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下等生物戦隊ウゴクンジャー  作者: 深爪リオ
SECTION3-出会いと別れ-
43/77

3-7.アカデミーガム

ペンペンポン♪ペペペンポロン♪


マヌケそうな着信音が週一のポケットから鳴り響く。

波乱の日曜から一夜明けて月曜日。4限目の授業を終え、もうアパートに帰ろうとしていた彼は駅の手前でそれに気付いた。

まあ、どうせこの時間の電話はどっかの企業からの宣伝メールが主だから無視するってテもあったが…一応取り出して開いてみた。


「このエンブレムって…。」


ディスプレイには紫色の蝶が舞っている。沙紀だ。


「もしもし?」


『あ、センパイ?』


何だか困った表情の沙紀が映る。制服を着ているところから、学校の帰りだろうか。


「ダークキャン・Dが襲ってきたとか?それだったら綾にも連絡入れるけど…。」


『綾さんは…来ない方がいいと思う。できれば援軍はセンパイと八又乃サンだけの方がいいね。』


よく分からない。援軍は強い方がいいはずだ。

なのに一番頼り甲斐がありそうな綾は要らないって言って、代わりに役立たずな自分と冥介が必要と言うのだ。

週一は眉を顰めた。


「…意味分かんないんだけど。」


『来れば分かるから。場所は『Jelly Fish』前の通り。センパイ達が来るまでにあたしがザコを伸しとくよ。』


「う~ん、まあ、了解。冥介さんの連絡先は不明だから、僕だけで向かうよ。」


-------------------------------------------------

「…納得。」


『Jelly Fish』前の通りに到着した週一の第一声はそれだった。

道には10cm程のガムからナメクジっぽい体が生えた怪人が100体ほどうねうねしている。

なるほど、女性にはキツイ映像だ。週一にとってもちょっぴり気持ち悪い。


「センパイ、じゃあコイツらはよろしくね。あたしもちょっとコイツらを殴るのも踏み潰すのもゴメンだから。」


伸したチンパンGの山を路地の隅っこに押し込みながら沙紀が苦笑いで言う。

週一も苦笑して頷くと、足元にうじゃうじゃいるガムとナメクジの合体怪人を見下ろした。


「…何か、コレって無害なんじゃないかなぁ…。まあ、確かに気持ち悪いけど。」


その時だった。

ガムとナメクジの合体怪人の一体がハムスターみたいな黒目だけの目で週一を睨み付ける。


「貴様はこの『アカデミーガム』を無害と云うか!?…この戯けが!辱を知れ!」


こしゃまっくれた声には似合わない台詞を吠えた。


「あ、喋るんだ。」


週一はちょっと意外そうな顔をしたものの、他にめぼしい反応もせずにポケットから塩を取り出した。

ウェキスが教えてくれた弱点なんだけど…多分、教えてくれなくても分かっただろう。

モロにナメクジなんだし。


「ぬ!貴様!何をする!?そ、それは!!」


やっぱりアカデミーガムはうろたえた。

でも週一は構わず塩を振り掛ける。


ジュ~ッ!!


「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


で、案の定溶けて死亡遊戯。

一体目のアカデミーガム逝去を確認した週一は、ポケットからもう一瓶の食塩を取り出し、沙紀に笑顔を向けた。


「これなら触らずに倒せるから。歐邑も手伝って。」


-------------------------------------------------

週一は最後のアカデミーガムが溶けるのを見届ける。

ガムは何かムカつく声で叫びながら、ニセモノっぽい緑色の泡になって消えていった。


「…さてと、こっちは片付いたけど。そっちは?」


そう言って振り返ると、沙紀が空になった食塩瓶をポケットにしまいながら苦笑した。

どうやら後でビン専用のゴミ箱に捨てるつもりのようだ。エコさんだ。


「終わったよ。でもこの怪人の能力って一体…何だったんだろ?触れられもせずに倒したから最後まで、」


「『触れられもせずだと?俺を舐めるなよ!』」


分からなかったって言おうとした沙紀の背にアカデミーガムとは違う声が掛けられた。


「!?」


振り返る週一と沙紀。そこにはスーツ姿のサラリーマンが立っていた。

しかしその口には広がったアカデミーガムがへばりついている。


「『貴様らが俺の分身と戯れている間、俺はこうして媒体を手に入れた!もはや貴様らに俺を倒す術はない!!』」


まさかアカデミーガムは人間を操る力を!?とか思った2名だが、そこでサラリーマンが困った表情で何かジェスチャーで訴えているのに気付いた。


「む~っ!む~っ!!」


…鈍感な週一にも分かるジェスチャーだ。

彼は…アカデミーガムを外して欲しがっている。


「えい。」


週一が残っていた塩をサラリーマンの口にへばりついたガム野郎に振り掛ける。

すると、ガムは叫び声をあげながら消滅した。


「ぷはっ!!…助かったよ。変な生き物がいると思って触ってみたらいきなり口にへばりつかれて。まあ、別に苦しくもなかったんだけど、喋れなくされてね。」


サラリーマンは参った参ったと、そう言い苦笑いをした。


…やっぱりそうだったらしい。

アカデミーガムの能力、それは人の口にへばりついて勝手なことを喋る…ただそれだけ。


「一瞬驚いた僕がバカだったよ。ダークキャン・Dだってこと忘れてた。」


こいつらにマトモな能力があるはずないのだ。

苦笑し合う週一と沙紀。


「『貴様ァ!!よくも我が同胞を!!許さんぞぉぉぉぉぉぉっ!!』」


「『まだまだァ!101号がやられてもまだ俺たちが残っているぞ!』」


「『ふはははは!この戯けが!!この俺、アカデミーガム103号が相手だ!!』」


そんな2人の前に、主婦っぽい人と老人、そしてOLが現れる。

みんな仲良く口にアカデミーガムがくっつけている。

どうやらさっきのサラリーマンがガムを取ってもらった様子を見ていたようだ。

困った顔をして取ってくれとジェスチャーしている。


「…はい、今すぐ取ってあげますね。」


週一が食塩瓶の蓋を開いた。

【初登場キャラ】

・アカデミーガム

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