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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION4-広がるセカイ、繋がるセカイ-
59/69

4-6.悪の四天王とヒーローの関係って…

週一の大学から1kmほどの場所にある萌木公園。

暖かな日差しが降り注ぐ砂利道を2名の男女が歩いていた。

まあ、この公園は砂場ブランコ完備のお子様がワイワイ遊んでる系の公園じゃなく、噴水とかベンチとかある大人の公園だ。

カップルが歩いてたって何の不思議もない。

でも歩いてるのは…厨とコノハだった。


「その服…、前にプレゼントした服だね。気に入ってくれたんだ。」


厨が隣を歩くコノハを見て微笑む。


「はい。厨さんが選んでくれた服ですから。」


コノハも控え目な笑顔で応えた。

無表情が専売特許の彼女がこんなふうに普通に笑うなんて、ダークキャン・Dの皆さんには想像もつかない姿だ。


「ははっ、そんなふうに言われると照れるな。」


と言いつつもやっぱり穏やかな表情だから照れてるのかどうか分からん。

そしてしばしの沈黙。

2人は小鳥の囀りとかがBGMな公園を歩く。

沈黙って言っても気まずい沈黙じゃない。

何ていうか満たされた沈黙ってやつだ。


「…この公園。」


ふいに厨が口を開く。


「はい。」


コノハはそんな彼の顔を見上げ、微笑んだ。


「昨日見付けたんだ。前回言ってたよね、緑が好きだって。だから気に入ってくれるかなと思って。…でも、こんな場所をただ歩くのはつまらないかな。」


「いえ、厨さんとなら一緒にいるだけで楽しいです。それにこういう場所、好きですよ。」


2人をやたらとまったりとした空気が包んでいる。


片や地球制服を目論む悪の四天王、片や地球を護るヒーローの実兄。

ダメだろ、こんなことしてちゃ。

ま、悪の四天王って言ってもダークキャン・Dだし、地球を護るヒーローって言ってもウゴクンジャーだから別にいいかも知れないけど。


「…コノハ。」


厨が立ち止まり、コノハに向き直る。

ってか、いつの間にか呼び捨てになってる。

一体前回の『ついで』デートでどこまで進行したんだろうか?


「はい。」


「この前は本当に楽しかった。それに今日改めて君と会って、自分の気持ちがはっきりしたんだ。だから、何て言うかデートをした後で順序が逆なんだけど…、」


「…はい。」


見詰め合う2人。

この光景を2人の背後関係を知る人が見たら何て言うだろうか?

多分、ちょっと待ったぁっ!って止めに来るだろう。

でもこの公園内に該当者はいない。

だから当然、止まらなかった。


「…僕と、付き合って欲しい。」


しつこいようだけど、相手は地球制服を目論んでる悪の四天王です。


-------------------------------------------

「さっきから気になっているのだが、どうして奴らはこちらを見るんだ?」


仲間が地球人から交際を申し込まれてるなんてつゆ知らず、カイネは通りを歩きながら隣の週一に訊ねた。

権下を伸した後、学校内は目立つってことでここまで瞬間移動してきたわけだが、それでもまた目立っていた。


「僕はその服装が問題だと思う。軍服着てる女の人なんて他にいないし。」


兄が宇宙人に交際を申し込んでるなんてつゆ知らず、週一は呑気に答えた。

確かにカイネの服装は目立つ。

でもそれ以前に彼女は金髪碧眼ナイスバディっていうかなりのクオリティを誇っている。

モデルですって言っても普通に通用するレベルだ。

そんなのがあんまりパッとしない週一君と歩いてれば嫌でも目立つってもんだ。


でも週一の感性は蟹以外には反応しそうもないからその点には気付いてないが。


「これは気に入ってるのだがな。仕方ない。…セット、オープン。」


彼女が呟くと、一瞬にして服が変わった。

シックな黒のスーツだ。

…でもやっぱり目立つ。

軍服着用時みたいな異質な目立ち方じゃないけど、目立つことには変わりない。

ノーマルに美人として目立つ。

こればかりはどうしようもないだろう。


「…あまり変わらん気がするが。」


「原因は服じゃなかったのか。…じゃあ一体何なんだろ?」


眉を顰める週一&カイネ。

どっちもバカだ。


「まあいい。それより何か面白いものはないか?アジトにある娯楽は全てやり尽くしてしまってな、作戦に出てない時は暇でかなわんのだ。」


「面白いもの…。マンガとかゲームとかは?」


「マンガは読まん主義だ。地球のローテクなゲームもやる気はせん。」


週一は考え込む。

何で敵のために面白い娯楽を考えにゃならんのかは謎だが、そこはお人よしっていうかアホの週一。

真面目に悩んでる。


「そうだ。映画とかはどう?確か先週から『宇宙人は実在した!』っていうドキュメント映画がオンエアされたんだ。結構反響あるらしいよ。」


「『宇宙人は実在した!』だと?…当然だろう、実在しなければ私は存在しない。」


…まあ、当然だ。

ダークキャン・Dが宇宙からやって来て数ヶ月。

宇宙人は存在するって証明されたわけだが、世界各国はなぜかまだ認知しようとはしていなかった。

その理由は簡単。


…ダークキャン・Dが理想の宇宙人図とかけ離れている!ためである。


確かに飛来その日に流暢な日本語で『今から世界を征服する!』とか叫び、前々世紀の特撮に出てくるような怪人&戦闘員をバラ撒いたのだ。

否定したくなる気持ちも分かる。


「…まあ、そうだけど。」


「で、やはりそれは我々ダークキャン・Dのことなのか?」


「ううん、グレイっていう宇宙人のこと。ずっと昔からいるだのいないだの、論争が凄かったんだ。」


グレイってのは、例の銀色バディにでっかい黒目っていう典型宇宙人のことだ。

この時代もまだそいつらに関していろいろ論争してるのだった。


「何…?我々のことではないのか。ふむ、それなら見てもいいかも知れん。」


カイネはうんうん頷くと、週一の手を取った。


「見に行くぞ。映画館の場所を思い浮かべろ。」


「…?思い浮かべたけど?」


頭にハテナマーク乗っけてる週一。

カイネは口元を綻ばせると、例のスイッチを押した。


「入場料は、タダだ。」


シュイン…


こうしてまたしても2人はその場から消失し、居合わせた通行人のみなさんのド肝を抜いたそうな。

草々。

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