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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION3-出会いと別れ-
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3-9.魔剣と3つのエレメント

なぜか煙のように消えていくデスチクワを見下ろしながら、変身を解除した冥介は砂浜に突き刺さったエセビームサーベルを拾った。

まだ出ていたピンク色の光刃は、ちくわ型柄の底にあったボタンを押すと同時に引っ込む。


「…マスター。」


彼の背中に日和の声が掛かった。冥介は振り返る。


「日和か。彼女は?」


「はい、とりあえずタクシーで駅までお送りしました。マスターの秘密は外部に漏らさないと約束していただけましたから、ご安心を。」


「…そうか。彼女には怖い思いをさせてしまったな。仕事の付き合いのはずなのに、こんな戦いに巻き込んでしまって…悔やんでも悔やみきれん。」


冥介はカッコつけて言うと、日和から視線を海原へ移した。


「そんな、マスターには何の負い目もありません!どうか、悩まないで下さい…。」


って真剣な声で言う日和だけど顔はやはり笑顔だから説得力はマイナスだ。


「日和…。そうだな、悩める正義のヒーローは俺のイメージにピッタリだが、今はそれどころでは、…ッ!?」


キザ…?な台詞の途中だった冥介は唐突に舌を鳴らすと、自分の傍らにいた日和を押し倒した。

そして彼女を庇うように転がる。


ポトッ…


一瞬遅れ、日和のもといた場所から30cmほど離れた場所に綿棒が落ちてきた。


多分冥介はそれから日和を守るために押し倒して転がったようだけど、ほっといても当たらなかっただろう。

そして、それに当たっても別にどうってことなかっただろう。

…でもそんな些細なことはうっちゃっておいて、彼は日和を抱き起こしながら綿棒が落ちてきた方向(上)を睨んだ。


「…不意打ちか。俺ではなく、無関係な日和を狙うとは…卑怯だぞ!!」


「キョーッキョッキョッキョ!卑怯と言われてなんぼ!あちきは悪だからねぇ!」


冥介の見上げる先には背中にパラソルを装備してゆっくり降下してくる怪人の姿があった。

彼と同じくらいの大きさの豆腐。

その上部には江戸っ子っぽい顔が付いており、豆腐の側面にびっしりと綿棒が刺さっている。

ちなみに腕は手長猿みたく長いのが1本、顔の上から生えていた。


「デスチクワを倒したことは褒めてやるわ!でも、あちきには勝てなくってよ!!」


怪人は地上20cmでパラソルを切り離し、砂浜に軟着陸した。


-------------------------------------------

「さあ!今度はこの『パラソル豆腐・綿棒ギャラクシー』が相手よ!3つのエレメントが融合したこのあちきに…勝てるッ!?」


目をカッと見開いて叫ぶパラソル豆腐・綿棒ギャラクシーさん。

言っちゃ何だが、その3つのエレメントのうちパラソルはさっき切り離してしまっている。

残りは豆腐と綿棒だが、どっちも脅威とはかけ離れているし。

ギャラクシーについては単なる誇張だろう。


「くっ!!連戦になるとは…!!」


でも冥介にはそのハッタリも効いているようだ。

再び日和を庇うようにしながら怪人を睨んでいる。

さっきの戦いは無傷だったはずなのに、なぜか辛そうだ。


「マスター、あの敵の装甲…尋常ではありません。通常の武器では歯が立たないでしょう。」


冷静に分析してるっぽいことを言う日和。

ちなみにパラソル豆腐・綿棒ギャラクシーのボディは紛れもなく木綿豆腐だ。

現代のいかなる兵器も受け付けないダークキャン・D製怪人だから普通の人では倒せないのは確かだが、冥介などウゴクンジャーの面々ならば普通の豆腐みたく簡単に壊せるだろう。


「…装甲を特化した怪人。なるほど、先程のデスチクワはスピード、今度は防御力というわけか。ダークキャン・Dは俺の戦闘能力を調べているのかもしれん。」


冥介は不敵に笑みを浮かべる。

こういう勝手な解釈は彼の専売特許なのだ。


「キョーッキョッキョ!!さあ!喰らうがいいわ!綿棒ボンバー!!」


側面に刺さってる綿棒を長い1本腕で引き抜くと、怪人は次々にそれを2人に投げつけ始める。

距離は5mほど離れているし、風も吹いてるから綿棒は全然届いてないんだけどそれでも投げ続ける。


「ッ!こいつ…防御力だけでなく飛び道具まで!!」


勝手に戦慄する冥介は額から一筋の汗を流した。

そんな彼の背に日和がそっと掌を当てる。


「日和?」


「マスター、大丈夫です。確かに敵は強いです。でも、マスターにはそれにも負けない強い心があります。力には限界がありますが、心は無限です。」


振り返る冥介に日和は頷いて見せた。


「ご自分の力を信じて下さい。それにマスターには…光の剣があります。」


「光の…剣…?」


呟きながら冥介は手にしていたデスチクワのエセビームサーベルを見下ろした。


「しかし、この剣は魔剣。そんな剣を俺は扱えるだろうか…?」


「いえ、その剣の色をよく思い出して下さい。ヒュドラの色、ピンクだったのではありませんか?そうです、その剣はマスターが手にするべき剣だったのです。」


「!!…そうか!だからデスチクワが消えてもこの剣は残っていたのか!」


勝手な解釈のオンパレードでドラマしてる冥介と日和。

ちなみにその間もパラソル豆腐・綿棒ギャラクシーさんは一生懸命綿棒を投げていた。


「キョーッキョッキョッ!!!ほらほらほらァ!!綿棒綿棒綿棒ゥゥゥゥッ!!」


ちょっぴりイッちゃってる雰囲気のパラソル豆腐・綿棒ギャラクシーに冥介は視線を向ける。

そしてデスチクワのエセビームサーベルのスイッチを入れた。


にゅいん…


あんまり緊張感がない音と共にピンクの光刃が伸びる。


「パラソル豆腐・綿棒ギャラクシー!お前はこのヒュドラブレードで…斬る!!」


エセビームサーベル改めヒュドラブレードを握り締め、冥介はカッコいい構えを取った。


「いくぞ!!」


タッ!


砂浜の砂を弾けさせながら冥介は怪人に突っ込んで行った。

ジャケットが激しく旗めき、腰の辺りに水平に構えた光刃の軌道が空中に一筋の線を描いていく。

怪人の投げる綿棒がペチペチ身体に当たるが、それでも冥介を止めることはできなかった。

…まあ、綿棒が当たって止まるヤツなんていないけど。


「何っ!?あ、あちきの攻撃の中を!?」


驚愕するパラソル豆腐・綿棒ギャラクシー。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!奥義・八頭蛇乱閃ッ!!」


今考えたばっかりの必殺技名を叫び、冥介はヒュドラブレードを一閃させた。

武器が鉄パイプじゃないってこと以外、デスチクワを倒した龍斬閃と同じだ。

つまりはこれも通常攻撃と変わりないってこと。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


・・でも相手は豆腐だから両断されたそうな。

めでたしめでたし。

【初登場キャラ】

・パラソル豆腐・綿棒ギャラクシー

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