヒサの受難

時が経つのは早いもので、2時間後。

時間は4時半。

まだまだ空にはお日様が輝いてる。


「宇宙人と言ったから何かと思えば…、▽%#*(日本語変換不能)星人じゃないか。まあ、映画の内容の大半は正解だったな。」


直に映画館に瞬間始動し、タダで映画を見終えたカイネが呟いた。


「グレイって本当にいるんだ。」


そう言う週一だが、あんまり驚いてない。

自分の隣にいるヤツも宇宙人だから別に衝撃の真実ってわけじゃないのだ。


「グレイじゃなくて▽%#*(日本語変換不能)星人だ。ちなみに現在はいないぞ。確か2年前だったか、我々ダークキャン・Dが地球を偵察に行った時、邪魔をしてきてな。まあ、奴らが先客だったから話し合いで解決してやろうと思ったのだが、いきなり一斉攻撃を仕掛けてきたんだ。お陰でダークキャン・D母船のガラスが2枚ほど割れてな、癪だったので母星に攻め込んで滅亡させた。お陰で地球侵略が1週間延期されて困ったものだ。」


…そういうわけらしい。


ってことは1週間でグレイ達は絶滅?でもダークキャン・Dにそんな力があるようには見えない。

商店街でラクガキしたりしてる連中だし。


「どうやって滅ぼしたんだよ?凄い兵器があるの?」


「いや。確かあの時に動いたのはカオスチョコボールとアカデミーガムだったか。チョコボールの声にはWW波が含まれていて、あれは進化した生命体の細胞に眠るアポトーシスを強制的に起動させる働きがあるんだ。アカデミーガムは常にVE放射能を出していて、光学兵器以上の機械の動きをストップさせる能力がある。▽%#*(日本語変換不能)星人の宇宙船、兵器は全て停止し、奴ら自身もボロボロと崩れていった。本心、絶滅させる気はなかったんだがな。少し我々が強すぎたようだ。」


カオスチョコボールって言えば、綾に石をぶつけられて死んだアホだ。

アカデミーガムも塩をかけられて100体以上いたのにあっけなく全滅したはず。

実はもの凄いハイテク怪人だったようだ。

気付かなかったけど。


「というわけで現在、この銀河にいるのは地球人類とダークキャン・Dのみだ。だからあの映画はもはやドキュメントではない。回顧録だ。」


「…ダークキャン・Dって実は凄かったんだ。」


グレイが実在したって話より、こっちの方が衝撃的だった。


「実はとは何だ、実はとは。全く。」


カイネは苦笑すると、映画館前のでっかい時計を見た。


「…まだこんな時間か。週一、他の娯楽施設へ行くぞ。」


--------------------------------------------------

「畜生!!蟹令李の野郎…!今度会ったらブッ殺してやる…!!」


大学の構内を鼻に絆創膏を貼り、首に包帯を巻いた男が穏やかならぬ台詞を吐いて歩いていた。

そう、権下だ。

自分に直接手を下したカイネには勝てないので週一に恨みをぶつける気でいる。

まさにチンピラ根性、性根が腐ったミカンだ。

そんな彼の目に、見覚えのある顔が飛び込んできた。

あれは確か…。


「…へへっ、あのバカをブッ殺すより、もっといい方法があったぜ…。」


権下はニヤって品のない笑いを浮かべると、『彼女』の元へと近付いて行った。

--------------------------------------------------


「蟹令李君?さあ、見てないなぁ。確か彼は僕と同じ基本政治学を取ってたけど、この後の講義は取ってないと思うよ。もう帰ったんじゃないかな。」


眼鏡を人差し指でカチャって上げながら、その青年は答えた。

そう、例の眼鏡が素敵な2年F組の山田君だ。

社会情勢学で唯一ノートを取っているというキトクな真面目生徒の山田君。


「ふぅん…、そっか。」


つまらなそうに、その『女子高生』は呟いた。そして教えてくれた山田君に手でサンキューってやる。

山田君もどーいたしましてとジェスチャーした。

彼女は踵を返すと大学正門へと歩き出す。

そして、小さく呟いた。


「…暇だからセンパイでも叩こうと思ってたのに。あ~あ、何かイライラする。」


言わずもがな、彼女の正体は…。

歐邑沙紀だった。


--------------------------------------------------

「おい、ちょっと待てや。」


沙紀が校門を出て人通りのない路地に差し掛かった時、後ろから声が掛かった。


「…?」


振り向く沙紀。

そこにはニタニタ品性ゼロの笑みを浮かべる権下がいた。

手にはどっから持ってきたのかスタンガンが握られている。

普通の女子高生ならここでまずビビるだろう。

『きゃっ!?』とか悲鳴を上げるかもしれない。

でも沙紀はあいにく普通の女子高生じゃなかった。


「何か用?」


胡散臭そうに権下を見た後、平然と訪ねる。


「お前、蟹令李のオンナだな?ヤツにはちぃとばかし貸しがあってよぉ?その貸しをあいつのオンナのお前に払ってもらおうと思ってな。」


「あたしがセンパイの彼女…?」


沙紀は眉を顰めた。

このアホは何を言ってるのだろう?


「とぼけんなよ、四神のお嬢様?あいつと一緒に仲良く歩いてんの見たんだぜ?」


権下はゆっくりと沙紀に近付いていく。目がケダモノだ。

彼の頭の中は今、きっとえらいことになっているのだろう。


「…ふぅん。で、あたしとセンパイが付き合ってるように見えたんだ。」


「誰にでも分かるぜ、そんなコト。…まあ、アホなオトコと付き合ってるからこういう目に遭うんだ。恨むなら蟹令李を恨めよ!!」


ひゃはぁっ!!って叫び、権下はスタンガン片手に沙紀に向かって飛び掛った。

…憎い蟹令李のオンナを拉致って、あ~んなことやこ~んなことして、俺様の鼻ピアスを千切った報いを受けさせてやる。

そんな妄想を巡らせていた権下の思考はそこで一時停止した。


「ぶぎゃあっ!?」


鼻血を撒き散らしながら吹っ飛ぶ権下。

顔面カウンターで沙紀の拳がクリーンヒットしたのだ。

アスファルトに叩き付けられた彼を、沙紀は小馬鹿にしたように見下ろした。


「…情けないね。女にスタンガン持って向かって、みっともなくて笑えないよ。」


「こ、このアマぁ!!」


立ち上がろうとした権下は横腹に蹴りを叩き込まれて再び吹っ飛んだ。

で、アスファルトと熱いキス。


「びゃぁぁぁぁぁ!!?」


痛みに悶え苦しむ権下を一瞥し、沙紀は踵を返した。


「ったく、あたしとセンパイは付き合ってなんてないってのに。」


彼女は拳に付いた血を払いながら去っていく。

さっきまではイライラしてたのはずなのに、なぜかそのイライラはどっかへ行ってしまったようだ。


「でも、そんな風に見えてたんだ。」


その表情は、多分彼女自身も気付いてないだろうけど…何か、嬉しそうだった。


--------------------------------------------------

薄れ行く意識の中、去っていく女子高生の後姿を見詰めながら権下は思った。

蟹令李を殴ったら、軍人みたいな格好をした凶暴女にボロボロにされ、全財産を奪われた。

で、蟹令李に復讐しようと思ってたら、今度は凶悪女子高生に半殺しにされた。


…もう、あいつには関わらない方がいい…。


1つ学習した権下君だった。

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